ONE選手秘話:ヨドサンクライ、10歳年下の妻との出会い
ヨドサンクライ・IWE・フェアテックス(タイ)は非常に忙しいスケジュールを送っているかもしれないが、数年前、めったにない休日のある日、彼は運命の出会いを経験した。
34歳のヨドサンクライはムエタイのレジェンドとして知られており、トレードマークの左キックは世界中で恐れられている。
しかし、もうすぐ結婚を迎える花嫁のプーペー(本名:ナパーポン・ペーローイ)が最初に惹かれたのは、数々のムエタイのタイトルや有名人としての地位ではなかった。それは彼の個性と魅力だ。
2人は2018年の初めに偶然出会った。ヨドサンクライが友人と共に、高校時代の友達の集まりに参加し、そこでプーペーと出会ったのだ。
プーペーは控えめな性格で、通常は知らない人と話をしないが、内気な少女はヨドサンクライと会話し、2人は意気投合した。
翌日、ヨドサンクライは再び友人と夕食に行くことにした。そして偶然にも、プーペーも一緒に来たのだ。
食事の後、ヨドサンクライは携帯電話で集合写真を撮影。写真を送るためにと、スムーズに彼女のLINEアカウントを聞き出した。
プーペーはすぐ、ヨドサンクライがリーダーシップと思慮深さの両方を兼ね備えていることに気づいた。ヨドサンクライが次の行動に出た時、その思いはさらに強まった。
「彼は意図を非常に明確にしていて、友人としてメッセージを送ってきたのではなかった」と24歳のプーペーは語る。
ラジャマンガラ工科大学タンヤブリ校を卒業したプーペーは当時、バンコクの政府機関で働いていて、ムエタイについては何も知らなかった。
一方、ヨドサンクライは2018年5月18日の「ONE:UNSTOPPABLE DREAMS」で、ONEチャンピオンシップのデビュー戦直前で、全ての時間をタイ・パタヤのジムで過ごす必要があった。
言うまでもなく、それは2人の関係を進展させる妨げとなった。
「トレーニング中には自分に会いに来ることができなかった。試合が終わるまで会うのを我慢しないといけないと彼女に伝えた」
「最初は、彼女は理解していなかったし、おそらく誰か他の人がいるのだろうと思っていた」
だがそうではなかった。ヨドサンクライはONEスーパーシリーズへのデビューの準備に集中していただけだった。そしてシンガポールで開かれた「ONE:UNSTOPPABLE DREAMS」で、クリス・ンギンビを相手にユナニマス判定で勝利を収めた。
勝利のわずか1日後、ヨドサンクライはプーペーと正式に交際を始めた。
ヨドサンクライはすぐにプーペーに夢中になった。プーペーも、格闘家としての生活やアスリートとして覚悟すべき犠牲を理解すると、そばにいて、あらゆる方法でヨドサンクライを支えたのだった。
「彼女は本当によく自分の面倒を見てくれた。自分の心も含めてね」
「荷物の整理から食事の準備、身の回り品の取り扱いまで、全てを手伝ってくれる。自分のために全てやってくれる」
試合の合間には、2人は一緒に過ごす時間を見付けた。それは月にたった2度しかないこともあった。
彼らは一緒に公園を散歩したり、映画館で最新作を鑑賞したり、ロマンチックなディナーを楽しんだりして時間を過ごした。
プーペーはムエタイのレジェンドと結ばれることなど、夢にも思っていなかった。それにもかかわらず、彼女はヨドサンクライからいくつかのことを学んだ。
「ヨドサンクライと出会って、人生について、より大きな見方をすることができるようになった」
「自分の現実の状況と向き合って生きることを学んだ。テレビドラマみたいなものではなくてね。私たちは美しい世界を見るのが好きだが、ヨドサンクライは多くの世界を生きてきた。彼は私のパートナーであり教師でもある」
やがてヨドサンクライは、プーペーと結婚したいと思うようになった。
だが10歳下のプーペーに心を捧げる前に、彼には相談したい別の女性がいた。
子どもの頃からそばにいて、ヨドサンクライを今日の輝かしい世界チャンピオンになるまで見守った、母親だ。
「最初に母に尋ねた。母は本当に彼女が好きだったから、それで終わり。母が大丈夫である限り、自分は大丈夫」
そこから、2人は結婚について話し合うために、お互いの家族に会った。ロマンチックなプロポーズはなかった。真実の愛と、これが2人にとって正しい決断であるという、お互いの気持ちだけだった。
花嫁側の高僧と縁起の良い日付を相談し、結婚は2人が付き合い始めて2年目の記念日に近い、2020年5月10日に決まった。
もともと花嫁の家で500人が集まってお祝いも執り行われるはずだったが、コロナウイルスの影響を考慮して延期された。
2人の結婚式は当日、近親者のみが参列して、タイの伝統的なやり方で行われる予定だ。そして大きなお祝いは、後日開かれることになった。
現在、ヨドサンクライは親友との結婚式をあと数日後に控え、2人の将来を楽しみにしている。
「自分の残りの人生を、この愛する女性と共に歩むことにした」
「プーペーと新しい家族を作ることを、とても楽しみにしている。温かくて絆の強い家族にしたい」