【10/13大会】37歳仙三、弱さと向き合いトップ格闘家になるまで

Senzo Ikeda DSC_8738

偉大な格闘家への道程は決して平坦ではない。パンクラス フライ級キング・オブ・パンクラシストの池田仙三(仙三)もまた、ONE参戦までにいくつかの苦難を経験してきた。

仙三は恵まれた家庭で育ち、様々なチャンスを与えられたわけではなかった。学校生活も勉強もうまくいかず、自信を失った。

だが、仙三は不利な状況にも負けず、自らの弱さと向き合い、日本最強のアスリート達と戦ってトップに登り詰め、ONE参戦の機会を手にした。

ボクシングの経歴を活かした独自のスタイルにより、仙三はスリルに満ちた試合を見せる格闘家として知られるようになった。「ONE: CENTURY Part I」でのリト・アディワン戦では、まさにそのスリルを提供するつもりだ。

日本の東京で行われる試合を前に、37歳の仙三が、どのようにONE参戦のチャンスを掴んだかを語る。

続かなかった努力

Senzo Ikeda makes his entrance at ONE: A NEW ERA

仙三は仙台でひとりっ子として生まれ育った。両親は家計を支えるために長時間働いていたため、自分で自分の身の回りの世話をしながら過ごすことが多かった。

学校では苦労した。授業についていけず、子どもの頃から疎外感を感じていた。

「両親は忙しく、あまり家にいなかった。だから学校に行かないこともよくあった。うちは他の家庭とは違うと感じていた」と、仙三は振り返る。

「宿題をこなすことができず、提出せずに済ませることもあった」

スポーツにおいても、仙三は集中力を欠いた。小学校では野球を、中学校ではサッカーをプレーしていたが、どちらも興味を失うとやる気をなくしてすぐに諦めた。

そのうち悪い仲間とつるむようになり、高校には進学もしなかった。だが、大人になるにつれ、自分の人生を生きるためには何かを変えなくてはいけないと感じ始めた。子どもの頃からやせっぽっちで華奢だった仙三は、心と体を強くできる何かを始めようと決めた。

「中学を卒業した後、何もすることがなかった。ボクシングに出会ったのは16歳ぐらいの時だ。自分を強くするにはちょうどいいと思った」と、仙三は言う。

「あの時は悪い仲間とつるんで問題を起こしたり、悪い道を進み始めていた。自分を変える必要があると気がついたんだ。意志が弱かったから、(最初は)努力し続けることができなかった」

「ボクシングを始めて最初の2年間は、やめたりまた始めたりを繰り返した。トレーニングは厳しく、自分は何も達成できていなかった」

ボクシングに本腰

Senzo Ikeda swings a punch at Danny Kingad at ONE: A NEW ERA

仙三は、ボクシングを通して自分を変えることを諦めない決断をした。最終的に19歳の時、東京都北区の「ドリームボクシングジム」でゼロから再スタートを切ることになる。

18ヶ月のハードなトレーニングの後に経験したプロデビュー戦は、真の戦士としての自らのリングでの可能性に気づくきっかけとなった。

「プロデビュー戦では、自信を持ち過ぎていた。緊張はしたが、簡単に勝てると思っていた。試合が始まってすぐ、パンチを思いきりくらった。『痛ぇ!』と思った」と、仙三は振り返る。

「野球のバットで殴られたみたいだった。『こいつはうまいな!』と思った。アクティブに動かなければ、パンチでやられると思った」

「第1ラウンド残り10秒のところでノックダウンされて意識を失った。ベルのおかげで命拾いした。ほとんど覚えていないが、その後は必死で戦い、第4ラウンドで勝ったんだ」

仙三は8勝0敗という完璧な記録を積み上げ、2度地方大会で優勝した。だが、対戦相手が見つからないことに苛立ちを募らせ、ある時、友人にボクシングもやめようかと思うと打ち明けた。

30歳で総合格闘技

Senzo Ikeda shows his jiu-jitsu skills at ONE: A NEW ERA

友人はその才能を総合格闘技で活かすべきだと助言し、仙三は小塚誠司が率いる埼玉県のジム「フリーダム・オズを見学に行き、とりこになった。

プロボクサーとしての素晴らしい経歴はあったものの、30歳という年齢は新しい競技を始めるのに決して若くはなく、組み技のトレーニングは難しく感じられた。

だが、仙三は時間をかけてテクニックを習得し、トレーニングパートナーにもついていけるようになり、スキルセットにボクシングの技も取り入れ、過去の亡霊を追放することに成功した。

「最初のうちは押さえ込まれるばかりだった。いつもテイクダウンとサブミッションでやられていた」と、仙三は語る。

「意志が弱い自分も知っていたが、自分に負けたくないという気持ちが強かった。ボクシングはやめてしまったが、弱い自分を強く鍛えなければいけなかった。弱さを乗り越え、自分を変える必要があったんだ」

「だんだんと動きがつかめるようになり、ようやくストライクもできるようになった」

「総合格闘技では使えるテクニックも可能性も無限大だ。37歳は格闘家としては歳をとり過ぎているという人もいるが、総合格闘技の魅力は、常に学び続け、強くなり続けることができるところだ。年齢は関係ない」

ONE王者目標に

Senzo Ikeda and Danny Kingad share a show of respect at ONE: A NEW ERA

仙三の粘り強い努力とアスリートとしての進化は、フライ級キング・オブ・パンクラシストを目指す戦いにおいて証明された。

身体面で苦戦した場面もあったが、20178月、日本の伝説的格闘家、元修斗世界チャンピオンの山口守とのベルトを賭けた再戦で仙三はついに頭角を現した。

仙三は激しい戦いを見せ、一歩も引かずに型破りでエキサイティングな打撃で相手にプレッシャーをかけ続け、観客の興奮を掻き立てた。5ラウンドを戦い抜き、最後には借りを返して堂々と勝利を手にした。

仙三は自分を信じ続けた。フライ級で日本王者になると信じて疑わなかった。そして、20182月の若松佑弥との試合では驚異的な戦いを見せ、実際にその座を勝ち取った。

ONE参戦前の日本での試合はそれが最後となった。201812月に「パラエストラ千葉ネットワーク」に移籍した仙三は、内藤禎貴(のび太)をはじめとする日本最強のアスリートたちとトレーニングを重ね、今回、ストロー級で観客を喜ばせる試合を展開する意気込みに満ちている。

「キング・オブ・パンクラシストにはなれるとわかっていた」と、仙三は語る。

「今の自分の最大の目標はONEストロー級で世界チャンピオンになることだ。今の世界王者のジョシュア・パシオと、将来的にタイトルを賭けて対戦したいと思っている」

東京・両国国技館 | 10月13日 (日)  | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)

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「ONE: CENTURY 世紀」は、さまざまな格闘技から28人の世界チャンピオンが参戦する、史上最大の世界選手権格闘技イベントだ。フルスケールの世界選手権格闘技イベント2大会が同日開催されるのも、史上初めてのことである。

複数の世界タイトル戦、世界グランプリチャンピオンシップ決勝戦3試合、そして世界チャンピオン同士の対決をふんだんに取りそろえ、ONEチャンピオンシップが東京の両国国技館で新地平を切り拓く。

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