【10/13大会】「日本で武士道を学んだ」ビビアーノ・フェルナンデス、両国大会心待ち
ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)はONEチャンピオンシップに参戦する以前、日本での輝かしい実績を通じて、格闘技の世界的なスターに上り詰めていた。
だからフェルナンデスはずっと、日本に親近感を抱いてきた。10月13日(日)の「ONE:CENTURY 世紀」の第2部のため東京に戻ることは、彼にとってはこの上ない喜びだ。
しかも待ち受けるのは、ONE史上最も熱を帯びるライバル同士の戦い。フェルナンデスはONEバンタム級世界王者として、挑戦者ケビン・ベリンゴン(フィリピン)と対戦する。勝ってベリンゴンとの争いに終止符を打ち、ONEバンタム級の紛れもない王者として君臨するつもりだ。
フェルナンデスが初めて日本で試合をしたのは、2007年のことだった。そして2009年、DREAMフェザー級グランプリで大活躍を見せ、一躍、スターへの階段を駆け上がっていった。
「ブラジルの選手は誰もが、日本で戦いたいと思っていたよ」
「全ての格闘家にとっての夢だった。日本には文化や武道の歴史があるから」
当時フェルナンデスは、総合格闘技はまだ不慣れで、プロとしての戦績は5試合しかなかった。だがトーナメントに参戦するチャンスに、彼は飛びついた。強豪相手に自分の技を披露してみたかったからだ。
「自分の人生でも最高の出来事の1つ。自分が戦えるってことを示せたから」
「自分のバックグラウンドは柔術。本当に強い相手と戦わなければいけなかった。自分は偉大な格闘家になれるってことを見せることができた」
トーナメントでは初戦で大塚貴史と、準々決勝では伝説的存在の今成正和と対戦。経験不足が否めない粗削りな戦いぶりながらも、フェルナンデスはその2試合で、ユナニマス判定で勝利をもぎ取ることができた。
この勝利により、ダークホースと思われていたフェルナンデスの株は一気に上昇。迎えた2009年10月6日、準決勝でグレコローマン・レスリング世界チャンピオン、ジョー・ウォーレン(米国)を撃破。決勝では高谷裕之を破り 、DREAMフェザー級グランプリの世界チャンピオンに輝いたのだった。
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「いや、大変だった。きつい試合が続いたが、おかげでいろいろ学ぶことができた。高谷との決勝は本当に厳しい試合だったが、なんとか勝てた」
「最高だったのはウォーレンを破った瞬間。彼は本当に素晴らしいレスラーだが、試合の前に余計なことをしゃべりすぎ。試合が始まって1分もたたないうちに、この柔術で彼を倒したからね」
2年後、フェルナンデスは新たな階級に挑戦。フェザー級での成功を再現しに、DREAMバンタム級グランプリに参戦した。
フェルナンデスはここでも、圧巻のパフォーマンスを3試合立て続けに披露した。特に決勝戦ではキャリア初のノックアウト勝ちを収め、DERAMバンタム級世界王者に就任したのだった。
バンタム級の急上昇アスリートになり、フェルナンデスはONEチャンピオンシップと契約を結んだ。そして輝かしい実績を築き、最高のスターの1人に上り詰めた。
日本での最後の試合から6年以上を経て今年3月、フェルナンデスは再び日本の土を踏むことになった。ベリンゴンからONEバンタム級世界王者のベルトを取り戻した試合だ。
フェルナンデスはこの試合、運命を感じていた。
「信じられないかもしれないけど、ONEが『ONE:NEW ERA 新時代』のイベントを発表する前に、夢を見たんだ。日本の朝日の夢をね」
「そこから数か月して、そのイベントに参戦するために日本に戻った」
フェルナンデスは再びベルトを取り戻したが、こんな勝ち方をしたかったわけではなかった。試合はベリンゴンの反則負けだったからだ。
フェルナンデスは今、ベリンゴンを相手に4度目の対決に臨む。今回は王者らしい勝ち方でライバルとの戦いに終止符を打つつもりだ。その舞台として、総合格闘技の初心者から国際的なスーパースターへ押し上げてくれた日本は、絶好の場所だ。
「自分のような人間が、なんでだかわからないけど。いい人だからかもしれない。礼儀正しいし。勇敢で強いからかもしれない。日本で過ごした時間と日本の人たちが、何があっても誇りを失ってはいけないと教えてくれた。敬意を持つことや自尊心、それに武士道を学ぶことができた」
「日本にはたくさんのファンがいるから、早く彼らの前で試合がしたいよ」