【9/6大会】王者ノンオーと対戦、ブリース・デルバールを侮れない3つの理由
「ONE: IMMORTAL TRIUMPH」で、ブリース・デルバール(アルジェリア)がノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)が持つONEバンタム級ムエタイ世界タイトル奪取に挑戦する。
ノンオーはムエタイ史上、最も偉大な選手の1人であり、ONEチャンピオンシップでもこれまでのところ全勝。9月6日(金)、ベトナム・ホーチミンで、ノンオーが2度目のタイトル防衛に成功するというのが衆目の一致するところだ。
一方、デルバールは若干20歳。フランス・ニースで生まれ、アフリカにあるフランスの海外県・レユニオンで育ち、13歳でトレーニングのためにパリに移った。「両親の故郷であるアルジェリアと、フランスの両国を代表したい」と話す、このアスリートの可能性を否定することは大きな間違いだ。デルバールはこの若さにして、すでにS-1ムエタイ世界王座を獲得しており、33勝5敗という優れた戦績をあげているテクニシャンなのだ。
ベトナム大会でのメインイベントに先立ち、ONEの専門家の分析を聞いてみよう。
#1 技術面
デルバールはマムーディジム所属で、エリアス・マムーディとは同門にあたる。
マムーディ同様、デルバールもオールラウンドな打撃スキルを持つ至高のテクニシャンだ。用心深く遠い距離から攻撃を繰り出すことも、踏み込んでクリンチ状態からヒジやヒザを爆発させることもできる。
「デルバールの試合を見たことがない人は、9月6日大会を大いに楽しみにしていてほしい」と語るのは、ONEの解説者、マイケル・シャベローだ。
「デルバールのスピードは一級品だ。デルバールは危険だ。デルバールはありえない角度から切り込んでくる。フレンチ・ムエタイの特徴を1つあげるとすれば、それは洗練だ。洗練の中に、運動量と手数の多さをミックスしてくる」
デルバールはまた、チャンピオンに対して身長とリーチで上回っており、体格差を活かした距離の長いパンチやキックを効果的にヒットさせる技術も持っている。
格闘技を始めた頃から天才的な才能を見せていたデルバールだが、ジムでのトレーニングやタイでの出稽古を通して、世界中のどんな強豪とも渡り合える選手へと成長してきた。
「デルバールをムエタイマシーンに育て上げるべく、優秀なコーチやトレーニングパートナーを求めてフランスに連れて行ったのは、彼の母親だったのだそうだ」と、ONEの元選手で解説者のミッチ・チルソンは述べている。
「ムエタイの世界でついにここまでたどり着いたこの若者の生い立ちと足跡には、本当に感銘を受ける」
#2 創造性
デルバールは対戦相手を驚かせるべく、型破りな技を取り入れることをためらわない。
ムエタイでは多くの選手が重心を低く落とし、系統だった方法で戦うことを好んでいるが、デルバールの場合には、豪快なフィニッシュを狙って荒っぽいテクニックを繰り出すことをためらわないのだ。
「詩、文学、絵画など、フランス人は何をするにも芸術的だ。フランスのキックボクサーやムエタイ選手もまた、芸術的なんだ」とシャベローは言う。
「フランスのマーシャル・アーティストは、本当に文字通りアートな戦い方をする。デルバールも例外ではない」
「9月6日大会でデルバールは、まさにいま全盛期にある若い芸術家のパワーを見せてくれることだろう」
空中殺法や回転技、果ては側転蹴りにいたるまで、デルバールが短期決着を狙って繰り出す妙技に期待しよう。
#3 攻撃性
今年5月の「ONE:WARRIORS OF LIGHT」で行われた鈴木博昭戦でノンオーはすばらしい試合をしたが、鈴木がノンオーの正面に立っていたことで、ノンオーは有利に試合を進めることができたという面はあった。おかげでノンオーは、破壊力満点の大振りの右パンチを何度もヒットさせることができたのだ。
しかし、積極的に前に出続け、相手を追い詰めるデルバールの場合、それは期待できない。
格闘技界最高峰のベルトを賭けて、キャリア最大の難敵に挑むデルバールは、歴史的な番狂わせを狙って、試合開始直後からフルスロットルで攻めてくるに違いない。
「この天才は対戦相手にすさまじいペースを押しつける。カウンターのパンチは極めて正確だし、世界でトップを取ってやろうというハングリー精神でも右に出る者がいない」とチルソンは言う。
「レジェンドと対戦し、自分の名前を歴史に残し、史上最強の選手から世界王座を奪取するー。デルバールはついにそのチャンスを手にしたのだ」
ホーチミン | 9月6日 (金) | 19時半(日本時間) | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)