【10/13大会】ジョルジオ・ペトロシアン 対サミー・サナ、勝負を握る4つの鍵
キックボクシング史上最大規模のトーナメントの勝者が、10月13日(日)、東京・両国国技館で開催される「ONE:CENTURY 世紀」の夜の部、「CENTURY PART II」で決まる。
ONEフェザー級キックボクシング世界グランプリ(WGP)決勝戦のカードは、ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)対サミー・サナ(フランス/アルジェリア)。優勝賞金100万米ドル(約1億円)と世界で最も偉大なキックボクサーの称号がかかった対決を前に、両国国技館での一戦に向けた両選手のモチベーションは極めて高い。
注目の対決を前に、ペトロシアンとサナがそれぞれ勝つパターンを予想したい。
#1 サナの鉄壁のガード
サナは、前に出ることに非常に優れている。その上フェイントを織り交ぜながら自分の距離でパンチを放ち、相手が反撃に転じる前にガードを固めて攻撃を誘い出す。
サナのブロックキングスタイルは、ペトロシアンには有効だろう。両手を顔面の前に上げて守る姿勢を取れば、ペトロシアンが得意とする左ストレートが割り込む隙間もない。
そうなったら相手はジャブとクロスを用いるしかなくなり、サナは強烈な左フックとパワフルな右を打ち込める絶好のポジションを取っているというわけだ。
#2 ペトロシアンのアングル
ペトロシアン以上に知的なストライカーは、キックボクシング界にはいない。アグレッシブな相手に対して、どの角度から削るかが重要になるかを理解している彼は、サナと対峙しても持ち味を生かせるだろう。
サウスポーのペトロシアンは、オーソドックスの相手の前足の外側にステップすることで、攻撃を仕掛ける完璧なアングルを作り出す。それと同時に、相手の攻撃をガードできる最適なポジションを取る。このスタイルは、もう何年も実践していることだ。
もしサナが勇敢に前に出てくれば、キックボクシング世界王者に5度も上り詰めたペトロシアンの左ストレートが炸裂する。もし追って来なければ、ペトロシアンの左ミドルがサナの脇腹をえぐる。
#3 サナの右膝
ペトロシアンは、準々決勝で対戦したペットモラコット・ペッティンディーアカデミー(タイ)の右膝に苦しめられた。
サナもその190センチメートルの長身を生かした膝蹴りを得意としている。特に相手がパンチを放つタイミングに合わせて膝を当てる技術に優れている。つまり、ペトロシアンが左クロスを放とうとすれば、そこに隙間が生まれ、サナは強烈な膝蹴りをみぞおち、あるいは肋骨周辺に突き刺すことが可能となる。
キックボクシングとムエタイで3度の世界王座を獲得しているサナは、右膝を繰り出した後で右の打ち下ろしを多用する。これは、サウスポーのヨドサンクライ・IWE・フェアテックス(タイ)にも有効だった。
#4 前蹴りで距離を保つペトロシアン
多彩な技術に秀でるペトロシアンは、前に出てくるサナの圧力を回避するため、相手の前足やボディを狙う前蹴りを効果的に使うと予想される。
ペトロシアンは、「格闘技の本拠地」ONEで積極的な戦いを見せてきたが、今回は打ち合いよりもディフェンスマスターの顔に戻るだろう。そして、カウンターが勝敗を分ける鍵になる。
サナがパンチや膝を狙って前に踏み込もうとしても、ペトロシアンはタイミングを図った前蹴りで相手の前足や腹を狙って攻撃を防ぐ。そうなればサナの攻撃は空を切り、ペトロシアンのカウンターの餌食になってしまう。
「ONE: CENTURY 世紀」は、さまざまな格闘技から28人の世界チャンピオンが参戦する、史上最大の世界選手権格闘技イベントだ。フルスケールの世界選手権格闘技イベント2大会が同日開催されるのも、史上初めてのことである。
複数の世界タイトル戦、世界グランプリチャンピオンシップ決勝戦3試合、そして世界チャンピオン同士の対決をふんだんに取りそろえ、ONEチャンピオンシップが東京の両国国技館で新地平を切り拓く。