格闘技歴7年のアリ・モタメッドがONEとの契約を勝ち取るまで

Ali Motamed One Warrior Series Event July 2018 2 3

アリ・モタメッド(イラン)がついに大きなブレークスルーを果たした。

28歳のモタメッドは12月4日に開かれたONEチャンピオンシップの登竜門大会「ONEウォリアーシリーズ(OWS)」で、7回目の勝利。ONEとの契約を勝ち取り、本大会への出場を決めたのだ。

モタメッドにとっては長い道のりだった。格闘技を始め、最初のパンチを放ったのは7年前だ。

この機会に期待の新星モタメッドについて紹介したい。

イランからマレーシアへ

モタメッドは、イランのテヘランで生まれ育った。最も人気のあるスポーツと言えば、フリースタイルレスリングとサッカーの2つだった。

子どもの頃はサッカーに打ち込み、10代になっても他のスポーツのことは考えたことがなかった。

モタメッドの父親は2010年、イランからマレーシアに移り、レストランを開くことにした。モタメッドも父親を手伝い、現地で学校に通った。

だが父親は新しいレストランのビジネスで思うように成功できず、やがてイランに戻ることを考え始めた。

その頃にはモタメッドは既に、マレーシアに馴染んでいた。親しい友人が何人もできて、いい仕事も見つけていた。だから彼はマレーシアにとどまることにした。

「父はマレーシアがあまり好きではなかった。父親は『イランに戻るつもりだ』という感じだったが自分は行きたくはなかった。マレーシアで自分の人生を始めたかったんだ」

格闘技との出会い

マレーシアに住んでいた2012年、モタメッドは新しい情熱に出会った。

「初めてパンチしたのはほぼ6年前だと思う。それまでは格闘技の試合なんか見たことはなかった。本当の戦いはね。自分が知っていたのは、映画に出てくるアクション俳優のブルース・リーやジャン=クロード・バン・ダムくらいだった」

「友人の一人がムエタイの選手だった。ある時、試合を見に来るよう誘われたんだ。見に行く前はそれが何なのか、何が起こるのか全く想像もつかなかった。でも試合を見に行って、1試合見て、これがやりたかったんだってわかった」

「その次の日にトレーニングを始めた。ジムに行き、トレーニングにトレーニングを重ねた。その日からずっと合宿をしているような感じだ。その最初の日からずっと、プロのように本気で取り組んできた」

モタメッドはサッカーが大好きだったが、ムエタイには他のスポーツにはない魅力をもっていた。人生に何か足りないと感じていたことが、ムエタイのトレーニングを始めて全て満たされた。リングで2人の選手の間で交わされる、純粋な戦いに惹かれたのだった。

ムエタイへの情熱はすぐに燃え上がった。そしてモタメッドは、マレーシアからタイに移り、プロとしてのキャリアを追求しないかという誘いを受ける。

彼はすぐに荷物をまとめ、ムエタイ発祥の地でトレーニングを受けた。そして打撃のスキルを磨いている中、新しい格闘技に出会ったのだ。

「最初の数ヶ月はムエタイだった。それ以前は総合格闘技が何なのかさえ知らなかった」

「(総合格闘技に出会った後)ムエタイよりも好きになった。だから代わりに総合格闘技を始めたんだ。だから自分は全てできる。ムエタイもやったし、ブラジリアン柔術もやった」

両親の支援を受けて

モタメッドは3年間、アマチュアで活躍する。その中で、後にONEのベテランとして知られるクリッサダ・コンスリチャイ(タイ)やエディ・カライ(マレーシア)を破った。そして2016年4月にプロになった。

衝撃的な勝利や屈辱の敗北など、いい時もあれば悪い時もあった。だが情熱を冷ますようなものは何もなかった。

モタメッドは夢を追いかけていた当初、両親にはそのことは隠していた。格闘技のことは隠していたのだ。だがやがて、両親に打ち明けることになる。

「最初、両親は自分が何をしているのか知らなかった。何をやってるのかきちんとは話さなかった。でもようやく打ち明けた時、両親は自分を支えてくれた」

「打ち明けたその日からサポートしてくれたが、両親には気を付けるように言われた。プロとしてではなくて趣味でやってほしいと思っていたんだ」

「でもその後、自分が強くなっていくのを見て、全面的に支えてくれるようになった。格闘技が大好きだったし、おかげでより良い人間になることもできたから」

登竜門大会で頭角

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Posted by ONE Championship on Friday, December 6, 2019

モタメッドの総合格闘技への情熱は2018年、OWSへの舞台へと彼を導いた。そこでモタメッドは大きなブレークスルーを果たす。

2018年3月のデビュー戦で、ジョン・ダウン(韓国)に衝撃のノックアウト勝ちを収めたのだ。

たが続く2試合では悔しさを味わった。2018年7月にマーク・フェアテックス・アベラルド(ニュージーランド)に僅差の判定敗けを喫す。さらに今年2月にはシネチャツガ・ゼルトセトセグ(モンゴル)にも破れた。

だごモタメッドはめげなかった。

「勝ち負けが大事なのではない。自分の持てる全てを出しきることが大事なんだ」

「結果は本当にあまり重要ではない。やるべきことができなかったとしたら、それは残念なことだ。でもそれでも構わない。次の試合に向けて頑張るだけだ、というのはあまり好きではない」

モタメッドの前向きな考え方は、最終的に彼を大きなの成功に導くだろう。

モタメッドは8月にユナニマス判定でゼチェリア・ランジ を破り、12月初めに吉野光をスプリット判定で下し、ONEとの契約を勝ち取った。

2020年にはOWSの勢いをそのままに、これまでに学んだことを生かしてメジャー大会の舞台で活躍するつもりだ。

「目標に触れ、夢に触れた。いつだって何かを吸収している。自分の好きなことをしているから強くなれるんだ」

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