連勝でいざタイトル奪取へ!松嶋こよみ「ONEは俺を無視できない」
2018年9月に開催された「ONE: CONQUEST OF HEROS」で元フェザー級王者のマラット·ガフロフにTKO勝利を収め、鮮烈なONEデビューを果たした松嶋こよみ。その後、2度に渡る手術で戦列を離れたが、6月15日に上海で開催された「ONE: LEGENDARY QUEST」で復帰。韓国のクォン·ウォンイルを相手に勝利を収め、タイトル奪取への道を再び歩み始めた。勝利から5日、松嶋こよみに話を聞いた。
―怪我や手術がありブランクがありました。
「小学生の頃から格闘技をやっていて、こんなに試合間隔が空いたのは初めてでした。復帰後に同じパフォーマンスを発揮できるかということよりも、再び試合に出られるのかというところで不安になるくらい辛かったですね」
―試合がないなかでの練習はモチベーション維持が大変では。
「僕は練習そのものが好きなので、その点は平気でした。新しい技術に出会うと、絶対にモノにしたくなるから死ぬほど練習する。できないのがイヤなので隙間時間とかも使ってできるまでやる。日々の練習が充実しているので、モチベーションが下がるということはなかったです」
―一度は試合が決まりかけたクリスチャン·リー選手は階級を上げ、ライト級でタイトルを獲りました。どう感じていましたか。
「やはり強い選手だし、成長速度も凄まじいと思います。彼の活躍を見ていると、正直焦りもあります。負けていられませんね」
―クォン·ウォンイル選手との試合が決まり、どのような準備をしましたか。
「直近の試合で、今成(正和)選手の足関節であっという間に負けた印象でしたが、他の試合のビデオを観ると、実力者なのは明らかでした。ウォンイル選手の距離で闘ったら打撃が危険なので、専修大学に行ってレスリングの特訓をしました」
―総合格闘技の対策でレスリングというのはどういう効果があるのですか。
「レスリング選手の方が総合の選手よりもスピードがあります。早いスピードに慣れることで、試合に活かせると思いますしタックルが決まればテイクダウンが取れますので、有利に試合ができます」
―試合はプラン通りにできましたでしょうか。
「上海に入ってからずっとコンディションが良くて、試合で色々なことを試してみたくなりました。振り返れば、長いブランクの弊害だったと思うのですが、それが良くなかったですね。久しぶりの試合で、欲張ってしまった。KOを狙いに行った結果、相手の間合いで打ち合ってしまって、試合序盤に膝をもらってしまいました。でも、それで冷静になって、練習してきたレスリングのかたちに徹しました。そして、徐々に主導権を握ることができました」
―では、勝利したものの自己採点は低かった?
「かなり低いです。最低クラス。でも、悪いなかで悪いなりに結果を残せたことは良かったと思います。それに、ブランク明けの試合の難しさも経験することができました」
―さて、これでONEでは連勝で元王者にも勝利しています。次に闘いたい相手は誰ですか。
「もちろん、王者のマーティン·ニューエンです。勘が良い選手で、オールラウンダー。どの技を見ても上手いし、綺麗。弱点の少ない強い選手だと思います」
―倒し甲斐がありますね。
「格闘技をやっている以上はベルトを狙うのが当然だと思いますが、僕がベルトを欲しい理由は、さらに強い相手と闘いたいからです。強いニューエンを倒して、ベルトを手に入れて、さらに強い相手と闘えれば本望です。この勝利でタイトルマッチの挑戦者として、僕を無視できないはずなので、試合ができることを楽しみにしています」
上海大会では、サイドをカットして長髪を縛り上げたヘアスタイルで登場した松嶋こよみ。ONEという格闘技の最先端の舞台に降り立つ、その出で立ちにはカリスマ性すら感じた。
「日本人選手が負けたり、日本人王者がいなくなるのは仕方ないくらいONEのレベルは高い」と松嶋は言う。
確かに、近年の格闘技におけるアジア人選手の成長は目覚ましく、それがONEのレベルの高さに繋がっているのは明らかだ。もはや、日本は格闘技において特別な国ではなくなってしまったのかもしれない。
しかし、日本には、そういった強豪に立ち向かえるだけの選手がいる。
その名は、松嶋こよみ。日本格闘技界の“最新モデル”が世界を獲る。