39歳・藤沢彰博「TKO勝ちでミドルエイジに夢を与えたい」
7月12日(金)にマレーシアの首都クアラルンプールで開催される「ONE: MASTERS OF DESTINY」でアレクシ・トイヴォネンと対戦する藤沢彰宏。26歳まで格闘技未経験だった39歳は、ONEウォリアーシリーズでチャンスを掴み取り、ONE本戦でこれまで2勝1敗。試合を10日後に控えた藤沢彰博に話を聞いた。
ちなみに、藤沢は現在、タイのバンコクに住んでいる。海外のジムに所属する選手は、少なくないが、実際に暮らしている選手は稀だ。
「バンコクは今、雨季です。雨が降ると少し涼しくなるので助かります。ただ、外でランニングというのができなくなるので、トレッドミルになってしまうのが少し残念です。ちなみに、日本のような街ランはバンコクでは無理です。前に、やったんですけど、野良犬に追いかけられて大変でした(笑)」
タイで暮らすのは、苦労があるようだが、現地の話をする時に、藤沢はいつも楽しそうだ。バンコクでの暮らしを満喫しているのが分かる。
―4月の試合ではラモン・ゴンザレスに敗れプロ初黒星を喫しました。
「これまで順調だった反面、無敗というプレッシャーもかかっていて、振り返ってみれば精神的な余裕がなかったかもしれない。負けたことで、改めて気持ちを引き締めることができたし、無駄な敗北ではなかったかなと思います。学びがあった。でも、僕は、割と引きずってしまうタイプなんですよね。気持ちを本当の意味で切り替えるためにも、次戦はぜひ勝ちたいと思います」
―次戦は藤沢選手にとって初となるマレーシアでの試合です。
「普段、バンコクで暮らしているし、あまり試合をする場所にこだわりはありません。マレーシアはまだ行ったことがないですが、シンガポールは一度、ONEの試合をしているので、なんとなくの雰囲気は掴めていると思います」
―対戦相手のアレクシ・トイヴォネン選手の印象は。
「良い選手で、自分より格上の選手だと思っています。自分より若い(27歳)けど、僕は挑戦者として向かって行こうと思います。倒す力が強いし、フィニッシュに持っていく技術も優れている。テイクダウンをしっかり防いで、打撃で勝負できたらと思います」
―普段、試合のプランはどのように立てていますか。
「前に対戦したロッキー・バクトルと一緒に練習する間柄で、彼を指導しているニコラスコーチに協力してもらっています。もちろん、心技道場でも対策を練っています。格闘家として、派手に勝ちたいという色気も本音ではありますが、無理せず、練習通りのことをするのが勝利への道だと信じています」
―お互いキャリアで判定決着がない選手同士です。
「そうですね。勝っても負けても判定決着は無いでしょう。打撃で圧倒して、最後はパウンドなどで勝ちたいです」
―先程、トイヴォネン選手を「格上」と評価するコメントもありました。藤沢選手は、いつも自然体ですね。
「僕は、自分のことを過大評価も過小評価もしません。自分の器や実力を知って、そのなかで、できる闘い方がしたいと思っています」
―現在、フライ級ワールドGPが行なわれています。
「どの選手も化物だなと思います。みんな強い。だけど、だからこそデメトリアス・ジョンソンといつか闘ってみたいですね。あんなエリートと僕みたいな普通の人が闘う機会があったらと思います。そのためにも、次の試合を勝って、フライ級ワールドGPに出場している外国人選手を一人でも倒して、チャンスを掴みたいですね」
―最後に、格闘技ファン、特に同年代のファンに向けて一言お願いします。
「いま、どの仕事でも、ミドルエイジは色々と大変だと思います。どこにも安定がない世界。自分も、ONEという舞台で生き残るために必死でやっています。自分の闘う姿を観て、共感してもらえたら、とても嬉しいです」