【4/8大会】ダゲスタンの小村育ち、レイモンド・マゴメダリエフのこれまで

Raimond Magomedaliev Edson Marques ONE Collision Course 1920X1280 7

レイモンド・マゴメダリエフ(ロシア)は、ONEチャンピオンシップウェルター級の次のスターになる可能性がある。

幼少期をダゲスタンで過ごした現在30歳のマゴメダリエフは、4月8日(木)の「ONE on TNT I」で行われるタイラー・マグワイア(米国)戦の結果次第では、世界タイトル挑戦のチャンスも訪れるかもしれない。

プロ戦績は7勝1敗と総合格闘技のキャリアはまだ始まったばかりだが、幼い頃から格闘技経験があり、ONEのケージ「サークル」内で世界の強豪を相手にするための準備はできている。

ダゲスタンの小さな村で

Exclusive photos from Russian fighter Raimond Magomedaliev and Brazilian star Edson Marques’ MMA fight at ONE: COLLISION COURSE II on 25 December

マゴメダリエフはカザフスタンに生まれ、ソビエト連邦の崩壊とともに独立したその国で幼少期を過ごした。

5歳のとき、両親、兄、妹と一緒にダゲスタンのチャラダ地区にあるイリブという小さな村に移り住んだ。

ダゲスタンの首都マハチカラからは遠く離れていたが、マゴメダリエフは大都会から離れて幸せな生活を送っていた。

「子供の頃は、山の中の村に住んでいて、とても楽しかった。友達と一緒に羊の世話をしていた」と、マゴメダリエフは振り返る。

「母はミルク工場で働き、父は工場で働いていた。両親は勉強するように、母はスポーツをやるよう励ましてくれた」

牧歌的な生活とは裏腹に、マゴメダリエフは乱暴な子供で、そのため、両親は彼のエネルギーを前向きに活用する方法を探していた。

格闘技との出会い

息子を真っ当な人間に育てたい、そしてこの地域で生きていくために必要なものを身につけさせたいと思った両親は、マゴメダリエフをさまざまな格闘技のクラスに入れた。

「最初に格闘技を始めたのは9歳のときで、ウーシューの散打をやった」

「10歳のとき、父に連れられてレスリングスクールに行った。ここダゲスタンでは、強くないとかなり危険だから」

マゴメダリエフは、最初は格闘技で活躍できるようなメンタルや体格ではなかったと認める。だが、努力と根気により、マットの上で活躍するようになった。

「格闘技を始めた頃、自分はとても規律のない子供で、よく喧嘩をしていた」

「特に特別な能力はなかった。痩せた子供で。手足は長かったが、レスリングではあまり役に立たなかった」

「子供だったから簡単に学んでいった。頑張っていたし、覚えも早かった」



ロシアの首都へ

10代の頃、マゴメダリエフは再び旅に出ることになった。今回はトレーニングと勉強のために、約2千キロ離れたモスクワへ向かったのだ。

タフな人間に育てられたマゴメダリエフだが、首都での生活に慣れるには時間が必要だった。

「17歳のときに、親や家族、友人から離れて勉強するために引っ越した」

「最初は大変だった。村の少年が大都市に行ったのだから。だが、そのおかげで自分をより律することができるようになった」

そしてマゴメダリエフは、モスクワでの生活に慣れ、現在もそこに住んでいる。その間、格闘家として進化し続け、コンバットサンボと近接格闘術で全国チャンピオンになった。

そしてテレビで格闘技のスター選手を見て、次のステップに進むことを決意した。

「アマチュアのキャリアでやりたいことをすべて達成したと思った時、総合格闘技のプロになりたいと思った」

「総合格闘技を始める前は、K-1グランプリをよく見ていて、試合を見るのも、自分が戦うのも好きだったから、総合格闘技を始めた」

両親は、他の競技での活躍を応援してくれたが、総合格闘技への転向には首を縦に振らなかった。しかし、5勝0敗でキャリアをスタートさせると、両親はすぐに同意に転じたそうだ。

挫折と成功

Exclusive photos from Russian fighter Raimond Magomedaliev and Brazilian star Edson Marques’ MMA fight at ONE: COLLISION COURSE II on 25 December

マゴメダリエフは、17秒KO勝ちを挙げた直後、ONEチャンピオンシップに参戦したが、ONEデビュー戦では計画通りに行かなかった。

2018年11月の「ONE: CONQUEST OF CHAMPIONS 」では、当時無敗でONEウェルター級世界タイトル挑戦を狙っていたジェームズ・ナカシマ(米国)に敗れた。マゴメダリエフはその夜、ONEのケージ「サークル」に入ったことは間違いだったと振り返る。

「最初の敗北の後、自分自身に腹が立った。その時は病気で、膝に問題を抱えていた」

「コーチは、試合に出ないよう、もしくは日にちをずらすようにアドバイスしたが、自分はできるだけ早くデビューしたかった。戦うことに決めて、悪い結果となった。自分のプロ意識の低さに腹が立った」

さらに手の骨折が原因で1年以上の休養を余儀なくされた。だが、マゴメダリエフは失われた時間を取り戻し、待望のカムバックを果たした。

2020年1月の「ONE: A NEW TOMORROW 」では、ジョーイ・ピエロッティー(米国)を試合開始直後から攻め立て、容赦ない連打で圧倒し、ギロチンチョークで仕留めた。

同年12月の「ONE: COLLISION COURSE II」では、さらに秀逸なパフォーマンスを見せ、エドソン・マルケス(ブラジル)の無敗記録を見事なノックアウト勝ちでストップさせた。

マゴメダリエフは、この2試合で自身の力を世界に示せたと信じている。

現在、マゴメダリエフは、ハビブ・ヌルマゴメドフが所属する「イーグルスMMA」のエリートチームの指導を受けており、不本意なデビュー戦を乗り越え、世界の強豪を相手にする準備ができている。

「自分がトップレベルのファイターであることを証明できたと思うし、将来的にウェルター級世界チャンピオンになれると思う」

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