【1/10大会】A NEW TOMORROWで学んだ5つのこと
ONEチャンピオンシップは1月10日(金)、タイ・バンコクで2020年最初の大会「ONE:A NEW TOMORROW」を開いた。2020年がこれまでで最高の1年になることを予感させる、素晴らしい大会となった。
バンコクのインパクト・アリーナでは12試合の熱戦が繰り広げられ、ONE屈指のスターたちからいくつもの新しい洞察を得ることができた。
「ONE:A NEW TOMORROW」で学んだことの中から、覚えておくべきこと5つを紹介する。
#1 ロッタンのボディブローは強烈過ぎる
ジョナサン・ハガティー(英国)は今大会のメインイベントで、ロッタン・ジットムアンノン(タイ)と再戦。第1ラウンドでダウンさせられた時も、凄まじい精神力を見せて立ち上がった。だがボディへの執拗な攻撃は、あまりに強烈過ぎた。
ノックアウト・アーティストとして知られる22歳のロッタンは、試合前の言葉通り、いい勝ち方でONEフライ級ムエタイの世界タイトルを守った。「挑戦者はボディへの攻撃に対応できないだろう」というロッタンの言葉は正しかった。
ロッタンが第3ラウンドに再び、ボディへの強烈なパンチの嵐を浴びせると、ハガティーから再びダウンを奪うのにそれほど時間はかからなかった。
ハガティーは再び立ち上がるが、ロッタンは相手がほとんど限界に近いことが分かっていて、簡単に攻撃を決める。そしてロッタンはボディに何度も何度も強打を打ち込み、さらに2つのダウンを奪った後、TKO勝ちを手にしたのだった。
#2スタンプはグラウンドでも進化を続ける
スタンプ・フェアテックス(タイ)はストライカーかもしれないが、総合格闘技でONE女子アトム級の選手と組み合っても、やはり強い。
スタンプは今大会、プージャ・トーマル(インド)と対戦。2019年8月にアシャ・ロカ(インド)と対戦した時と同じように、マットでの組み合いになるとすぐに、トーマルとの試合を完全にコントロールした。
最初に寝技の戦いになったのは、トーマルの巧みな掛け技からだった。だがスタンプは簡単に立ち上がる。そして次に両者がマットに倒れこんだ時、スタンプは有利なポジションを取り、そのまま打撃を浴びせてフィニッシュに持ち込んだのだ。
ムエタイとキックボクシングでONE世界王者2冠のスタンプが、総合格闘技に参戦した時、同じ階級のトップ選手たちはおそらく、レスリングやブラジリアン柔術ではスタンプよりかなり優位に立てると感じたはずだ。だがスタンプは強くなり続け、多くの選手に十分に対抗できるまでになっているように見える。
#3 センマニーはONEスーパーシリーズに順応
センマニー・サティアンムエタイ(タイ)は、ONEデビュー戦でもっとうまくやれたはずだという思いを抱いていた。そしてその思いが、山田健太(健太)を相手に披露した、驚異的なパフォーマンスにつながった。
センマニーがバンコクのムエタイの試合で慣れ親しんできた5ラウンド制の試合とは異なり、ONEスーパーシリーズは3ラウンド制。時間切れになる前に、フィニッシュしたり、ジャッジに良い印象を与えたりするためには、選手たちはより速いペースで試合を進めることが必要になる。
2019年11月のアジズ・ハライ(モロッコ)との試合の時とは対照的に、センマニーは試合が始まるとすぐに速攻にかかり、ノンストップの打撃で健太を圧倒した。
ムエタイの世界タイトルを7つ持つ22歳のセンマニーは、タイ国内トップの才能ある選手の一人だった。だが今はメジャー大会でもトップに到達するために調整できたように見える。
#4 シネチャツガはONE契約に値する
リッチ・フランクリンの「ONEウォリアーシリーズ(OWS、ONEの人材育成・発掘のための大会)」から這い上がってきた全ての選手が、ONE本大会で活躍できるわけではない。だがシネチャツガ・ゼルトセトセグ(モンゴル)はマー・ジャウェン(中国)を相手に、OWSで見せてきたようなパフォーマンスを披露した。
シネチャツガはこれまで3試合で、その試合時間が記憶に残るほど、あっという間のKO勝ちを決めてきた。そして今回さらに、衝撃的な右オーバーハンドによってKOをもう1つ加えた。
戦歴はこれで11勝2敗1分。その経験とフィニッシュ力は、フェザー級を脅かすのに十分だ。
#5 三浦の袈裟固めは避けるべき
三浦彩佳はこれまでONEで3試合を戦い、その全てで得意技の袈裟固めを決めてきた。
マイラ・マザール(ブラジル)が第1ラウンドに、三浦の締め技から抜け出したのは驚きだった。
だが三浦は再び、同じくらいの力をかけてやり直し、自分が別次元のアスリートであることを示した。そして今回は何も三浦を妨げることはなかった。
三浦の得意技の袈裟固めを止めるには、もはや彼女をノックアウトするしかないかもしれない。