ニューイェン・トラン・デュイ・ニャットの「ドラゴンボール」愛
ニューイェン・トラン・デュイ・ニャット(ベトナム)は現実世界の格闘家だが、フィクションの世界である人気漫画「ドラゴン・ボール」のキャラクターたちにインスピレーションを受けてきた。
31歳になるストライカー、デュイ・ニャットは子供の頃から「ドラゴンボール」の熱心なファンで、物語を通して、強さ、名誉、戦士としての心構えなどを学んできた。
若い頃のお気に入りの時間は、「ドラゴンボール」の世界に浸ること。そして現在でもそれは生活の一部になっているという。
「『ドラゴンボール』は、子供時代の特別な作品。小学校の頃は、漫画は宝物のようなものだった。まだ67冊のコミックが自宅にある」と、明かす。
「今もこの漫画を読んでいたことを思い出す。友達と一緒に読んで、漫画のキャラについて語り合って、毎日本屋に行って新しい巻が出ていないか探したんだ」
「出版社は、週あたり数話しか載っていない小雑誌しか出さなかったから、次の週まで待たないといけなかった。新しい話が待ち遠しかったけれども、だからこそ新しい本を手にしたときの感激はひとしおだった」
特に主人公の孫悟空には引きつけられた。孫悟空は異星人の戦闘民族・サイヤ人で、世界を危機から何度も救った。
一方、デュイ・ニャット自身も格闘技家系の出身。孫悟空がヒーローとして人々を救う姿を見て、デュイ・ニャットは格闘技をより良い世界にするために役立てる、という考えに魅せられた。
「作品の全てのキャラは好きだけど、みんなと同じように孫悟空がアイドルだった」
「もともと強いのに、敵に勝つためにさらにハードワークをする。パンチやキックをガンガン繰り出すのに、優しくて、地球を守るという大役を果たす。自分の頭の中では真の格闘家なんだ」
デュイ・ニャットは、引っ込み思案の小学生・野比のび太が未来から来た猫型ロボット・ドラえもんとの日常生活を描いた「ドラえもん」も楽しんで読んだという。
だが、「ドラゴンボール」は絶対的なお気に入り作品となっている。
「両方の作品を読んだけれども、『ドラゴンボール』の方が好きだ。愛、意志の力、勇敢さなどが描かれている」
「孫悟空は本物の格闘家だ。かっこいい。ドラえもんに頼ってばかりいるのび太みたいにはなりたくないし。どちらかというと友達を助けるために闘う孫悟空のようになりたい」
作品と出会って以来、デュイ・ニャットは孫悟空というヒーローを見習いたいと思っている。
天賦の才能がありつつも、優しく、常に修行を怠らない点も、孫悟空を尊敬する理由だ。
デュイ・ニャットは、サイヤ人のような超人的な能力は持ち合わせていないが、絶えずハードワークを続けることにより、ムエタイのキャリアの高みに到達できると信じている。
「今でも現実世界の孫悟空になりたいと思っているんだ」
「孫悟空は、いつでもベストな状態じゃないという思いがあり、それが向上の原動力になっていた。この信念があったから、新しい敵と立ち向かう時に、より強くなっていった」
「そんな戦士としての心構えが好きだ。自分も日々向上しようとしている。悟空みたいにね!」
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