【10/9大会】激戦区!フライ級総合格闘技戦線を分析
総合格闘技のフライ級に再びスポットライトが当たろうとしている。
10月9日(金)の「ONE: REIGN OF DYNASTIES 」で、無敗のアレクシ・トイヴォネン(フィンランド)と、5位コンテンダーのリース・マクラーレン(オーストラリア)がコーメインイベントで対戦する。
この試合の勝者は、あと1、2勝でONEフライ級世界タイトル挑戦権を獲得できる位置につけることになる。
両者がONEのケージ「サークル」に登場する前に、ONEフライ級総合格闘技の現在について今一度振り返ってみよう。
現チャンピオン
アドリアーノ・モラエス(ブラジル)を、永遠に王座から引き摺り下ろすのは難しいだろう。
32歳のモラエスは、ブラジリアン柔術黒帯、無限のスタミナとムエタイ技術を有している。
モラエスは元々2014年9月、ジェヘ・ユスターキオ(フィリピン)に一本勝ちし、ONEフライ級世界タイトルを獲得したが、その後僅差のスピリット判定で2度王座から陥落。だが何度も諦めずにベルトを奪い返しており、2019年1月から現チャンピオンだ。
その間、モラエスは2位のダニー・キンガット(フィリピン)に第1ラウンド一本勝ち、2017年8月には3位のカイラット・アクメトフ(カザフスタン)をユナニマス判定で下すなど、フライ級のトップアスリートを相手に勝ち星を挙げていた。
モラエスのこれまでの3敗はすべてスプリット判定によるものだ。そのモラエスを王座から引き摺り下ろそうとしているアスリートたちも数人存在する。
次の挑戦者
DJことデメトリアス・ジョンソン(米国)は伝説的アスリートとして華々しくONEにデビューした。
ジョンソンは、突出したオールラウンドの才能を有し、プロ戦績は27勝3敗1分、12度総合格闘技の世界チャンピオンに輝いたアスリートとしてONEに参戦した。
2018年10月の契約以来、3連勝し戦績を伸ばしている。
最初にONEフライ級世界グランプリ準々決勝で若松佑弥の爆発的なパワーを攻略してサブミッションで勝利。準決勝でも、日本のスター和田竜光をユナニマス判定で下した。
そしてジョンソンは、ONEフライ級世界グランプリ決勝戦でダニー・キンガッド(フィリピン)をユナニマス判定で下して優勝を決め、2019年を締め括ったのだった。優勝のベルトに加え、ランキング1位になりモラエスへの挑戦権を獲得した。
古きライバルたち
モラエスと今一度対戦したくてウズウズしている2人のアスリートがいる。
ウーシューのスペシャリストであるキンガッドは2017年11月、モラエスに初プロ黒星を喫したが、そこから立ち直った。グラップリング技術を磨き、続く8戦ではジョンソンを相手に1敗した以外は7勝している。
そして今、キンガッドはもう一度ONE世界タイトル挑戦への機会を狙っている。もう1勝すれば挑戦の機会が与えられるだろう。
一方、アクメトフもモラエスとの待望の3戦目まであと一歩のところにいる。
レスリングのスペシャリストのアクメトフは2015年11月、ONEデビュー戦でスピリット判定でモラエスを下してベルトを獲得。だが、翌年は負傷で戦線離脱。2017年8月に復帰した時には、モラエスにユナニマス判定で負けてベルトを奪われ、以来3戦目の機会を伺い続けている。
アクメトフは2018年9月、グラップリングで圧倒してマ・ハオビン(中国)に勝ち、2019年3月にマクラーレンを僅差で倒して、現在2連勝中。
あと1人トップコンテンダーを倒すことができれば、モラエス挑戦への順番待ちリストのトップになれるだろう。
KOアーティスト
若松は、ONEで厳しいスタートを切った。
デビューから2戦目までは、キンガッドに僅差で敗れ、ジョンソンにサブミッション負けと、この階級のトップアスリートに屈してきた。だが、若松は諦めず、復調を遂げた。
2019年8月、若松は元ONEフライ級世界チャンピオンのユスターキオを2分足らずで仕留め、ユスターキオをノックアウトした初のアスリートになった。2ヶ月後には、元ONEバンタム級世界タイトル挑戦者のキム・デファン(韓国)をユナニマス判定で下した。
こうした活躍により、若松は4位コンテンダーに。そしてまだまだ順位を上げていく可能性もある。
コーメインイベントの出場者
「ONE: REIGN OF DYNASTIES 」のコーメインイベントでは、世界タイトル挑戦権を狙う2人のアスリートが激突する。
トイヴォネンは7勝0敗(2無効試合)という無傷の戦績を有しており、フィニッシュ率は100パーセント。うち6勝は第1ラウンドで試合を決めている。
爆発的な力を持つグラップラーで、パンチのパワーも抜群。2019年7月のデビュー戦では、藤沢彰博を相手に総合力の高さを見せつけた。トイヴォネンは第1ラウンドでリアネイキッドチョークを決め、一本勝ちしたのだ。
対するマクラーレンは柔術の名人。プロ戦績は13勝7敗と、トイヴォネンのように目立った戦績ではないかもしれないが、2015年12月のONEデビュー戦でマーク・ストリーグルに一本勝ちして以来、トップ級のアスリートとしのぎを削ってきた。
ムイン・ガフロフ(タジキスタン)にプロ初黒星をつけ、ONEバンタム級世界王者のビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)に善戦したがスピリット判定で敗れた。その後フライ級に転向し、和田、アナトポン・ブンラド(タイ)、ジャンニ・スッバ(マレーシア)、グルダーシャン・マンガット(インド / カナダ)を相手に4勝を挙げた。
現在ランキング5位のマクラーレンだが、ブラジリアン柔術黒帯の技術、レスリング能力、ボクシングの才覚、無限のスタミナを有しており、トップに躍り出る可能性を秘めている。
10月9日、勝者になったものは、フライ級のランキングを揺るがす存在として台頭するチャンスを得る。
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