アルマ・ユニクに勝利した王者スタンプ・フェアテックスの秘密
現在、ONE女子アトム級のムエタイルールとキックボクシングルール両方の世界王座に君臨しているのがスタンプ·フェアテックスだ。6月15日に上海で開催された「ONE: LEGENDARY QUEST」でアルマ·ユニクとONE女子アトム級ムエタイ世界王座をかけてタイトルマッチを行ない、5Rの末、判定勝ちを収め防衛に成功したばかりだ。
「18歳のユニクは若くて、将来性のある選手。まだまだ強くなると思う」と、フェアテックスは言う。
「彼女は右フックが得意なんだけど、そのときに少し体が開くクセがあるのね。そこにカウンターを打ち込んでポイントを取ることができた。手数は彼女の方が多かったけど、有効打は私の方が多かったと思います」
「あと、最初のラウンドで彼女がキックを出してきたけど、私が膝でブロックしたのがダメージになったみたい。それ以降はキックをあまり出さなくなった」
ここまで聞くと、フェアテックスが盤石の勝利を挙げたように見えるが、しかし、試合はプラン通りにはいかなったという。しかも、試合前にフェアテックスは故障を抱えていた。
「全力で追い込み練習ができなくて、試合は60~70%の力で臨むことになった。肩が痛くてクリンチに行けないし、足の裏には大きな水ぶくれができてしまって。潰したら余計大きくなって、走るのも蹴るのも辛かった。こういうようなことがたくさんあって、全力で練習ができなかったのが残念でしたね」
そして、調整不足は試合中盤から影響を及ぼしてきた。
「3Rに入ると、脚が痙攣を起こして辛かった。試合でのコンディションは良くなかったけど、これまでの経験でなんとか切り抜けることができました」
ムエタイの母国であり、フェアテックスの母国でもあるタイからベルトを出さない。その固い決意によってユニクを倒すために、持てるだけのスキルを駆使した。4Rの終盤、フェアテックスには体力が残っていないように見えたが、全ては5R終了時点で判定勝ちをするための作戦だった。体力を温存していたのだ。
「いつもKOを狙って勝ってきて、こんな闘いを方をしたのは初めてだった。どうしたって勝ちたかったし、それしか方法がなかった。でも、必死にやったし、私は恥じていない。試合が終わった瞬間は、勝利を確信していました」
防衛を果たしたフェアテックスの前には、いま3つの道がある。ムエタイ、キックボクシングそれぞれのベルトを守るのか、それとも、総合格闘技への転向か。もし、総合格闘技でもベルトを獲得することができれば、史上例のない3つのルールでの王座獲得となる。
どのような道を選ぶにせよ、決断までの時間はそれほどかからない―フェアテックスは、最後にそうほのめかした。