【10/13大会】石毛里佳、緊張対策は柔術仕込みの精神力と「コスプレ入場」
“タイニードール(小さな人形)”こと石毛里佳(タイ)の人生は、試練の連続だった。彼女はそれを、強い心を持って受け入れ、そして乗り越えてきた。
石毛は10月13日(日)に東京・両国国技館で開かれる「ONE:CENTURY 世紀」の第1部で、平田樹と対戦する。立ち向かう相手が平田のような格闘家であっても、もしくは若い頃に出会ったいじめっ子たちであっても、格闘技のトレーニングを通じて打ち勝つ強さを身に着けてきた。
石毛は10代の頃、父親に触発されて地元のジムに入門した。自己防衛のスキルを学んで、いじめを受けていた高校の先輩たちに立ち向かう勇気を身に着けるためだった。
「身体的にだけでなく、精神的にも強くなった。より落ち着いていられるようになったし、自分の感情をうまくコントロールできるようになった」
若い頃のジムでの経験は将来、格闘家としてのキャリアの土台を築くのに役立った。石毛は勉学のために1度トレーニングを中断し、その後、格闘家として試合をするためのトレーニングを始めた。
石毛は複数の分野のトレーニングに取り組んだ。中でも、強さよりもテクニックを重視するブラジリアン柔術の価値観に魅せられ、試合に臨む勇気を培った。
「柔術は普段の生活でも試合でも、大いに助けてくれた。自分のように体が小さい人に向いている」
「ありのままに振舞えて、やりたいことは何でもできるの!柔術のおかげで情熱に従うことができた」
アマチュアで成功した後、石毛はプロデビューへの自信を深めた。それは他のほとんどの選手とは違った道のりだった。
ほとんどの総合格闘家は、国内の小さな団体からキャリアを始める。だが石毛は、いきなりメジャー大会に飛び込むことになったのだ。
「変化を恐れる人もいる。でも勇気を持てば何も恐れることはない。結果はついてくる」
石毛のプロデビュー戦は2017年3月、母国タイで開かれた「ONE:WARRIOR KINGDOM」。オードリローラ・ボニフェイス(マレーシア)を相手に恐れを見せずに戦い、第1ラウンドにTKO勝ちを収めたのだった。
「勇気を持つには自信がいる。自信をつけるには、日々の努力が必要」
「心と体が健康でいい状態でないといけない。体調が良ければ、メンタルヘルスの状態も良くなる」
石毛は既にONEで7試合を戦い、ベテランの域に入りかけている。だがまだ、大舞台に参戦するプレッシャーは彼女に影響を与えうる。
しかし石毛は、観衆のサポートを得て勇気を奮い起こすのに役立つ、もう一つの武器がある。コスプレによる入場だ。
「入場するときに、コスプレの衣装を着るのが好き。ファンのみんなに喜んでもらえるし、自分の緊張をほぐすのにも役立つ」
「プレッシャーや緊張を和らげてくれる。だから自分自身を落ち着けるためにやっている」
石毛はたとえ敗北しても、過度に落ち込むことは決してない。いつだって立ち上がって前に進むことができる。そして再び、ONE女子アトム級の強豪と対峙するために準備に取り掛かるのだ。
だから石毛は、史上最大の格闘技イベントで平田との対戦を前にしても、恐れることはないのだ。
「自分にプレッシャーをかけることはない。その代わりに、ただいつも通りベストを尽くす。何かプランどおりにいかないことがあくても、何度も何度でもトライし続ける」