【1/31大会】クォン・ウォンイル、母の涙が成功への契機に

Kwon Won Il DC 7616

クォン・ウォンイル(韓国)は昨年ONEチャンピオンシップにデビューした総合格闘家の中でもっともインパクトをもたらしたアスリートの1人。

ノックアウトアーティストであるクォンは、速攻フィニッシュを3度決め、フェザー級のコンテンダーとして名乗りを上げた。1月31日にフィリンピン・マニラで開かれる「ONE: FIRE & FURY」では、佐藤将光と対戦する。もしクォンが修斗バンタム級世界チャンピオンでベテランの佐藤を相手に勝利を決められれば、世界タイトル挑戦を引き寄せられるだろう。

だが、クォンは常にスターダムへの道を約束されていたわけではない。

モール・オブ・アジアアリーナでの重要な一戦を前に、クォンがどのようにして格闘技への情熱を発見したか、そしてONEでもっとも才能溢れる新進のスターとして台頭したかを振り返る。

母の涙

Kwon Won Il at ONE CENTURY

クォンは、首都ソウルから150キロ南に位置する韓国の5番目に大きい都市の大田で生まれた。

小学校の頃テコンドーチームに加入し、格闘技を始めた。天性の才能を発揮し、地方の競技会を勝ち抜いて国内の若手のトーナメントに出場した。

だが、クォンは模範的な生徒からは遠い存在だった。小学校を卒業すると、テコンドーをやめた。

「テコンドーに飽きてきた。その時は勉強にも練習にも集中できなかった」

さらに、クォンは他の生徒との喧嘩ごとに巻き込まれる。ついには、高校では素行の悪さがたたり、校長に転校を命じられた。

クォンは決定を伝える校長の前で見た母の涙が転機となったと振り返る。

「母が頭を下げて泣くのを見たのは初めてだった」

「その時、母の涙を止めるために何かしなければ気付いた。真剣にやりたいことを探すようになった」

新しい情熱

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クォンはすぐにソウルの北にある転校先を見つけた。新しい街、新しい友達。10代のクォンは新しい環境に刺激を受けた。

「人生で何かをしようと決心した」

「新しい学校の生徒は忙しいと気付いた時だった。彼らは夢や目標があるのだと気付いた。そのことが自分の人生で何ができるかを探し始めたきっかけになった」

クォンは総合格闘技のジム「エクストリーム・コンバット(Extreme Combat)」を見つけ、再びトレーニングに情熱を傾けるようになる。

当時総合格闘技は世界中で人気となりつつあり、クォンはすぐさま虜になった。

「振り返ってみたら、テコンドーは自分にとって単なる趣味だった」

「テコンドーに問題があったわけではない。ただ、自分にとって成長の機会が限られていたと思った。総合格闘技を知ってからは、夢中になった」

「テコンドーらしくもあったが、自分にとっては新しいものだった。もう登るべき山はない、と思ったら新しい山が現れ続けたんだ」

働き詰めて

Kwon Won Il YK 5110.jpg

総合格闘技のトレーニングを始めたクォンだが、すぐに経済的な問題に直面した。

「一番の障害だった。トレーニングを続けたかったが、お金を払わなければならなかったから」

「だから屋台で働き始めて、次にフライドチキンの店で働いた」

平日はトッポギ店で注文を受ける仕事をし、週末は他の飲食店でも働いた。

トレーニングは夜にしかできなかった。それは長く、疲労がたまるばかりの毎日を意味した。

「仕事の後ジムに着いた時は、精神的にも肉体的にもすごく疲れていた」

「でも何が何でもトレーニングを続けると決めていた。それだけは妥協するわけにはいかなかった」

19歳の時、総合格闘技でプロデビュー戦のために日本に行った時、苦労が報われた。相手は、すでに19戦をこなした宮川博孝。クォンは36秒でKO勝ちを決めた。

次のステップ

クォンは当初順調なスタートを切れたかと思ったが、次はマッチメークに苦しまされた。7戦で勝ち星を挙げたが、その戦績を築くまでに4年半を要した。

その後幸運にもONEと契約。これまで5試合をこなし、3試合で第1ラウンドTKO勝ちを決めた。

昨年1月の「ONE: ETERNAL GROLY」でONEデビュー。アンソニー・アンゲレン(インドネシア)を素早い右ストレートでたった67秒で下した。

4月の「ONE: ROOTS OF HONOR」では、エリック・ケリー(フィリピン)をわずか19秒で敗った。10月に東京・両国国技館で開かれた「ONE: CENTURY 世紀」では、スノト(インドネシア)を激しいグランド・アンド・パウンドで第1ラウンドで仕留めた。

現在、クォンは「ONE: FIRE & FURY」でONE4勝目挙げ、この階級のトップに立つチャンスを引き寄たいという意欲で満ち溢れている。

「ONEチャンピオンシップで夢が叶った。大きな舞台で戦いたかったし、ここではあらゆることを成し遂げたい」

「いつか世界チャンピオンのベルトを巻いて韓国に帰りたい」

マニラ|1月31日 (金) |ONE:FIRE&FURY|公式アプリで生中継(無料)|日本公式Twitter日本公式Instagram

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