【2/7大会】怪我から回復サバス・マイケル、内藤大樹と対戦へ
サバス・マイケル(キプロス)は2019年、大けがを乗り越えるために何か月もの間、身体的にも精神的にも苦しい時期を強いられた。だがようやく、ONEスーパーシリーズムエタイのスターは、試合に戻ってくることができた。
タイに拠点を置くマイケルは2月7日(金)にインドネシア・ジャカルタで開かれる「ONE:WARRIOR’S CODE」で、内藤大樹と対戦する。ヒジの脱臼という試練を乗り越え、以前よりも強くなったと信じている。
そのケガに見舞われたのは2019年10月の「ONE:DREAMS OF GOLD」でのルーシラー・プーケットトップチーム(タイ)との対戦中、第2ラウンドでの出来事だった。マイケルは今、ONEチャンピオンシップの舞台で再び、自分のスキルを披露することを待ち望んでいる。
「自分にとっては全ては教訓。多くのことに気づくことができた」
「以前の自分のメンタリティはただ、ベルトを目指すということだけだった。でも今は、試合に出て自分のスキルを見せられれば、それだけでうれしい」
その試合はマイケルの第2の故郷であるタイの首都、バンコクでの大会だった。対戦相手のレジェンド、ルーシラーによってキャンバスに倒され、不自然な形で着地してしまったのだ。
マイケルはすぐに、大変なことが起こったとわかった。そしてケガの程度を知って自暴自棄になった。だが一旦、冷静になると、自分の行いを振り返り、進むべき道を目指すことを決意した。
「着地した時、凄まじい痛みを感じた。でも正直に言って心の痛みの方が大きかった。重症だとすぐわかったから」
「そういう形で試合に負けることは大したことじゃない。問題はケガから回復するまでの長い過程だ。最初は辛かった。最初の2週間、誰も自分に話しかけることすらできないくらい。本当に動転して怒りでいっぱいだった」
「でも2週間たって、試合を振り返ることができるようになった。そしてそこから学べることを探し始めた。自分はやるべきではないことをたくさんやっていた。だから今振り返ってみて、ケガをしたことはうれしくはないが、おかげで強くなることができた」
マイケルは故郷のキプロスに戻って家族や友人と一緒に過ごし、しばらくムエタイから離れた生活を送った。そこで集中的なリハビリを始め、理学療法を受けた。
精神的に前向きになれたこと、格闘技で培った強い意志、そして周囲のサポートにより、マイケルはケガを乗り越えることができた。
「最初はとても悲しかったし、ネガティブなことしか考えられなかった。でもしばらくして、そんなことでは何も達成できないと自分に言い聞かせた。ポジティブになる必要があった」
「ムエタイから少し離れてゆっくりする必要があった。家族や友人、自分を子どもの頃から知っていてくれる医師とね。毎日、時には1日2回の理学療法を受けることになっていた。ただ治すだけではなく、きちんと動かせるようにするためにね」
「ほぼ1か月半の間、手を伸ばすことができなくて、だんだん心配になった。でもやり続けていたら回復し始めた。リハビリは辛かったが、キプロスでの医療チームのおかげで早く良くなることができた」
マイケルは回復途上、忙しいトレーニングや試合のスケジュールから離れることになった。その時間、マイケルはプロとしての生活、そして私生活において、いろいろな物事を再評価することができた。
ムエタイへの情熱は強くなる一方だったが、自分のベストの形を取り戻すためには、バンコクに戻った時に変えるべきことがあると分かっていた。
「この休養の時間は役に立った。家でパーティをすることもあったが、自分はそういう人間ではないし、そういうことでは幸せにはなれないと気づいた。タイが恋しくて、タイでの生活のありがたみがわかるようになった」
「(以前は)本当に体が疲れている時でも、体を思いやろうとはしてこなかった。タイではトレーニング、試合、トレーニング、試合の繰り返し。試合の前に母に電話して『どうやったら自分が立てた計画通りにできるかわからない』と話したくらい」
「でももしまたそういう気分になることがあったら、マネージャーに休養が必要だと伝えるだけ。1、2週間の休みをとって家に帰り、気力を養ってくる」
「それに、自分の周りの本当に大切な人が誰かもわかった。勝っている時だけ応援してくれる人もいる。でも母やジムの人たち、理学療法士、それに2人の親友。彼らはいつもそばにいてくれた。タイに戻ってきたが、交友関係は狭めたままでいたいと思う。そのほうが自分にとっていいんだ」
こうして今、マイケルは復活して戻ってきた。ムエタイに魂を注ぐべく、かつてないほど気合が入っている。
対戦相手の内藤は、シュートボクシングのスーパーバンタム級王者。手強い相手だが、それこそまさに、マイケルが望んでいることだ。
「ONEで順調に勝っている選手と戦うことができてうれしい。自分はまた強豪と戦える所まで戻りたいと思っているから、自分にとって、相手が強いのは良いこと」
「いい選手だと思うが、ものすごく怖いという要素はない。今回はいろんな要素を取り入れたゲームプランを作ろうとしている。タイで一般的なスタイルよりも、もっと早めに動いてみようと思う。これもルーシラーとの戦いで学んだことなんだ。第1ラウンドにウォームアップして、その後のラウンドまで勝負を待つ、みたいな、タイのスタジアムでやっているようなことはしない。さっさと彼を倒したい」