女子アトム級総合格闘技選手、知っておくべき10人
ONEチャンピオンシップはアトム級で戦う女性総合格闘家にとっては、 自分を試す舞台として定着した。
2016年5月にONE女子アトム級世界タイトルが創設されて以降、有力選手たちが次々に参戦し、今ではアジア最強の選手たちがしのぎを削る。
熱い戦いが繰り広げられている女子アトム級で、注目すべき10人の総合格闘家を紹介する。
アンジェラ・リー
現在の女子アトム級の世界王者は23歳のアンジェラ・リー(シンガポール)だ。
2016年5月、リーは5ラウンドに渡る手に汗握る試合の末、山口芽生を破り、ONE女子アトム級初代世界王者の座に就いた。そしてそのベルトを現在まで守り続けている。
ブラジリアン柔術の黒帯を持つリーは、ここまで4度の防衛に成功した。直近では2019年10月、ONE女子ストロー級世界王者のション・ジンナン(中国)との注目の再戦を制している。
リーはプロ戦績10勝2敗で、このうち判定までもつれた勝利は2度しかない。さらにアトム級マッチでは負けたことがなく、この階級ではまさにリングネームの通り“アンストッパブル”だ。
デニス・ザンボアンガ
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)は2020年2月、ONE女子アトム級世界戦の次の挑戦者として名乗りを挙げた。ザンボアンガは間違いなく、この名誉にふさわしい。
兄に刺激を受けて格闘技を始めたザンボアンガは、5連勝を挙げてONEの舞台に参戦した。
2019年12月に、ジヒン・ラズワン(マレーシア)を破って衝撃のONEデビュー。さらに山口をユナニマス判定で下して、リーへの挑戦権を獲得した。
これでザンボアンガのプロ戦績は7勝0敗。ここまで無敗だ。
山口芽生
山口は、ONEチャンピオンシップ史上、最も尊敬され、愛されている女性アスリートの1人だ。
37歳の山口は2017年3月にプロデビューし、DEEP JEWELSフェザー級世界王者に輝いた。生涯戦績は21勝12敗1分だ。
山口はこれまでに2度、リーと5ラウンドを戦っており、どちらもベルトまであと一歩というところまで行った。
今後、もしリーと3度目の対決が実現するなら、“3度目の正直”となる可能性もある。
ジナ・イニオン
フィリピンの名門格闘技ジム「チーム・ラカイ」は数多くのONE世界チャンピオンを輩出していることで知られる。ラカイにとって次の世界王者はジナ・イニオンかもしれない。
イニオンは現在30歳。ウーシューのフィリピン王者に6度輝き、総合格闘技でもその優れた打撃を生かして活躍してきた。
だが直近の数試合では、グラップリング(組み技)のスキルを強化してきたところも見せつけた。
イニオンはプロ9勝4敗で、女子アトム級のトップ選手も倒してきた。あと1勝を挙げればベルトへの挑戦権を手にできるかもしれない。
メン・ボー
メン・ボーは中国史上、最も才能のある女性総格闘家の1人であることを証明した。
中国東北部の農家に生まれ育ったメンは、10代の頃にテコンドー、散打、柔術を習った。
2013年11月のプロデビュー戦ではWeili Zhangを撃破。その後、総合格闘技の中国王者に2度輝いた。
23歳のメンは2019年11月、いよいよONEに参戦。世界戦への挑戦経験のああるラウラ・バリン(アルゼンチン)を第1ラウンドにノックアウトで下し、見事なONEデビューを飾った。この後の活躍が楽しみな選手だ。
平田樹
20歳の平田樹は最近、ドラゴンボールのキャラクター「人造人間18号」のコスプレが有名になった。
だが同時に、試合での圧倒的なパフォーマンスにより、多くの注目を集めた。
柔道黒帯の日本の新星、平田はここまで6勝0敗。その全ての勝利をフィニッシュで挙げている。
直近では2020年2月、ナイリン・クローリー(ニュージーランド)と対戦し、第3ラウンドにグラウンドパンチの猛攻で初のTKO勝ちを挙げている。
ジヒン・ラズワン
マレーシアの総合格闘技のパイオニア、 アン・オスマンが2017年に選手生活を引退した時、ジヒンはすぐに次のヒーローとして名乗りを挙げ、母国の国旗を誇らしげに振った。
ウーシューの世界チャンピオンでブラジリアン柔術の紫帯でもあるジヒンは、両方の特徴をうまく組み合わせて総合格闘技で成功を収めてきた。
ここまでのプロ戦績は5勝2敗。ジヒンは既に、ONE女子アトム級世界戦に挑戦経験のあるジェニー・ファンのような強豪を倒している。
まだわずか21歳という若さでまだまだ成長の余地は大きいだろう。マレーシア初の総合格闘技世界チャンピオンになることも夢ではない。
プリシラ・ヘルタティ・ルンバン・ガオール
プリシラ・ヘルタティ・ルンバン・ガオール(インドネシア)は、世界最大の格闘技団体ONEで厳しいスタートを切った。だがウーシューの世界チャンピオンに2度輝いた実績の持ち主として、一瞬にしてキャリアを好転させた。
ルンバン・ガオールは過去9試合のうち7勝。インドネシアで最も人気のある総合格闘家の一人として浮上した。
世界中のファン、そして何よりも家族からサポートを勝ち取らなければならなかったルンバン・ガオールは、ここまで驚くべき道のりを歩んできている。
石毛里佳
石毛里佳(タイ)は全ての階級を通して見ても、最も面白いアスリートの1人と言える。
笑顔が特徴の石毛は、タイのパイオニアとして、母国の女性が格闘技を志すための道を切り開いてきた。
空手、合気道、ムエタイに精通しており、ブラジリアン柔術では青帯を持つ。これらを生かしてONEではここまで、驚異的なサブミッション勝ちとTKOでの勝利を挙げてきた。
試合に出ていない時の石毛は、モデルやコスプレ活動でも知られる。
リトゥ・フォガット
リトゥ・フォガット(インド)は総合格闘家としてのキャリアは浅いものの、既に強烈な印象を残している。
フォガットの家族は、日本でも公開されたインド映画「ダンガル きっと、つよくなる」のモデルとなったレスリング一家。スーパースターとなった25歳のフォガットは、2019年初めにシンガポールに拠点を移し、メガジム「Evolve MMA」でトレーニングを始めた。
これまでのところ、この決断は報われている。
2019年11月のプロデビューでは第1ラウンドにTKO勝ちを収め、2020年2月にも圧倒的なパフォーマンスを見せて勝利を挙げた。この調子で行けばフォガットは、インド初の総合格闘技の世界チャンピオンになる可能性がある。