ジョシュア・パシオとダニー・キンガッドのeスポーツ愛

Joshua Pacio Danny Kingad ADUX0282e web

ONEストロー級世界王者のジョシュア・パシオ(フィリピン)と親友ダニー・キンガッド(フィリピン)は、ONEチャンピオンシップのケージ「ザ・サークル」以外で強敵と戦うこともある。仮想世界だ。

フィリピンの名門ジム「チームラカイ」の両者は総合格闘技への情熱を共有しているが、さらにeスポーツ好きという点も共通している。

Team バギオ市でトレーニングする、チームラカイの盟友ジョシュア・パシオとダニー・キンガッド

だがONEでは別の階級で戦っているのと同様、2人はビデオゲームに関してもそれぞれの道を行く。

パシオは常に、ファーストパーソン・シューティングゲームのファンであり、「コール・オブ・デューティ」シリーズを絶対的なお気に入りとして挙げる。

偶然にも、パシオにこのゲームを教えたのは、彼に格闘技を教えたのと同じ人、元ムエタイ選手の叔父だった。

「まだ本当に幼かった時に始めた。小学校だったと思う。おじさんから教えてもらって、それ以来『コール・オブ・デューティ』はお気に入りのゲームだ」

「その後、『プリンス・オブ・ペルシャ』と『アサシン・クリード』に切り替えた。大学時代には『Dota 』に移ったが、あまり集中してはやらなかった」



一方のキンガッドは、昔ながらの方法でビデオゲームと出会った。子どもの頃、アーケードでよく格闘ゲームをしていたのだ。

まもなく、ファーストパーソン・シューティングゲームで、今は「CS」として知られる「カウンターストライク(Counter-Strike)」 に夢中になった。

CSは、LAN環境を利用した多人数参加型通信ゲームとして2000年代初頭にフィリピンで人気を博した。キンガッドがこのゲームに夢中になったのも驚くべきことではない。

「小学校1年生の時にやり始めた」

「ビデオゲームに夢中になっていた。『モータルコンバット』とかの昔ながらの格闘技のアーケードゲームから始め、その後コンピュータゲームに移っていった」

トレーニング後のチームラカイ

複数人でオンライン格闘ゲームがスマートフォンで遊べるようになったことで、2人はついに、同じゲームでプレイするようになった。複数のプレイヤーがチームに別れて勝利を競うジャンルのゲーム、マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ (MOBA)の「モバイル・レジェンド」だ。

このゲームはフィリピンで非常に人気があり、チームラカイのほとんど全ての選手がプレイしている。元ONE世界王者のエドゥアルド・フォラヤンケビン・ベリンゴンもだ。

時に熱くなりすぎる時もあるが、パシオはこのゲームにより、チームメイトとの関係を強化できていると考える。

「みんな上手い。始めたばかりのエドゥアルド(フォラヤン)さんとケビン(ベリンゴン)さん以外はね。自分たちの絆を強めるのにいい(経験だ)」

だがキンガッドは、相棒のパシオが謙虚過ぎると思っている。さらにパシオが「モバイル・レジェンド」に少しばかり執着しすぎているとも感じている。

「ジョシュアは自分よりも上手い。あのゲームにはまっているからね」

2人は「モバイル・レジェンド」のスキルのレベルに関して意見を異にしているかもしれないが、ONEチャンピオンシップにeスポーツの真のキングがいると真剣に考えている点では同意見だ。その選手はデメトリアス・ジョンソン(米国)だ。

ONE Esports」のチーフブランドアンバサダーであるジョンソンは、最高クラスのゲーマーとして高い評価を得ている。実際ジョンソンは、格闘ゲームの「ストリート・ファイター」で、キンガッドをはじめ何人もの選手を倒した。2019年4月にタイ・プーケットで開かれたONEのアスリートをねぎらう集まり「ONE Elite Retreat」でのことだ。

パシオは、「ストリート・ファイター」であれ他のビデオゲームのコンテストであれ、ジョンソンには勝てないと思っている。

「他のアスリートと対戦するのは楽しい」

マーティン・ニューイェン(ベトナム/オーストラリア)もeスポーツが好きだと思う。彼と対戦してみたい。でももちろん、デメトリアス・ジョンソンもいる。彼は倒せそうにない。何でもプレイできそうだから」

昨年10月のONEフライ級世界グランプリ決勝戦でジョンソンに敗れたキンガッドは、eスポーツよりも総合格闘技でジョンソンを倒せる可能性の方が高いと言う。

「ジョンソンとeスポーツで戦うなら、それがどんなゲームであっても、自分自身をうまく出せるように本当に練習する必要がある。彼はとても上手だから」

「少しは食い下がることができるだろうが、最終的には彼に倒されるだろう。ジョンソンは本当にeスポーツに夢中だ。サークルでの再戦があったら、やり返すよ」

結局のところ、チームラカイの盟友の2人は、それぞれのONEでのキャリアと、総合格闘技でレガシーを築くことに完全に集中している。ゲームは余暇の時にするものであり、チームメイトとの絆を深めるための手段でもある。

「自分にとってはただの娯楽。格闘技に飽きることは絶対にない」

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