藤沢に快勝したトイヴォネン、見据える先はONEフライ級世界王者
7月12日(金)マレーシアのクアラルンプールで開催された「ONE: MASTERS OF DESITNY」で、日本の藤沢彰博に1R3分22秒にレアネイキッドチョークで快勝したアレクシ・トイボネン。フィンランド出身のトイヴォネンは、強さを求めて世界を旅し、現在はシンガポールのメガジム「イボルブ」でトレーニングを積んでいる。
トイヴォネンは、フィンランドの小さな街ラハティで生まれた。愛する家族と祖父母に囲まれ、愛情いっぱいに育ったトイヴォネンだが、人生の逆境が思わぬかたちでやってきた。
「子どもの頃、眼病にかかってしまい4度も手術した。学校より病院にいる時間が長くて、友だちとも疎遠になってしまい、人生が大きく変わってしまったんだ」
元来、好奇心旺盛で外で遊びたいタイプのトイヴォネン少年。有り余るエネルギーのやり場を与えてやりたいと、両親はスポーツを勧めた。
「ホッケーやサッカーもやってみたけど、溶け込めなかった」
そんなとき、トイヴォネンは、日本の躰道(祝嶺正献氏が1965年に発表した、体軸の変化によって攻防を展開する武道)に出会った。
「人は、楽しみを見つけなきゃいけない。無理に好きになる必要はない。自然に好きだって言えるようなものを見つけることが大事で、自分にとって、それは格闘技だった」
躰道を追求していくなかで、総合格闘技の存在を知り、次第にもっと他の武道を習得したいと思うようになっていく。
「躰道の稽古中に怪我をしてしまって、その間にブラジリアン柔術を習い始めた。より実戦向きのブラジリアン柔術は刺激的で、こういう移行は、自分にとって自然な流れだったのかもしれない」
17歳になると、トイヴォネンは、家族やコーチの支えもあってブラジリアン柔術の国内及び欧州大会で優勝するまでの実力者に成長していった。
「その後も数年間ブラジリアン柔術を続けて、だんだん格闘技の仲間が増えていった。そういうなかで、躰道や空手だけじゃない、総合格闘技に対する興味が強くなっていった。いざやってみると、自分に向いている実感がでてきた」
こうして、アマチュアで数試合を経験したあと、トイヴォネンは総合格闘技でプロデビューを果たした。現在まで6勝1敗。5回の一本勝ちと、1回のTKO勝ちを誇り、判定決着はない。
昨年、11月にはシンガポールで初めてイボルブを訪れた。グラウンドでの鮮やかな動きが大きく評価され、ブラジリアン柔術やムエタイの世界王者経験者が指導するなかで、総合的なスキルを磨いた。
「イボルブにはワールドクラスの指導者がいて、とても良い。長所をどんどん伸ばしてくれるし、悪いところも的確に指導してくれる。育成力が素晴らしいと思う」
「僕の目標はONEフライ級の世界王者になること。そのためにすべてを捧げてきた。フィンランドにも僕を応援し、サポートしてくれる人々がたくさんいたが、強さを求めてアジアにやってきた。だから、絶対負けられないし、この努力を無駄にはしない」