【6/11大会】モンコルペットは王者ロッタンの挑戦者になれるか?
モンコルペット・ペッティンディーアカデミー(タイ)は右パンチのストレートを、膝蹴りを食らわせようとしたエリアス・マムーディ(アルジェリア)に打ち込んだ。
あっという間にマムーディは後方によろめきながら倒れ、レフェリーが飛び込んで8カウントを数えた。マムーディは立ち上がったが、ダメージは大きかった。モンコルペットは、こうして第2ラウンドでダウンを奪ってスコアカードで優勢になり、試合の流れを決めた。
6月11日(金)の「ONE: FULL BLAST II」のメインイベントのONEスーパーシリーズ・ムエタイマッチで、25歳のモンコルペットは、フライ級4位コンテンダーのマムーディを相手にマジョリティ判定で勝利し、ONEでの無敗記録を4勝0敗と伸ばしたのだった。
しかし、そこで同時に疑問も生まれた。モンコルペットはロッタン・ジットムアンノン(タイ)の持つONEフライ級ムエタイ世界チャンピオンに挑戦する準備ができているのか? もしそうなら、その機会に値するのか? そうでない場合は次に誰と対戦するべきか?
階級の位置付け
モンコルペットは勝利を挙げたことで、少なくともフライ級4位のマムーディの座を奪ったことになり、いつでもロッタンに挑戦してもおかしくはない立ち位置にいる。
しかし、公式ランキングには、王者への挑戦を待っているアスリートに加え、トップ5入りしたばかりのモンコルペットとの対戦を狙う者もいるだろう。(モンコルペットのチームメイトであるフライ級5位のペッダム・ペッティンディーアカデミーは例外として)
2位のジョナサン・ハガティー(イギリス)はすでに2度、ペッダムは1度、ロッタンに挑戦して負けているため、今のところこの2人は世界タイトル戦線からは外れている。残るは1位のスーパーレック・キアトモー9(タイ)と、3位のパンパヤック・ジットムアンノン(タイ)だが、しかしパンパヤックはチームメートのロッタンとは対戦しないだろう。
残るスーパーレックは、ONEスーパーシリーズで4勝1敗としており、ロッタンの次の挑戦者として説得力がある。
もしロッタンとスーパーレックがONEフライ級ムエタイ世界タイトルをかけて戦うことになれば、モンコルペットは、ハガティーかパンパヤックと対戦することになるだろう。そこで、勝利を挙げられれば、ロッタンとスーパーレック戦の勝者に挑戦できる可能性もあるかもしれない。
無敗=挑戦権ではない
モンコルペットが世界タイトル挑戦候補として有力、というもう1つの理由はONEスーパーシリーズで無敗だから、というもの。
2019年以来、モンコルペットは強敵たちを次々に倒してきた。デビュー戦ではアレクシ・セレピソス(ニュージーランド)を、第2戦ではジョセフ・ラシリ(イタリア)を、第3戦ではクン・クメール・フライ級世界チャンピオンのソク・ティー(カンボジア)に、そして今回はマムーディに勝った。
しかし、ONEスーパーシリーズで無敗でも、世界タイトルを目指して戦い、夢敗れた選手はたくさんいる。
例えば、バンタム級1位のセーマペッチ・フェアテックス(タイ)は、ONEスーパーシリーズで3勝0敗とし、ONEバンタム級ムエタイ世界王者のノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)に挑戦。しかし、第4ラウンドでフィニッシュ負けを喫してしまった。
スーパーレックもONEスーパーシリーズで4勝0敗だったが、ONEフライ級キックボクシング世界チャンピオンのイリアス・エナッシ(オランダ / モロッコ)に挑戦して、ユナニマス判定で敗れている。
リベンジを狙って
モンコルペットはロッタンに挑戦するためのもう1つの理由がある。チームのリベンジだ。
2020年7月の「ONE: NO SURRENDER」でロッタンはペッダムにマジョリティ判定で勝利。ペッダムは見事な戦いぶりを見せたが、ロッタンが最終的に攻撃力とパワーで勝った。
ランキングでペッダムより上の位置につけるアスリートを倒したモンコルペット。もし、王者との対戦が決まれば、世界タイトルの夢に近づくばかりか、「ペッティンディーアカデミー」の名誉挽回にもなるだろう。
しかし、スーパーレックも同じくリベンジを求めている。ONEフライ級キックボクシング世界タイトルマッチでエナッシに敗れたスーパーレックだが、ONEスーパーシリーズ・ムエタイで2度目のタイトル挑戦が叶えば、自分が世界王者の器であると証明できる機会になる。
こうした2人、モンコルペットとスーパーレックが対戦することになれば、どちらがロッタンへの挑戦権に相応しいかを争う戦いになるだろう。
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