ONE公式ランク5位、竹中大地のこれまで
竹中大地が、先日発表された ONEチャンピオンシップの「公式アスリートランキング」で総合格闘技バンタム級で5位になった。
30歳の竹中は修斗の元環太平洋フェザー級チャンピオン。ONEでのこれまでの戦績は2勝2敗。ランキング入りを受けて「ONEの舞台で評価してもらえるのは凄く光栄な事。今後はONEの舞台で新たな挑戦をする。そして活躍してベルトを目指す」と意気込んでいる。
この記事では、竹中のこれまでの歩みを過去のインタビューから振り返る。
ごく普通の子供時代
竹中は、大阪で生まれ育った。3人きょうだいの末っ子としてごく普通の子供時代を送ったという。
活発な子供でサッカーが大好きだった。
「小学校から高校までサッカーをプレイした。青春時代はサッカーに夢中になっていた」と、竹中は振り返る。
高校を卒業後、スパイクシューズを脱いだ竹中は、ビルの管理会社で正社員として働き始める。
「普通の会社員だった」という父親と同様、日本のごく普通のサラリーマンとなる道を歩むかのように見えた。だが、すぐに趣味として始めた活動が大きく人生を変えることになる。
テレビゲームを通じて
19歳になった時に、竹中はサッカーをやめた後、体が鈍ってきたと感じるようになった。
「しばらく運動をしていなかった。体力を戻す方法を探していた」
ある日、友達のアパートで遊んでいた時に、家庭用ゲーム機の「PlayStation」をすることになり、たまたま総合格闘技のゲームに挑戦した。
竹中はコントローラーを通じて投げ技を繰り出し、テイクダウンを狙った。そして、すぐさま興味が湧いてきた。
「テレビゲームがきっかけで、そこまで気にしていなかった総合格闘技に興味を持った」と、竹中は振り返る。
「その後ネットで総合格闘技に関する情報を探して、夢中になった」
それ以前は格闘技に関して多少の興味はあったが、テレビゲームが火をつけた。
新たな情熱
1年後、20歳になった竹中は大阪府和泉市の「パラエストラ和泉」の門を叩き、トレーニングを始めた。
すぐさま上達したものの、テレビゲームでプレイするように簡単にはいかなかった。
「総合格闘技を始めた時は、ジムの他の選手にやられてばかりいた」
「でも続けていくうち、だんだんやり返せるようになった。すごくスッキリした」
竹中は、アマチュアトーナメントでの力試しを始め、そして2012年6月にプロデビューを果たした。
ジムでの練習相手に背中を押されたのに加え、自分の実力を試したいと思ったからだ。
「柔術のクラスでよく一緒になっていた人に、プロになれるよ、って言われた。今もいい友達だけど、彼はそんなことをその時言ったなんて覚えていない」と、竹中は笑う。
「自分の人生を見渡して、何か1つのことに集中して本当に取り組んだことがあるかどうかを考えた。自分が何のために生まれたか試したいと思った」
若き竹中は新たに見つけた情熱に身を任せ、懸命な努力を続けた。そして、修斗やVALE TUDO JAPAN (ヴァーリ・トゥード・ジャパン)に参戦し、10勝0敗1分の戦績を築き上げ、環太平洋フェザー級チャンピオンにまで上り詰めた。
膝の負傷
絶好調の状態にあったその時、竹中は災難に見舞われた。
2016年の半ばごろ、練習中に膝を負傷し、試合出場ができなくなったのだ。医者の許可が降りるまで試合はもちろん、トレーニングすらできなかった。
「世界中にはもっと辛い目にあっている人がいると分かってはいても、2016年から2017年にかけて膝の故障は、精神的に辛かった」
「他の選手が成功していく姿や、同年代の友達が仕事で経験を積んだり、結婚したりしていた。それが自分の停滞感を強め、イライラしていった」
竹中は、途中でストップした道のりを再び歩み始めるその日に備え、試合内容を考えるなど、その時できることに集中した。
ONEの舞台へ
Dangerous Daichi Takenaka finishes BJJ World Champion Leandro Issa with HEAVY ground and pound in Round 3!📺: Check local listings for global TV broadcast📱: Watch on the ONE Super App 👉http://bit.ly/ONESuperApp
Posted by ONE Championship on Friday, August 2, 2019
竹中の不屈の精神は報われた。
怪我から回復した直後にONEチャンピオンシップと契約したのだ。
そして2018年2月、「ONE: QUEST FOR GOLD」で、ONEに初参戦。元世界タイトル挑戦者のキム・デファン(韓国)を相手に、白星デビューを飾った。
2019年8月の「ONE: DAWN OF HEROES」では、レアンドロ・イッサ(ブラジル)と壮絶な3ラウンドを戦い、TKOで勝利。この試合は、2019年第3四半期、ONE総合格闘技戦ベスト5に選ばれた。
格闘技との出会いが比較的遅かったにも関わらず、恐るべき上達の速さで、「普通の会社員」から世界最大の格闘技団体の舞台にまでたどり着いた竹中。
「格闘技が好き。選手が成熟していく過程から人柄が見えるし、生き様もわかるから」
「強烈なフィニッシュばかりを決める華やかな選手じゃないかもしれないけれども、ファンを元気にさせるような試合がしたい」