コルビー・ノースカット「弟のセージと共に王者に」

American mixed martial artist Colbey Northcutt makes her ONE Debut

コルビー・ノースカット(米国)は昨年、弟セージ・ノースカットの後を追いONEチャンピオンシップに参戦した。弟同様に、彼女には達成したい大きな目標がある。

昨年11月、ノースカットは「ONE:EDGE OF GREATNESS」でONEデビューを果たすと、並外れた打撃と巧みなサブミッションの両方を披露し、勝利を挙げた。

27歳のテキサス州出身のノースカットは、ONE世界王者になるという目標に向けて大きな一歩を踏み出したが、ベルトを獲得するだけでは十分ではない。彼女が達成したいもう1つの目標は、ONEで2組目の兄弟姉妹で世界王者に輝くことだ。

非常に多くのエリート選手たちが世界最大の格闘技団体ONEに参戦しているため、これは間違いなく困難な道のりになるだろう。だがノースカット姉弟は試練を乗り越える準備ができている。

ノースカット姉弟は子どもの頃に、空手で世界チャンピオンになっており、大人になった今、総合格闘技で世界チャンピオンを目指すのは、彼らにとっては楽しみな挑戦だ。

この記事ではノースカットの、これまでの素晴らしい格闘技の道のりを紹介する。

子供の頃から競技生活

格闘技はノースカット家の血に流れている。父親は首里流空手の黒帯であり、子どもたちが大きくなるとすぐに空手を始めさせた。

ノースカットは7歳の時に父親の指導の下で練習を始め、弟のセージは4歳の時に続いた。

ノースカットはすぐに、競技空手やキックボクシングに天性の才能を示し、そのスキルを実戦で試すようになった。両親と弟と共に世界中を巡っては、最強の選手たちと競ったのだ。

「そんなことばっかりやっていた。とてもありがたいことに、両親が全ての時間とお金をかけて、世界中の試合に連れていってくれた」

「トレーニングをして週末は試合に出て、自分達は一緒にいた。とても楽しかった」

格闘技と学業に注力

トレーニングと試合に非常に多くの時間を費やしたため、ノースカットの青春は、一般的なものではなかった。

高校生活最後に開かれるフォーマルなダンスパーティのプロムなど、米国の高校生の典型的な学生生活を楽しむことはできなかった。なぜなら、常に格闘技と学業に専念していたからだ。

「時々振り返ってみて『どんな感じだったんだろう?』と思う。メキシコで大会に出ていたから」

「そういうこと全部、変えたかったとは思わない。普通の子ども時代ではなかったことについては、本当に、本当に感謝している」

最終的に、ノースカットは空手世界チャンピオンの座を36回、弟は77回も獲得した。そしてどちらも、米国の格闘技雑誌「Black Belt」の殿堂入りを果たした。

高校を卒業すると、ノースカットは厳しい決断をしなければならなかった。当時、女性には男性並に格闘技でチャンスを得るのは難しかったからだ。格闘技はまだ生活の大きな部分を占めていたものの、ノースカットは大学に行き学業に専念することにした。

「18歳の時、高校を卒業した後に大学に行くか、プロとして戦うことを考えていた」

「当時、女性はまとまったお金を稼ぐことができなかったから、選手としてキャリアを積めるのか、それとも学校に行くべきかわからなかった。その後数年間、アマチュアでの試合に何試合か出て、たくさんトレーニングをして過ごした。結局は何年間か、学校に行き学位を取った」

「いつもプロの格闘家になりたいと思っていたがが、最初は十分なお金を稼ぐことができるかどうか不安だった。だから今になってみて、今できることは本当に驚くべきこと」

弟がプロランクに入り、学業に励みつつも総合格闘技の最高レベルで戦っている間、ノースカットは別の道を歩んだ。やがてノースカットは同じ夢を追い、フルタイムで総合格闘技に取り組むことができるようになった。

格闘家としての試練

ノースカットは、スポーツ空手でのキャリアの成功と、アマチュア総合格闘技での成功を経て、2017年6月にプロランクに入った。

だが彼女のキャリアは、望んでいたようには始まらなかった。第2ラウンドにTKO負けという、めったにない敗北を喫したのだ。

その結果、ノースカットは総合格闘家として将来を不安に思ったが、それでも最終的に、決意をより強く固めることになったのだった。

「プロとしての初めての敗北では、間違いなく(格闘技において)最も辛い瞬間だったと思う」

「いったん落ち着いて、何が間違ってたのか、改善するためにどうしたらいいのかについて考えさせられた。それが最初の試合で、でも『本当にやりたいの?』と自問した」

「二度とそんな気分にはなりたくなかったから、全てを変えるつもりだった。そしてその通りにできたのは良かった。負けたのは悔しかったが、今ではそれで良かったと思っている」

ノースカットはテキサスからカリフォルニアに移り、格闘技ジム「Treigning Lab」で、高い評価を受けるベテランのマーク・ムニョスら新たなコーチ陣の下でトレーニングを始めた。

環境の変化と、試合からしばらく離れたことにより、ノースカットは再び活力を取り戻した。

チャンピオンへの道

コルビー・ノースカットがヘッドキックを決める

格闘技から離れて約2年半後、ノースカットは試合に戻ると、すぐに活躍を始める。

2019年11月、シンガポールで開かれた「ONE:EDGE OF GREATNESS」でONEデビューを果たし、最初から最後までプトゥリ・パドミ(インドネシア)を圧倒する戦いぶりを見せる。

ノースカットは第1ラウンド、短い右で一撃を食らわせると、ギロチンチョーク、三角締め、アームバーを駆使し、あと少しでサブミッション勝ちというところまで追い詰める。だが相手もしぶとく食らいつき、危険を逃れる。

ノースカットは第2ラウンド以降、さまざまなパンチとキックを繰り出し、最終的に、明らかな差を付けてユナニマス判定で勝利を獲得。ONEでのキャリアにおいて確かな一歩を踏み出した。

「最高だった」

「もちろんフィニッシュしたかったが、15分間やったのは初めてだった。それに2年半のブランクの後で、もう夢心地だった。だから最高。うれしかった。自分のパフォーマンスにとても満足している」

Karate World Champion Colbey Northcutt 🇺🇸 outstrikes Putri Padmi to earn a hard-fought unanimous decision win in her ONE debut!

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Posted by ONE Championship on Friday, November 22, 2019

ノースカットは今後数ヶ月の間に、試合で勝利を挙げて勢いを付けたいと考えている。今やONEを舞台に戦っているため、これまでよりも遥かに戦う機会が増えると期待している。

実際、ノースカットは弟と共に総合格闘技の頂点に立つことしか望んでいなかった。

2人は子どもの頃に競技空手でそれを成し遂げた。大人になって再び同様の偉業を達成するのは、素晴らしいことだとノースカットは信じている。

「ONEチャンピオンシップには、アンジェラとクリスチャンのリー姉弟がいる。自分たちは2組目。セージと一緒に戦うことができるなんて、本当に夢が叶ったという感じ」

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