【11/16大会】AGE OF DRAGONSで学んだ5つのこと
「ONE:AGE OF DRAGONS」ではスリリングなマッチアップ、劇的なフィニッシュ、記憶に残るパフォーマンスが見られ、2019年のONEチャンピオンシップの中で最もエキサイティングな大会の1つとなった。
グローバルなステージで見られる試合のクオリティの高さを考えれば驚くような話ではないかもしれない。しかし、中国・北京での試合は多くのファンの期待値を超えた。
11月16日(土)にキャデラック・アリーナで開催され、忘れられない夜となった大会でわかった5つのことを紹介しよう。
#1 エナッシは誰もが認めるナンバー1
イリアス・エナッシ(オランダ/モロッコ)は、8月のデビュー戦でONEフライ級キックボクシング世界王座を勝ち取ったのだが、世界一の称号に関して1つの疑問が生じた。
特に中国のファンの中には、彼が「クンルン·ファイト(KLF)」世界王者のワン・ウェンフェン(中国)より優れていることを証明していないという意見があった。2017年での対戦は、僅差の判定でワンがエナッシを下し、両者の対戦成績は1勝1敗だった。
最大の称号をかけて行なわれた今回のラバーマッチで、エナッシは世界王者に相応しい実力を証明しようとした。
ワンが試合のペースを上げ、ラウンドを重ねるごとに力強さを増していったが、23歳のエナッシはプレッシャーをかけられても落ち着きを保ち、アウトサイドから滑らかで、的確なカウンターを着実にヒットさせる。
エナッシは5ラウンドを通じて中国出身の挑戦者と尋常ではないスピードで打ち合い続け、打撃スキル、試合勘、恐るべきスタミナを披露し、スプリット判定で王座防衛に成功。フライ級王者の肩書きを確固たるものにした。
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#2 クリークリャは別次元の生物
ウクライナの巨人ことローマン・クリークリャは、2015年にスーパーコンバット・ワールドグランプリのタイトルをかけてタリック・ケバベス(モロッコ)と対戦した際、判定で敗れた。
それから4年の月日が経ち、2人はONEライトベビー級キックボクシング世界王座をかけて再戦。KLF王者のクリークリャが打撃の連打を浴びせて2ラウンドでフィニッシュさせ、凄まじくレベルアップした姿を見せた。
不屈のアプローチで対戦相手の気持ちを折るケバベスに対し、クリークリャは真っ向から正確で、パワフルな打撃で打ち合い圧倒。
ハイキック、それから強打のコンビネーションで、ケバベスがONEスーパーシリーズの4試合で対戦したアスリートが成し遂げられなかった勝利を挙げた。
前回の敗戦から学び、アスリートとして進化したクリークリャが、「格闘技の本拠地」ONEの歴史に名を刻んだ。
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#3 ONE立ち技シリーズ出場選手は侮れない
長年格闘技を見ているファンに、「ONE:AGE OF DRAGONS」に出場する選手の中で知名度の高い2人は誰かと聞けば、大半はヨドサンクライ・IWE・フェアテックス(タイ)とヨリーナ・バース(オランダ)の名前を挙げるだろう。
2人はムエタイとキックボクシングの世界でレジェンド的な存在だが、両者はONE史上最もショッキングな部類に入る形で敗れた。
過去10年ムエタイで無敗を誇ったヨドサンクライだったが、ジャマール・ユスポフ(ロシア)の打撃の前に沈んだ。ユスポフは、タイのヒーローからダウンを奪い、2ラウンドにKO勝利を収めた。
プレリムでは、ドイツのクリスティーナ・ブロイアーが距離を取りながらアタックし続けた結果、バースはスプリット判定でキャリア初の敗戦を喫した。
これら2試合の結果から、グローバルなステージでは、どれだけ評価が高いアスリートであろうと、試合に勝つには常に自分の戦いに持ち込まないといけない、ということがわかった。世界中のベストストライカーたちも、象徴的な立ち位置を狙っているのだから。
#4 フォガットは天性の総合格闘家
大きな注目を集めグローバルなステージにやって来たインドのレスリング界を代表するリトゥ・フォガットが、総合格闘技への転向が正しかったことを証明した。
フォガットは、北京でのデビュー戦で韓国のキム・ナムヒに勝利し、新たなキャリアで好スタートを切った。
インドのハリヤナ州出身のフォガットは、予想通りにベースのレスリングを武器にテイクダウンに持ち込む。
そこから進化中の総合格闘技のスキルを生かし、素晴らしいポジショニングでコントロールすると、身につけたばかりのグラウンド・アンド・パウンドでまとめてTKO勝利を掴んだ。
この勝利により、フォガットはすでに一人前の総合格闘家になりつつあることが証明された。シンガポールのメガジム「Evolve MMA」の強力なバックアップがある以上、高い知名度を誇る25歳の彼女に限界はない。
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#5 サーデュラエフはアンストッパブル
ユサップ・サーデュラエフ(ロシア)が、またもONEで印象的なパフォーマンスを披露した。日本のコンテンダー、竹中大地を下し、ONEバンタム級世界王座挑戦にまた一歩近づいたのだ。
サーデュラエフは一進一退の攻防の末にスプリット判定で勝利。危険な竹中の打撃をもらっても終盤に挽回できる力を証明した。
しかも彼は、第1ラウンドに腕を骨折していた疑いがありながらも最後まで戦い抜いた。勝利を掴んだサーデュラエフは、腕を固定した状態で会場を後にした。
激戦区のバンタム級でも、打たれ強く、エクセレントなグラップリングの実力の持ち主で、これだけのタフネスさを持ち合わせているサーデュラエフの存在は際立っている。34歳の彼は、この階級の頂点に挑戦する資格を持った候補の1人だ。
ケガが癒えた後の話にはなるが、今回の勝利により、ロシア出身はビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)にとって最も危険な相手になるかもしれない。
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