アシャ・ロカが「KOクイーン」と呼ばれるまで
「ノックアウト・クイーン」のアシャ・ロカが8月16日、「ONE:DREAMS OF GOLD」に参戦する。インド王者を含むアマチュアボクシングでの華麗な戦歴と、プロ総合格闘家として4戦無敗の完璧な戦いぶりを引っ提げて、ONEに乗り込む。
対戦相手はONEアトム級ボクシングとムエタイの世界王者、スタムプ・フェアテックス。立ち技二冠のスタムプは、3つ目のベルトを目指し総合格闘技に挑んでくる。ロカが実績通りのスキルを見せ付けスタムプの行く手に立ちはだかれるかが見所だ。
ONEデビュー戦を前に、ロカが世界の舞台に上がるまでの歩みを語った。
スポーツに励んだ子ども時代
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ロカはインド中央部マディヤ・プラデーシュ州の出身で、ネパールの血を引く家系の生まれ。 両親と兄妹とともに州都ボーパールで育った。
父親は地元の病院で、単純作業に従事して生計を立てていた。だが、つつましい生活の中でもスポーツに傾ける情熱は人一倍。子どもたちにもスポーツを熱心に勧めた。
「父が大のスポーツが好きだったおかげで、家族からとても良いサポートを受けられた」とロカは振り返る。
兄はクリケットに、ロカは地元のスポーツアカデミーでバスケットボールに励んだ。 しかし、3人兄妹が最終的にたどり着いたのはいずれも、ボクシングだった。
「兄はボクシングに夢中になった。彼のボクシングの技術は素晴らしい」とロカは付け加える。
「ある日、兄と一緒に何気なくアカデミーを訪れた。格闘技ってどんな風だろうって思って。そうしたらたくさんの女子と男子が一緒に、ボクシングの練習をしていた。 これは非常に魅力的でユニークだなって。それですぐ、参加してみることに決めた」
ボクシングとの出会い
🇮🇳 Undefeated mixed martial arts phenom Asha Roka makes her ONE debut on 16 August against two-sport ONE World Champion Stamp Fairtex 🇹🇭🗓: Bangkok | 16 August | 5:30PM | ONE: DREAMS OF GOLD🎟: Get your tickets at 👉 http://bit.ly/onegold19📺: Check local listings for global TV broadcast📱: Watch on the ONE Super App 👉 http://bit.ly/ONESuperApp 👨💻: Prelims LIVE on Facebook | Prelims + 2 Main-Card bouts LIVE on Twitter
Posted by ONE Championship on Friday, July 19, 2019
ロカは11歳から、地元の競技場でボクシングのレッスンを開始。トレーナーの一人がすぐ、ロカの才能を見いだした。
「自分は元々、格闘技が好きで、その中でも武術をやろうと思っていた。でもボクシングのコーチの一人が『ちょっとやってみないか』って声をかけてくれて」
「トレーニング初日が上出来だったので、コーチが練習に招待してくれた。それが自分のボクシングキャリアの始まり」
トレーニングに専念してまもなく、ロカは州のボクシングチームに参加する機会を得た。
そこで彼女は厳しい競争を勝ち抜き、アカデミーに籍を確保する。さらに、 栄養価の高い食事のため、そして通学の時間も惜しんで練習に充てるため、選手用の寮にも入った。
必要なもの全てに簡単にアクセスできる環境に身を置いたロカ。国内外のさまざまなタイトルを手に入れ、2013年にブルガリアで開かれた世界選手権では銅メダルを獲得した。
「最初の国際大会で金メダルを獲得した。その次に目指すべき最大の大会は、世界選手権だった」
「自分たちにとってこれはとても重要。世界選手権でメダルを獲得することは非常に大きなこと。 自分はその世界選手権でメダルを獲得したインド唯一の選手で、非常に誇らしい瞬間だった」
勇気ある決断
しかし、リング上でのありとあらゆる成功にもかかわらず、ロカの意思の及ばない要因が、彼女のボクシングの夢を阻んだ。
「インドで3年間、ボクシングが禁止された。その間、競技会は開催されなかった」
「合宿はあったが、遠征はなかった。 自分はやる気を失い、ボクシングへの興味も失った。 ボクシング界の権力闘争にも嫌気が差した」
「そんな頃、テレビで総合格闘技の試合を見ていて、すぐに虜になった。失うものは何もないと腹をくくり、ボクシングを休んで総合格闘技に挑戦することにした」
地元には総合格闘技をトレーニングできる場所がなかっため、ロカは荷物をまとめ700キロ以上離れたデリーに向かうことになった。
家族はなんとか説得しようと試みたが、ロカの意思は固かった。
「両親はとても怒っていた。 アカデミーに戻るよう何度も言わた。他の人も同じ。アカデミーに戻れって。でも自分はやりたいことをやるだけ」
「金銭的にも苦労した。家族からいくらか資金援助を受けていたが、必要なトレーニングを確保するのには不十分だった」
「当時はとても大変だった。でもデリーにいた友人らが支えてくれた。 一旦、総合格闘技の試合に参加できさえすれば、みんなが私の能力について知るようになると思っていた」
頂上への道
ロカの実力に懐疑的な視線が注がれる中、総合格闘技のデビュー戦では、より重量があり経験も豊富な相手を迎えた。そしてロカは、試合開始9秒でのKOで新しいキャリアの船出を飾った。
「『お前には無理だ』って言い続けた人たちに、自分を証明できた瞬間だった」と彼女は断言する。
ロカの総合格闘技での戦歴は現在、4勝0敗。4試合全てを合わせても勝利を手中にするまでにかかった時間は5分以内だ。ロカは今、世界の大舞台でデビューを飾りスタムプと戦うことを心待ちにしている。
「ONEチャンピオンシップに参加できて本当に光栄。アスリートが自分自身を証明できる非常に大きな舞台だから」
「母国を代表してONEに参戦したいと願っているインド人がたくさんいる。幸い自分はこのチャンスを得ることができたので、とにかくベストを尽くす」
「インド出身の女性格闘家として、このような大舞台に立ち、素晴らしい選手と戦うチャンスを得たことを、本当に誇りに思う。インドも他の国に負けてなんかいないということを、自分が証明してみせる」