【2/7大会】平田樹が“ストロングハート”で乗り越えた逆境

Itsuki Hirata DC 5369

平田樹は中学、高校時代に経験した逆境を乗り越え、“ストロングハートファイター”のリングネームに恥じない強靭な精神力を養ってきた。

6歳で柔道を始めた平田は、現在20歳。2月7日(金)にインドネシア・ジャカルタで開かれる「ONE:WARRIOR’S CODE」で、ナイリン・クローリー(ニュージーランド)と対戦する。

柔道でオリンピックに出ることを夢見て練習に打ち込んできた平田は、強くなるために限界まで自分を追い込み、高いレベルでの練習をこなしていた結果、若くして度重なるケガという悲劇に襲われたのだった。

Itsuki Hirata submits Angelie Sabanal via Americana

平田は中学1年生の時、柔道の練習中に左ヒザのケガに見舞われた。関節が腫れ過ぎて検査ができず、1、2週間ほど検査を待たなければならないほどだった。

そして診断結果は、前十字靭帯の断裂という最悪の事態。手術と数月にも及ぶリハビリが必要になるだろうと、平田にも分かった。

そしておよそ2か月後、平田は手術に臨み、3週間ほどの入院生活を送った。回復までの長く苦しいリハビリは、手術後1週間ほどで始まった。情熱を傾けてきた柔道の練習からは長期間、離れなければならなかった。

「痛かった。ずっと痛かった」

「リハビリも痛いしやりたくないと思っていた。柔道がしたかったが試合を見ることしかできなかったから、『早くやりたい』という気持ちで頑張れた」

中学生だった平田にとって、柔道から離れた時間は永遠にも思えたかもしれない。だが平田は懸命にリハビリに取り組み、およそ1年をかけて練習に復帰するところまでこぎつけた。



だがようやくマットの上に戻ってみると、びっくりするほど体はさび付いていた。

「パワーが落ちていた。それに柔道に対する感覚がわからなくなった。1年ぶりの練習となると、感覚を戻すのが大変だった」

「打ち込みや寝技も全て忘れてしまい、またゼロからやり直しという感じだった」

平田は落ち込まず、体のキレと感覚を取り戻すために必死に練習した。だが再びケガが平田を襲う。今回は右ヒザだった。平田は手術とリハビリでまた1年を棒に振るのを恐れて、今回は手術はせずに1年ほど練習を続けた。それでもやがて、手術を受けざるを得なくなる。

「最初はそれほど痛くなかった。でも病院に行ったら前十字靭帯の断裂だった」

「手術をしたらまた1年なくなると思い、手術しないでこのまま頑張ろうと思っていた」

「練習している時に途中で外れることもあった。手術しなかったせいで半月板も悪くなった。それで中学3年の時に右ヒザの手術を受けた」

Itsuki Hirata salutes the Japanes fans at ONE CENTURY

精神的にも身体的にも辛い、長期間のリハビリの後、平田は高校に進学して道場に戻り、夢を追い始めた。

だがヒザには爆弾を抱えたままだった。高校2年の頃から右ヒザの半月板が悪化し、再び手術を受けることになったのだ。前十字とは違い、1週間ほどの入院で済む手術ではあったが、リハビリには半年ほどかかった。

ケガに次ぐケガに見舞われ、かつて小学校の頃に夢見ていたオリンピック出場という目標は、いつしか消えていた。

「小さい頃はずっと言っていた。柔道で五輪に出たいと。でもケガをして練習ができなくなると、考えなくなった」

「練習ができなくなり、柔道から離れた時、これ以上やりたくないと思った」

「柔道が怖くなった。嫌だなって思い始めた」

だが平田は、戦いたいという気持ちを失っていなかった。自分のスキルを何か別のものに生かしたいと望んでいた。そしてすぐに新しいスポーツと出会ったのだ。

Itsuki Hirata strikes Rika Ishige

「新しいことをやりたいと思った。それが格闘技だった」

「総合格闘技は楽しそうだと思った。やりたいことができるのが格好いいと思った。柔道は礼儀を重んじるため、喜んだり、ガッツポーズもできない」

自宅の近くに総合格闘技ジム「K-Clann」があり、高校卒業後に通い始めた。柔道で培った土台のおかげで、平田は総合格闘技でも頭角を現し、成功を掴み始める。

平田は早く試合に出て自分を試したくてうずうずしていた。そしていざ試合に出てみると、全ての試合でサブミッション勝ちという完璧な戦歴を築き、ONEチャンピオンシップ参戦の切符を手にしたのだ。

柔道家として何度も逆境を乗り越えてきたその精神力により、平田は世界最大の格闘技団体の舞台に上がり、そのプレッシャーにも負けず実力を発揮してきた。

そしてその成功の多くを、困難な時期に彼女を支え、今も支え続けてくれている両親と兄あってこそと、いつも感謝の気持ちを胸に抱いている。

Itsuki Hirata celebrates after her submission of Rika Ishige

家族は入院中もいつも平田を支えてきたし、今もトレーニング後の食事の準備や大会前の減量など、サポートを惜しまない。どんな道を選ぼうとも、平田の成功を信じて誰よりも応援しているのだ。

「ケガがあってこその今だと思っている」

「家族が1番のサポートだった」

「応援してくれる人がいることを忘れないで、家族への感謝の気持ちを忘れないでほしい」

ジャカルタ|2月7日 (金) |ONE:WARRIOR’S CODE|公式アプリで生中継(無料)|日本公式Twitter日本公式Instagram

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