【7/6大会】ダゲスタン生まれの無敗挑戦者、アリベック・ラスロフのこれまで
アスリートとしての成功を追い求めてきたアリベック・ラスロフ(トルコ)の努力は、7月6日(土)の「ONE Fight Night 23」でついに結実することになるかもしれない。
タイ・バンコクのルンピニー・スタジアムで行われる同大会で、ラスロフはオク・レユン(韓国)とONEライト級MMA暫定世界王座を争う。この試合で勝ってベルトを巻くことができれば、何年にもわたって抱いてきた夢の実現を意味する。
今週末の試合を前に、この記事では幼少期から総合格闘家として活躍する現在まで、ラスロフのこれまでを振り返る。
ダゲスタンでのレスリング
ラスロフは、ロシア・北コーカサス地方のダゲスタン共和国の首都マハチカラ近郊の村レニンケントで生まれ育った。
ダゲスタンはレスリングが盛んで、強豪選手を多数輩出しており、ラスロフはこうした環境で自然と格闘技に親しむことになる。
「子供の頃に、正しい道筋を選んだ。レスリングをすることだ。長い間、フリースタイルレスリングをやっていた」
「学校ではサッカーもしていた。全体的に子供の頃はよくスポーツをしていた」
MMAへの転向を決意
高校を卒業し、高等教育を受けたが、ラスロフは普通の仕事に就くことは考えたことがなかった。
常にアスリートになりたいと思っていたし、その夢を実現するための一番の道は総合格闘技だと考えていた。
すでにハイレベルなレスリング経験を積んでいたものの、転向を前に打撃も上達させねばならないこともわかっていた。
ラスロフは当時をこう振り返っている。
「最初からMMAに転向したかった。すでにレスリングのスキルはあったけれども、打撃も上達させたかった。そこでムエタイを始めたんだ」
「ムエタイは自分にとっていい競技だった。クリンチにエルボー、ヒザ蹴りといったMMAに必要な要素が全部揃っていたからだ」
グラップリングに加えて打撃も磨き上げたラスロフは、2021年にダゲスタンの「ゴレッツ・ジム」でMMAのトレーニングを開始する。
そしてアマチュアで成功を収め、2013年にプロ初参戦。初勝利を収めた際に、自身の選択は間違っていなかったと感じたようだ。
「学校を卒業し、プロでやっていこうと思った。フリースタイルレスリングの後だ。自然な決断だった」
「そしておよそ11年前にプロデビューをして、これこそが自分の生きる道だと気付いたんだ」
チャンスを求めてトルコへ
プロ入りから5年間無敗を維持したラスロフは、絶好調だった。だが、思わぬ問題も生じた。
どんな相手とでも戦うという条件で契約をしたのに、2年間試合が組まれなかったのだ。
そんな時期にトルコのジム「ハイペリオン・ファイターズ」への移籍オファーがあった。そうして本格的にキャリアを再始動することができた。
当時を振り返り、ラスロフはこう語っている。
「試合オファーが届いて受けたけれども、2年間も対戦相手が見つからなかった。辛い時期だった」
「モチベーションを維持するのは難しかったが、トレーニングも準備も続けた。希望を持ち続け、それがついに実を結んだんだ」
タイトル獲得のチャンス
こうしてラスロフはローカル大会で数々の強豪を倒して注目を浴び、14勝0敗うち10勝はフィニッシュ勝利という戦績を築き上げ、世界最大の格闘技団体ONEチャンピオンシップに参戦するチャンスを得た。
さらに、現ONEライト級MMA世界チャンピオンのクリスチャン・リー(シンガポール / 米国)がしばらく試合に出場していなかったこともあり、ONEデビュー戦にして元ONEライト級MMAチャンピオンのオクと暫定王座を争うことになった。
ラスロフはここで勝って与えられたチャンスを生かそうと意気込む一方、デビュー戦では世界中のファンを楽しませることも重要だとわかっている。
ラスロフはこうコメントしている。
「ONEチャンピオンシップと契約した際は、世界中の最高のファイターと戦えるとわかってうれしかった。ここでの目標は、チャンピオンになって美しい試合をしてみせることだ」
「対戦相手にはいいコンディションで試合に臨んでほしい。そうすれば、すごい試合を見せられるからだ。どんなアスリートでも時間をかけて試合準備をする。この試合を一生忘れられないものにしてやりたい」