《8.2 マニラ大会》真夏のフィリピン決戦、新チャンピオン松嶋の誕生なるか、日本勢6名サバイバルの行方は?
6名もの日本人選手が出場する真夏のフィリピン決戦。トリを飾るのは王者マーティン・ニューイェンに松嶋こよみが挑戦するフェザー級のチャンピオンシップだ。
ニューイェンといえば、巧みに制空圏をモノにしたうえでの一撃が得意。中でもエドゥアルド・フォラヤンが後ろ回し蹴りを打つ動作に合わせて決めた一撃はONEのベストKOといっていいほどインパクトを残すものだった。とはいえ、松嶋もONEデビュー戦となったマラート・ガフロフ戦は右一発で仕留めている。もしかしたら今回も一発VS一発の勝負になるのか。距離を制したものが試合を制する一戦になりそうだ。
デメリトアス・ジョンソン(以下DJ)VS和田竜光のフライ級GP準決勝も楽しみな一戦だ。3・31日本大会で行なわれた若松佑弥との一回戦では若松の首がへし折れるのではないかと思うほどのギロチンチョークで一本勝ち。改めてUFC史上最多防衛記録を持つ選手としての実力を見せつけた。
対する和田は予定されていた日本大会の一回戦が相手のケガで流れ、4・12フィリピン大会でレスリングの元キューバ代表のグスタボ・バラートと激突。バラートの下から突き上げるようなパンチに苦戦を強いられたが、相手のプレスに打撃を合わせ判定勝ち。念願だったDJとの準決勝へと駒を進めた。
7月30日、下馬評では「DJ有利」の声が大きいが、マニラで行なわれた記者会見で和田は「勝つチャンスはある」と不敵に言い放った。「自分のゲームプランにこだわり、最善を尽くす」。″パウンド・フォー・パウンドでは世界最強″の呼び声も高いDJをどのように攻略しようとするのか。「DJも同じ人間」と開き直る和田のゲームプランに期待したい。
一回戦でDJに善戦した若松佑弥はジェヘ・ユスターキオとのリザーブマッチに臨む。DJとの一戦で若松は「右アッパーや左フックが当たった感触があって、打撃は世界のトップで通用する手応えがあった」と振り返る。その自信を元ONE王者でユスタキオにぶつけられるか。ユスターキオはチームラカイの所属。若松にとっては完全アウェイでの闘いとなるが、本戦復活は決して夢ではない。
MMAのキャリア19年、今年5月のジャカルタ大会でONEデビュー戦に臨んだ岡見勇信は早くも2戦目に臨む。対戦相手のジェームズ・ナカシマはプロ11戦全勝(2KO)と無敗の快進撃を続けるニューカマーで、ONEでも2勝を挙げている。ジャカルタでのキャムラン・アバゾフ戦ではカウンターの右フックの前に逆転KO負けを喫した岡見は自分を信用できなくなるほど落ち込んだが、その一方で考えすぎていたことを反省。ナカシマ戦は″無我の境地″で臨むつもりだ。生きる伝説の復活に期待したい。
二度も土壇場での試合キャンセルという不運に見舞われた元・修斗環太平洋フェザー級王者の竹中大地はレアンドロ・イッサと激突する。先日地元泉佐野市の市長に表敬訪問をして同市広報誌の表紙を飾るなど泉佐野市の顔になりつつある関西の雄はONE3戦目で2勝目をあげることができるか。
今年2月のONEデビュー戦では必殺の首投げからの袈裟固めでラウラ・バリンを塩漬けにして一本勝ちを収めた三浦彩佳はONE2戦目に挑む。前回は尿酸値のチェックをなかなかクリアできず、あわや失格もありえた三浦だが、その反省を活かし今回は調整も万全か。サマラ・サントスに勝てば、ストロー級王者ション・ジンナンとの待望の一戦も視界に見えてくる。(スポーツライター 布施鋼治)