【2/28大会】 KING OF THE JUNGLEで学んだ5つのこと
#1 スタンプだって負けることもある
「ONE: KING OF THE JUNGLE」以前、ONEアトム級キックボクシングとムエタイ2冠の世界王者スタンプ・フェアテックス(タイ)の敗北は、想像するのも難しかった。
苦戦する試合の時ですら、スタンプは常に持つ力を最後の最後まで使い切り、勝利を手にするように見えた。だが、ジャネット・トッド(米国)との今回の再戦はそうはいかなかった。トッドはスプリット判定での勝利を手にするのに十分な戦いを見せたのだ。
再戦となった今回の試合で、トッドはスピード、鋭いボクシング技、力強いローキックを活かし、ほぼ完璧にゲームプランに従うことで勝利を手にした。後半、勢いに乗ったスタンプが攻め始めた時も、トッドは冷静さと反撃するだけの体力を保っていた。
トッドの努力はスプリット判定による勝利と自身初の世界ベルトによって報われ、スタンプのキックボクシングの王者としての君臨は終わった。
#2 36歳のサムエーなおも絶好調
ファンの多くは36歳のサムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)が20歳のロッキー・オグデン(オーストラリア)に勝ち、ONEストロー級ムエタイ初代世界タイトルを手にすることを望んでいただろう。その希望は正しかった。
オーストラリア出身の若手、オグデンは危険なボクシングと鋭いキックで知られるタイの伝説の王者サムエーを前にしても恐怖を見せずに攻め続けたが、スキルとスピードの面ではるかに劣っていた。5ラウンド終了後、ユナニマス判定で勝利を手にしたのはサムエーだった。
#3 ザンボアンガ、挑戦権獲得は当然⁉︎
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)と山口芽生との試合が終わった数秒後、ONE会長兼グループCEOチャトリ・シットヨートンはザンボアンガはONEアトム級世界王者アンジェラ・リー(シンガポール)への挑戦権を獲得したと発表した。
ザンボアンガがONEデビュー戦での素晴らしい戦いに次いで本試合でキャリア史上最高のパフォーマンスで勝利を収めた後では、まったく意外ではなかった。
山口はこれまでに2度リーに挑戦しているが、ザンボアンガはボクシングで山口を圧倒し、グラップリング技を防ぎ切り、力強いクリンチで相手をフェンスに押さえ込み、完膚なきまでに打ちのめした。
ユナニマス判定で勝利したザンボアンガは連勝記録を7勝0敗に更新。リーはより手強い対戦相手となるはずだが、ザンボアンガはこれまでの総合格闘技の試合同様、底力を発揮し困難に打ち勝つかもしれない。
#4 ウォーゼンの打撃は上達
トロイ・ウォーゼン(米国)のONE参戦後の2試合における作戦はシンプルなものだった。相手をマットに引きずり下ろし、レフェリーが止めに入るまでグラウンドパンチを浴びせる、それだけだ。
ONE3試合目となる今回、ウォーゼンはシンガポールの目がジム「Evolve MMA」で磨いたスタンディングの技を見せるという決意を実践してみせた。最も印象的だったのは、彼がヘッドキックを披露した相手が未熟なストライカーではなく、危険なノックアウトアーティスト、マーク・フェアテックス・アベラルド(ニュージーランド/フィリピン)だったということだ。
もちろん、ウォーゼンはレスラーとしてのルーツも忘れなかった。得意のグラップリングに移行した時、ウォーゼンの技にアベラルドは苦戦した。
トレーニングを積むほどウォーゼンの実力は上がっていくだろう。バンタム級の他のアスリートにとってはバッドニュースかもしれない。
#5 チャンは教えるだけじゃない
ジェフ・チャン(カナダ)は運営するYoutubeチャンネルの「MMAShredded」やSNSを通じて何十万人ものフォロワーに格闘技のテクニックやコンセプトを教えている。ジムだけでなく、ONEの舞台でも十分なスキルを見せてくれるはずだとファンは期待していただろう。
今大会のオープニングを飾ったラディーム・ラフマン(シンガポール)との試合でのパフォーマンスは、チャンが自身が教える内容をすべて実践する実力を持ち、語るよりも多くの知恵をこれまでに身につけてきたことを思わせた。
チャンは歯切れのいいストライクと滑らかなグラップリングで支配し続け、第2ラウンド、リアネイキッドチョークでのサブミッションがちでONEデビューを飾った。