【10/13大会】世界戦黒星の教訓生かす!ダニー・キンガッドがDJ戦へ照準
ダニー・キンガッド(フィリピン)は、トレーニングを始めた時から、総合格闘技の世界チャンピオンになることを夢見てきた。そして今、DJことデメトリアス・ジョンソン(米国)を相手に、その時が来た。
10月13日(日)、東京・両国国技館で開かれる「ONE:CENTURY 世紀」の第1部で、ONEフライ級世界グランプリ(WGP)の決勝を戦う。対するジョンソンは間違いなく、フライ級ワールドGP史上最強のファイナリストだ。
キンガッドの前評判は、総合格闘技を代表するような存在のジョンソンに劣るのは間違いない。だが、キンガッドは待ち受ける試練を恐れてはいない。それは、2年前のある経験があるからだ。
2017年11月、22歳のキンガッドは、ONEフライ級世界王者アドリアーノ・モラエス(ブラジル)を相手に、タイトル戦に挑んだ。だが、まだその準備ができていなかったと、彼は認める。
「何かが足りなかった。 彼は自分を打ち負かした」
「何よりもまず、緊張していたことがまずかった。世界戦は初めてだったので、本当に緊張していた」
「ケージに上がったとき、ゲームプランのことなんかどこかにいってしまって、その通りに戦えなかったんだ」
その時の彼は、我々が知っている今のキンガッドではなかった。精力的で、あらゆる技を駆使するエンターテイナーであり、ONEフライ級の並みいる強敵を相手に圧巻の試合を見せてきたキンガッドではなかった。
モラエスの前に立った彼は戸惑っていた。攻撃を組み立てられず、簡単にローキックを捕まれ倒された。世界王者になるチャンスを、こんなところでみすみす終わらせるべきではなかったが、ブラジリアン柔術の黒帯でもあるモラエスに組まれ、自分を見失ったように見えた。
必死に逃げようとして背中を見せ、モラエスに絶好の機会を与えてしまった。しばらくしてモラエスは、リアネイキッドチョークを決め、キンガッドはあっという間にギブアップした。
「その試合で学んだことは、緊張していたら最大限の自分は引き出せないということ。頭と心が揺らいではだめだ」
「もし躊躇してしまったら、すべてを失う。 ゲームプランも。 そして弱くなる。 また、ゲームプランを頭に叩き込むということも学んだ。 プランに従い、忠実に実行しなければいけない」
「パニックに陥ってはだめ。パニックに陥ると、ゲームプランが台無しになる」
その敗北は、キンガッドの士気をくじいたかもしれないが、立ち直るまでに長い間はかからなかった。
彼はジムに直行し、うまくできなかったこと全ての修正に取り組んだ。グラップリングのレパートリーを徹底的に見直すことも含めて。
キンガッドはすぐに連勝街道を歩み始めたが、試合のたびにパフォーマンスを確認し、ミスや欠点の修正に全力で取り組んできた。
そのおかげでキンガッドは、エリート級選手を相手に6連勝を飾り、ONEフライ級WGP決勝へと駒を進めることができた。
「過去2年間、犯した全てのミスをチェックし、2度と同じ過ちを繰り返さないよう、ジムで修正に取り組んできた。だから総合格闘家として成長できたんだ」
「昔は非常に衝動的だったが、今ではよりリラックスしているし、戦術的になった。 グラウンドゲームも改善した」
新たな進化を遂げたキンガッドは今、トーナメントの頂点に立つ準備を整えた。
フライ級世界王者に12回輝いたジョンソンの方が優勝候補と見られているが、キンガッドは番狂わせを演じて、勝利をものにできると確信している。そして再び、モラエスとの世界タイトル戦に挑むつもりだ。
「あの敗北の後、自分は変わった。トレーニングの方法も進化した」
「より集中できているし、世界タイトルを獲得したいという、より強い気持ちを持っている。あの敗北は、自分を成熟させてくれた。今、ベルトを手にする準備はできている」
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東京・両国国技館 | 10月13日 (日) | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)
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「ONE: CENTURY 世紀」は、さまざまな格闘技から28人の世界チャンピオンが参戦する、史上最大の世界選手権格闘技イベントだ。フルスケールの世界選手権格闘技イベント2大会が同日開催されるのも、史上初めてのことである。
複数の世界タイトル戦、世界グランプリチャンピオンシップ決勝戦3試合、そして世界チャンピオン同士の対決をふんだんに取りそろえ、ONEチャンピオンシップが東京の両国国技館で新地平を切り拓く。