アルジャン・ブラー「ベラ戦、判定にはならない」
アルジャン・ブラー(インド)は歴史の変わり目にいる。
ONEチャンピオンシップデビュー戦となった、2019年10月の「ONE:CENTURY 世紀」第2部で、強打が持ち味のマウロ・チリリ(イタリア)を相手にユナニマス判定勝ち。印象的なデビュー戦白星を挙げたブラーはその後、ONEヘビー級世界タイトル戦の挑戦者に選ばれた。
ブラーは次の試合で、ヘビー級の王者として君臨するブランドン・ベラ(フィリピン)に挑むことになる。この試合が総合格闘家としてのキャリアで最も重要な試合になるだろうと、ブラーは気を引き締める。
「ONEを代表し、総合格闘技を代表したいなら、ベルトが欲しいと思うだろう」と34歳のブラーは強調する。
「特定の人々(インド)の中で初めての世界チャンピオンになりたい?それなら責任を果たさなければならないし、自分はそれら全てを喜んで引き受けたいと思う」
インド初の総合格闘技の世界王者になるためには、ブラーはONEヘビー級で最も圧倒的な強さを誇るベラを倒す必要がある。
ベラが世界最大の格闘技団体ONEに電撃デビューしたのは2014年12月。第1ラウンドでイゴール・スボラ(ウクライナ)を撃破してみせた。
その後、ポール・チェン(イギリス)をわずか26秒でノックアウトして初代ONEヘビー級世界タイトルを獲得。さらに関根秀樹とチリリをどちらも第1ラウンドで下して、見事に2度の防衛に成功した。
42歳のベラはこの階級では無敵を誇ってきたが、ブラーはベラの連勝を止め、インドにベルトを持ち帰ることができると確信している。
「ブランドン(ベラ)はここ数年に渡り、ONヘビー級世界王者に君臨してきた」
「全ての勝利をフィニッシュで挙げている。さまざまな攻撃オプションを持っている。ダイナミックだが、これからは自分の時代だ」
「彼はONEにとっても、フィリピンにとっても、総合格闘技にとっても素晴らしいアンバサダーだ。でも自分も同じであり、インドやインド人、自分の周りの人たちを代表して戦う。自分の番が来たんだ」
当時、ブラーは歴史的な対決に備え米国にいたが、すぐにカナダ・バンクーバーの自宅に戻った。
「カリフォルニアの格闘技ジム『アメリカン・キックボクシング・アカデミー』でトレーニングしていた。全ての準備は整っていたが、コロナウイルスが爆発的に広がり始めた。自分は『とにかく家族のところに帰らないと』という感じだった」
試合に向けたトレーニングキャンプは中断されたが、ブラーがトレーニングを中断することはなかった。そして、困難な状況の中でもポジティブな側面を見出していた。
「自宅にはジムとして完璧に機能する設備がある」
「必要なものは全て自宅にある。十分に体調を維持しており、全てが通常に戻ったら、すぐに仕事に取り掛かって次の試合の準備を整えられるだろう」
「それが身体的なこと。精神的には絶好調だ。家族と過ごす時間に退屈や孤独などはないからね。家族とのふれあいは素晴らしい。もうすぐ2人目の子どもが生まれるんだ。だから今ここにいる間、そのプロセス全体を楽しんでいるよ」
ブラーは一方で、目の前の仕事に集中し続けており、歴史的な偉業を達成するために、ベラの過去の試合の研究なども進めている。
総合格闘技はインドではまだ発展途上だが、人気が高まっており、ONEに参戦するインド人アスリートの数は毎年増えている。
ブラーがベラを王座から引きずり下ろし、インド初の総合格闘技世界チャンピオンになることができたなら、次の世代に限りなく大きな影響を与えるだろう。
「(ONEに)移ろうと考えていた時、それは自分のやることリストの1番上にあった。いつだってそこがゴールだった」
「レガシーであり、歴史だ。永遠に続くものだ。他の人がやりやすくなる。道を切り開き、どうやったらいいのかを示し、次世代のアスリートに自分にもできるんだということを示したい」
「とても楽しみにしている。インド国内や世界中にいるインド人はとても大きな可能性を秘めている。(インドには)格闘技の長い伝統がある。格闘技やブランドンとの対戦という次元を超えて、そういうことを実際に見せたいと思っている」
「これは自分より大きなことだ。自分よりも大きなことができる時は、それだけの価値があるということ。そのことが本当に励みになっている」
大きな目標を持ち、やる気に満ちたブラーは、世界タイトル戦でベラを倒し、自分の時代が来たことを示すつもりだ。
「そのベルトのためなら何でもする。それが総合格闘技を始めた理由であり、ONEと契約した理由だから」
「判定までもつれることはないだろう。保証するよ。相手も同じ考えだろう。期待してほしい」
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