【2/20カタール大会】「ONE171」大会ハイライト5選

2月20日にカタールのルサイル・スポーツ・アリーナで開催された「ONE 171:Qatar」。2度目となるカタール大会は、10試合がフィニッシュ決着、3試合が激闘と格闘ファンにとって忘れられない夜となった。ONE史上に残る“神興行”の「ONE 171:Qatar」の記憶に留めて欲しいハイライト5選を以下に紹介する。
#1 ジョシュア・パシオが完全復活!フィリピンMMA界のGOATに
ジョシュア・パシオとフィリピンMMAにとって最高の瞬間だった。1年前のカタール大会「ONE 166」で、パシオはジャレッド・ブルックスと対戦したが、反則技のスパイキングを受けて首を負傷。ブルックスの失格で王座は手にしたが、怪我による戦線離脱を余儀なくされた。さらに、パシオは膝の前十字靭帯を断裂し、欠場の期間がさらに長引いた。
多くのファンがパシオの復帰に期待と不安を見せたが、パシオはまるで車の最新モデルがショールームから出てきたかのようなパフォーマンスを披露した。
最大の敵ブルックスとの3度目の対戦、第1ラウンド劣勢を強いられたパシオだったが、第2ラウンドから反撃。全局面で圧倒し、最後は怒涛のラッシュでフィニッシュ。圧巻のKO勝利でONEストロー級MMA世界統一王者に輝いた。
大怪我からの1年ぶりの復帰戦で、衰えるどころか、さらに進化した姿を見せたパシオ。その勢いはまだまだ続くはずだ。29歳ながらも7度のタイトル戦勝利を飾るなど、フィリピンMMA界のGOAT(Greatest Of All Time/史上最高選手)の地位を手にしたと言えよう。
#2 王者ジョナサン・ハガティー、“アンチ黙らせる”完勝!
昨年9月開催の「ONE168」でスーパーレック・キアトモー9に初回KO負けを喫しONEバンタム級ムエタイの王座を失ったハガティー。
その衝撃的な敗戦とキックボクシングルールでの戦歴があまりないことで、下馬評では挑戦者のウェイ・ルイが有利。ハガティーは2本目のベルトも失うのではとの声が少なくなかった。しかし試合ではハガティーが卓越したテクニックで中国スーター選手を圧倒。勝利に疑念を抱いたアンチを黙らせる強さを見せた。
前戦の負けでかなり苦しい精神状態だったに違いが、ハガティーは戦いを通して『真の王者とは何か』というのをファンに見せた。自身が世界最強のバンタム級キックボクサーであることを証明して見せたのだ。
#3 シャミル・エルドアン 、ミドル級MMAタイトル挑戦に大きく前進
今大会、無敗のミドル級コンテンダー、シャミル・エルドアンが世界に衝撃を与えた。元同級王者のアウンラ・ンサンを30秒以内で倒したのだ。
“ミャンマー英雄”ンサンは開始すぐから強いプレスでエルドアンをケージ側まで追い込んだが、ンサンの動きを読んだエルドアンは左ハイキック!アゴを撃ち抜く一撃でンサンに失神KO勝利した。わずか6カ月間のダイレクトリマッチ、ンサンから2度のKOを飾ったエルドアンは元々、そのレスリング力で知られていたが、スタンド打撃も脅威であることを知らしめた。
プロキャリア11連勝と無敗街道を走るエルドアン、同級王者のアナトリー・マリキンに挑戦する日はそう遠くなさそうだ。
#4 ロベルト・ソルディッチ、劇的KO勝利!
“ロボコップ”の愛称を持つロベルト・ソルディッチが衝撃のワンパンKOでONE初勝利を飾った。
対戦相手は強豪のダギ・アサラナリエフ。試合開始序盤はアサラナリエフの猛攻に受けに回ったソルディッチだったが、アサラナリエフの右ミドルに合わせ、ソルディッチは強烈な左カウンター!アサラナリエフは宙に舞い失神ダウン、衝撃のKO劇となった。
欧州MMAでの活躍で鳴り物入りでONEに参戦したソルディッチ、3戦目に手にした初勝利は世界を驚かせる劇的なものだった。ONEウェルター級MMAの台風の目になるに違いない。
#5 MMAレジェンド2名が引退の花道
元ONEバンタム級世界王者のビビアーノ・フェルナンデスとONE史上初の2階級制覇王者に輝いたマーティン・ニューイェン、2名のMMAレジェンドが今大会を最後に現役引退を宣言した。
ビビアーノは長年のライバル関係であったケビン・ベリンゴンと対戦し、接戦の末にスプリットの判定勝利で有終の美を飾った。ニューイェンは、連勝中のフェザー級4位シャミル・ガザノフと対戦。激闘で会場を沸かせたが、判定3-0で敗北。試合後、着用していたグローブをサークルに残し引退を示唆した。
ONEのMMA黎明期を支えてきたフェルナンデスとニューイェン。単なる競技の勝敗を越え、“魂の偉大さを解き放つ”勇姿は世界中のファンの心に刻まれたに違いない。