【10/13大会】「敬意を持って戦う」アンジェラ・リー、ONE王者の品格
アンジェラ・リー(シンガポール)は、格闘技において何をするにしても、敬意を持って臨むことを胸に刻んでいる。
10月13日(日)に迫った「ONE:CENTURY 世紀」の第1部のメインイベントで、ONE女子アトム級のベルトをかけて、リーはション・ジンナン(中国)と激突する。
リーは挑戦者ションを退け、ベルトを守れると確信している。だが、ライバルのションをはじめ、全ての選手に対して敬意を持っており、目の前の挑戦を過小評価することは決してない。
「試合で相手と向き合った時、彼らのスキルや能力、この試合のためにどれだけトレーニングを積んできたかに、敬意を払わなければいけない」
「そういうことを無視することはできない。『お前なんて眼中にない』みたいな傲慢な態度は取れない。だって、彼らはONEに参戦するだけの理由があるのだから。彼らはいつだって危険な相手だ」
「自分たちがやっているのは、世界で最もタフなスポーツ。最もきつい仕事。毎回、入念に備えるのと同時に、相手を尊重しないといけない」
今年3月に初対戦の経験があるから、リーはションに慎重に立ち向かうだろう。奇しくも同じ東京で今年3月に行われた「ONE:A NEW ERA 新時代」でのその試合、ションはリーの組み技の攻撃をかわし抜いた末、第5ラウンドにノックアウト勝ちを収めたのだった。
しかしリーは強靭なメンタルを持っている。ションの功績は認めるものの、今度の東京での試合では、ションと接近戦に挑むつもりだ。
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「これまで対戦したどの相手も、敬うべき何かを持っていた」
「ションについて言えば、彼女なONEストロー級世界王者だし、なるべくして王者になっている。その部分を尊敬している」
「だからといって彼女の立場に怖じ気づいたりはしない。彼女への敬意があるから、精一杯、戦える。敬意を持つことはモチベーションにつながる」
この態度は、ONEの全ての選手に通じるものだ。だが近年の格闘界では真逆のことが行われることもある。
団体によっては、ファンの関心を買うために、選手同士が敵対する構図を煽って宣伝に使うこともある。一方、ONEは、参戦するヒーローたちの価値観を尊重しているし、対戦相手にいつも寛大だ。
リーはまた、「ONE:CENTURY 世紀」を米国の視聴者に届けられることを楽しみにしている。ONEのイベントとしては初めて、米テレビ局「ターナー・ネットワーク・テレビジョン(TNT)で生放送されるのだ。
「ONEチャンピオンシップについて聞かれたら、自分はこう答える。敬意を重んじる場所であり、敬意を重んじる団体だと」
「米国のファンは、こういうイベントを見たら、気持ちを新たにするのではないか。選手たちがお互いに、こういう態度で試合に臨んでいるのを見たら」
「子どもたちに、ONEの試合を見るように勧めることができる。家族全員が座ってONEを見られる。これはとてもユニークなイベントだ。米国のファンは気に入ってくれると思うし、彼らは最初のショーでONEを歓迎するだろう」
リーの観点は、格闘家の家族の一員として自然に育まれたものだ。
リーの両親は、ONE女子アトム級世界王者のリーと、弟でONEライト級世界王者のクリスチャン・リーを育て上げた。彼らはスポットライトを浴びるずっと以前から、尊厳を持って行動することを学んできたし、だからこそ彼らは、総合格闘技を代表する選手になれたのだ。
「弟と私はまだ小さいころに格闘技を始めた。幸い両親や周りの人々からの指導のおかげで、うまくやってこられた」
「このことは、自分たちがただ、好きなことを一生懸命やりたいだけの子どもだったんだということを、思い出させてくれる。世界チャンピオンになる前、世界中で認められる前はね」
「これを忘れないでおくのはとても大事。自分たちの試合のポスターが、ビルに掲げられてあるし、試合が全国ネットで放送される。きちんと話ができる人が周りにいるということが、自分たちにとっては最も大事なことだったと思う」