【4/8大会】歴史的大会ONE On TNT I、忘れられない瞬間5選
ONEチャンピオンシップの4月8日(木)の「ONE on TNT I」は、歴史的な大会となった。
ONEフライ級世界王座決定戦をはじめとする6試合は、最初から最後まで世界中の観客を魅了した。そして、試合終了を告げるゴングが鳴り、ONEのケージ「サークル」で起こった全ての出来事を反芻し、未来を占うべき時が訪れた。
試合の興奮が冷めやらぬ今、米国のテレビのゴールデンタイムで生中継されたイベントを振り返ってみよう。
#1 新たな世界最高のフライ級選手が誕生
ONEフライ級世界チャンピオンのアドリアーノ・モラエス(ブラジル)は、ONEフライ級世界グランプリ王者DJことデメトリアス・ジョンソン(米国)を迎えての防衛戦で、当初はアンダードッグと見なされていたかもしれない。だが、最終的には自身が世界最高のフライ級総合格闘家であると証明してみせたのだった。
この試合まで、14年間にわたってジョンソンをフィニッシュした者はいなかった。
見事な右アッパーでダウンを奪い、ヒザを見舞って試合を決めたモラエスは、第2ラウンドでノックアウト勝利を挙げ、この階級での王者としての地位を固めたのだった。
モラエスはすでに輝かしい経歴を有していたが、このスター性あふれるパフォーマンスでそれは疑いないものとなった。
#2 アルバレスvs.ラピクス、再戦を!
総合格闘技界のレジェンド、エディ・アルバレス(米国)と、2位ライト級コンテンダーのユーリ・ラピクス(モルドバ)との対戦は、思わぬ結末を迎えた。
アルバレスがトップコントロールを握ったまま試合が盛り上がり始めた時、ラピクスの後頭部に打撃が当たり、結果的に失格となってしまった。
アルバレスもラピクスもこのような形の決着を望んでおらず、再戦の機会は与えられるべきだろう。
アルバレスは果たして再び世界王者を目指すための道筋に戻れるのか、それともハングリーなラピクスが再び王座に挑戦する機会を得られるのか。この2人の再戦を見るまで、それはわからない。
#3 どこまで行く⁉︎オマール・ケイン
ゼネガルのレスリングのスターオマール・ケインは、直前に対戦相手が変更された。だが、気持ちを切り替え、キックボクシングのバックボーンを持つ新しい対戦相手、パトリック・シミッド(スイス)に特訓中の打撃スキルを披露しようと「サークル」に乗り込んだ。
ケインの重い打撃で、シミッドは後退。そしてケインは強みのグラップリングで勝負を決めにかかった。
激しい打撃スキルを披露したケインは、ヘビー級の選手たちに明確なメッセージを送った。彼はもはや単なるレスラーではないと。そして、世界チャンピオンになるために必要なあらゆる手段を駆使して、総合格闘技のスキルを磨いていると。
ソーシャルメディアのファンも、見事な第1ラウンドフィニッシュ勝利を挙げたケインに期待を寄せている。今後どこまで伸びるのか、ケインからは目が離せない。
#4 間違いないONEスーパーシリーズ
世界最高のストライカー4人が、ONEスーパーシリーズの魅力を存分に見せつけた。
フェザー級のキックボクサーチンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン)とエンリコ・ケール(ドイツ)は3ラウンドのスリリングな試合で、印象的な打撃を繰り出し合い、最終的にはケールがスプリット判定でアラゾフを下した。
大会を締めくくったのは、ONEフライ級ムエタイ世界チャンピオンのロッタン・ジットムアンノン(タイ)とダニエル・ウィリアムス(オーストラリア)の対決。ウィリアムスはロッタンを相手に善戦し、印象的な3ラウンドのワンマッチとなった。
厳しい戦いではあったが、ロッタンはユナニマス判定でONEで10勝目を挙げ、「サークル」を立ち去った。
4人のアスリートは、「サークル」で全力を尽くし、ONEスーパーシリーズの素晴らしさを際立たせたのだった。
#5 マゴメダリエフ、有力挑戦者候補に
ONEウェルター級世界チャンピオンのキャムラン・アバゾフ(キルギス)の次なる挑戦者を占う一戦で、ダゲスタンのフィニッシャー、レイモンド・マゴメダリエフ(ロシア)が勝利を収めた。
マゴメダリエフは米国のグラップリングのエースタイラー・マグワイアのテイクダウンを驚異的なバランスでしのぎ、クリンチで追い込んだ。
マグワイアが戦いの場をマットに移しても、マゴメダリエフは即座にカウンターとリバーサルで対応した。
辛抱強くタイミングを待ち、窮地に陥ることはなく、マゴメダリエフは3連勝とした。タフで決定力のある相手に完璧なパフォーマンスを見せたことで、この階級でのマゴメダリエフの株は急上昇。アバゾフに挑戦する準備ができていると証明した。