【11/8大会】のび太、パシオ、猿田…激戦区ストロー級、王座の歴史
11月8日(金)、現ONEチャンピオンシップ・ストロー級世界王者のジョシュア・パシオが、同じフィリピン出身のレネ・カタランと、マニラのモール・オブ・アジア・アリーナでの防衛戦に臨む。
2人のストロー級総合格闘家は、フィリピンで開催される大会としては年内最後の「ONE: MASTERS OF FATE」のメインイベントで激突する。
注目の一戦を前に、ONEストロー級世界王座の歴史を振り返りたい。
初代王者はムエタイ世界チャンピオン
2015年5月、初代ONEストロー級世界王座をかけた一戦が、シンガポールで開催された「ONE: WARRIOR’S QUEST」で行なわれた。
ルンピニー・スタジアムで3度ムエタイ世界王座に就いたデェダムロン・ソー・アミュアイシルチョーク(タイ)が、ボクシングのスペシャリスト、ロイ・ドリゲス(フィリピン)と準決勝で対決。
両選手は5ラウンドを通じて一進一退の攻防を繰り広げ、シンガポールを拠点にしているタイ出身のデェダムロンが、スタンドとグラウンドの両方で優勢に試合を進めた。
ドリゲスの目に打撃が当たってしまい、第5ラウンド残り91秒の時点で一時中断したが、そのまま判定決着となり、ユナニマス判定の末にデェダムロンがONEストロー級世界タイトルを獲得した。
バンコクでのび太が王座奪取
ヤゴ・ブライアン(ブライアン)を相手に初防衛に成功した初代王者は、2016年5月、ホームのバンコクで開催された「ONE:KINGDOM OF CHAMPIONS」で、修斗世界王者の内藤禎貴(のび太)を迎え撃った。
しかし残念ながら、王者が想像していた凱旋試合にはならなかった。
当時無敗だった日本のグラップラーは、第1ラウンドこそデェダムロンと打撃を打ち合ったものの、ラウンドが進むに連れてテイクダウンを奪いに行く。
有利なポジションを取り続けたのび太は、パンチとサブミッション狙いで圧をかけた。
そして迎えた第4ラウンド残り1分、ついにリアネイキドチョークに捕らえ、王座を獲得した。
のび太がシウバ相手に王座陥落
のび太は、2016年10月の「ONE: STATE OF WARRIORS」で当時無敗のチャレンジャーだったパシオを下して王座防衛に成功。「チーム・ラカイ」の新星だったパシオを第3ラウンドにリアネイキドチョークで仕留めた。
その約1年後、のび太は再びタイの首都に戻り、Evolveでデェダムロンのチームメートであるブラジリアン柔術の世界王者、アレックス・シウバ(ブラジル)と2017年12月の「ONE: WARRIORS OF THE WORLD」で対戦した。
エリートグラップラー同士の対戦になると思われたが、シウバはのび太のテイクダウンを潰し、試合の大半を通じて打撃を浴びせ続けた。
試合終盤、のび太はグラップリングで効果的に攻めたが、シウバを脅かすことはできなかった。
5ラウンド終了後、ジャッジはユナニマス判定でシウバの勝利を支持。そしてONEストロー級新王者にベルトが手渡された。
のび太が再びタイトル奪取
2018年のONEストロー級世界王座は、3人のファイターを中心に回っていた。そして、各アスリートがそれぞれベルトを腰に巻いた。
シウバは、2018年5月の「ONE: GRIT & GLORY」で、のび太を相手に初防衛戦に挑んだ。
インドネシアのジャカルタで開催された大会に向けて、のび太は前回より良いゲームプランは用意していた。前回よりも流れるような動きを披露しつつ、シウバの顔面にコンスタントにパンチを集め、さらにグラップリングの高い技術を駆使し、スプリット判定で王座奪還に成功。
だが、のび太にとって2度目の王座は、短命に終わることになる。
パシオがのび太からベルト奪う
必殺のサブミッション、“ザ・パッションロック”の開発に成功したパシオは、大会ハイライト級のセンセーショナルな3勝を引っ下げ、「ONE: CONQUEST OF HEROES」でのび太とのリマッチに漕ぎ着けた。
2018年9月にジャカルタで行なわれた一戦で、フィリピン出身は、すでに魅力的なスキルセットに加えた新たな一面を披露した。
パシオは、ローとミドルキックで王者を痛めつけると、のび太のテイクダウン狙いをがぶって阻止。マットに引きずり込まれても、見事なグラウンド技術を見せた。
パシオは、最終ラウンドに打撃をまとめ、ユナニマス判定で勝利。ONEストロー級史上最年少の22歳で戴冠した。
猿田洋祐、3ヶ月の王座
2018年と同様に、今年も王座がライバル間で移動する年になった。
パシオの2019年は、修斗世界王者の猿田洋祐との防衛戦からスタート。両者は、1月にジャカルタで開催された「ONE: ETERNAL GLORY」で対戦した。
互いに一歩も退かない攻防を繰り広げた一戦になったが、判定の結果、日本のスターがスプリット判定でベルトを獲得。
4月、マニラで開催された「ONE: ROOTS OF HONOR」で、両者の再戦が実現し、完全決着という形で勝負がついた。
その決着とは、パシオの豪快KOだ。第4ラウンドを折り返したあたりで、地元のヒーローが蹴りを放った瞬間、スネではなく膝が猿田のテンプルにヒット。この一撃で猿田は意識を失った。
そして、ONEストロー級世界王座は、パシオの腰に戻った。
パシオvsカタラン、王座はどちらに⁉︎
11月8日、パシオはフィリピンの首都で開催される「ONE: MASTERS OF FATE」で、カタランとの防衛戦に臨む。
カタランは、若きパシオを蹴散らし、トロフィーケースにベルトを加えられるだけの実力の持ち主だ。現在6連勝中で、その半数を一本勝ちかTKOで収めている。
もしカタランがパシオに勝てば、総合格闘技の聖地において最も熱いストロー級で、引き続き走り続ける。だがもし、パシオがタイトル防衛に成功すれば、地球上でストロー級最強のファイターであることが証明される。
マニラ | 11月8日 (金) | 18時半(日本時間) | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)