【2/28大会】新女王ジャネット・トッド「これで終わりではない」
ジャネット・トッド(米国)が2月28日(金)、ようやく夢を実現した。
シンガポールで開かれた「ONE:KING OF THE JUNGLE」のメインイベント。トッドはライバルでONE2種目王者だったスタンプ・フェアテックス(タイ)との2度目の対戦で、スプリット判定で勝利し、ONEアトム級キックボクシング世界王者に輝いた。
シンガポール・インドア・スタジアムでの夢のような夜から10日余りが経った今、34歳のトッドは既に米国・カリフォルニアに戻り、スキルの向上に取り組んでいる。
タイのスーパースター、スタンプから王座を奪い、キックボクシングのベルトを手にすることは非常に困難な試練だった。だがトッドは、今後さらに厳しい試練が待ち受けていると分かっている。
トッドが独占インタビューに答え、世界戦での勝利を振り返るとともに、防衛戦に向けた意気込みを語る。
ONEチャンピオンシップ:まずは大勝利おめでとうございます!ONEアトム級キックボクシングの世界王者となった気分は?
ジャネット・トッド: 自分の家でこのベルトを見るのは、まだ少し現実感がない。自分にとっては本当に夢が叶ったということだが、これで終わりではない。今は自分のベルトを狙っている選手がたくさんいるから、ベルトを守るために、これまでにも増して一生懸命トレーニングしないといけない。
ONE:スタンプとの再戦に際し「より自信を持って試合に臨みたい」と話していた。それはゲームプランにとってどのくらい重要なことだったか?
トッド: それはスタンプとの最初の試合(2019年2月)で学んだ最大の教訓の1つだった。あの時はONEデビュー戦だったから、自分で掴んだ試合だという自信がなかったのだと思う。
今回は、本当に自分でチャンスを獲得したように感じ、そのことが自信になった。直近の数回の試合の経験に加え、新しいスキルも学び、さらに自分で挑戦権を獲得したと思えたことで、実際に戦いに臨む自信が得られた。
ONE:スタンプが中盤のラウンドでキックを決め、少しリズムが乱れたように見えた。どのように対応したのか?
トッド:自分のゲームプランに忠実にいった。間合いを詰めたり離れたりしたかったが、スタンプはキックで中に入れないようにしていた。
自分が動いていたから、(相手のキックを)ブロックするのは難しかった。自分がやろうとしていることへの対応としては、スタンプは適切に対処していた。それでも自分はゲームプラン通りに、行きたい時に前に出て、出られるときに出る、ということをした。スタンプのキックがそんなに邪魔になったとは思っていない。
それでも、ジムに戻って最初にしたことは、動きに合わせてキックをチェックする練習だった。だからそれは間違いなくこの試合で学んだことの1つだ。今後二度と起こらないようにしている。
ONE:判定までもつれる非常に僅差の戦いだった。最終第5ラウンドに向かう時のコーナーからの指示は?
トッド:全てを出し尽くすことと言う感じだった。しっかりガードして、パンチで前に出る。
ONE:ONEチャンピオンシップが無観客のイベントを開催したのは初めてだった。影響はあったか?
トッド:マイナスな影響があったかはわからない。良かったこととしては、とても静かだったからコーナーの指示がよく聞こえた。試合の時は自分のコーナーの指示を聞き分けられるものだが、今回は完璧にクリアに聞こえた。それは間違いなく良かったことだと思う。
でも観客のエネルギーがないのは残念だった。コロナウイルスの影響が収まった次の戦いに期待している。(シンガポールでは)本当に観光業に打撃になっていて、外にはあまり人がいなかったから、とても残念に思う。
コロナウイルスの影響を受けている全ての人がとても気の毒だ。だが次回はスタジアムがファンでいっぱいになってほしい。観客のエネルギーが大好きだから。
ONE:自身の勝利を告げられた時は何が頭に浮かんだか?
トッド: 通常はスプリット判定の場合、王者に有利になる。立ち尽くして「青と言って。それか新王者、新王者、新王者と言って」とつぶやいていたのを覚えている。そして「そして新しい…」というのが聞こえた時はもう、最高だった。夢が本当に叶ったの!
1年かかったと言われるが、実際には10年かかっている。過去10年間ずっとトレーニングに取り組み戦い続けてきた。世界選手権のようなトーナメントにも参加してきたが、これまで優勝したり、世界タイトルを獲ったりすることはできなかった。
だから世界タイトルを手に入れることができたということは、そのくらい一生懸命やってきたということ。強くなるために必要なことをやってきたから。
ONE:勝敗を分けたものは何だと思うか?
トッド:フットワークだと思う。自分はより正確に打撃を放ったし、相手のミスを誘発したから、そこが勝利につながったと思う。そういうゲームプランだったから、満足している。
ONE:カリフォルニアにベルトを持って帰った時の、周囲の反応は?
トッド:夫は花束を持って空港で出迎えてくれた。父は1年以上何も本当に描いていなかったのだが、家に帰ったら格好いいポスターを描いてくれた。それは私の絵で、ちゃんと腹筋は6パックになっていて、「おめでとう」と書いてあった(笑)。
家族やチームメイトと勝利を分かち合えること、そして全員とベルトを分かち合えることは本当にうれしい。自分のハードワークだけで成しえたものではなくて、みんなの時間や犠牲のおかげで、最高の状態に持っていくことができた。このベルトは私たち全員のもの。
ONE:ONEアトム級キックボクシングの世界王者としての今後のプランは?
トッド:先ほど言ったように、既にジムでトレーニングを再開し、キックの点検をした。次の試合で起きないように。どの試合でもそうだが、常に改善すべき点がある。
いつもと同じプロセスになる。映像を見て、自分が改善する必要がある点を見付け、ジムで時間を費やして改善に取り組み、定着するよう繰り返す。
ベルトを守るためには、本当に今まで以上に一生懸命やる必要があると分かっている。今のこの時点で楽な戦いというものはない。他の全ての選手と同じように、強くなり続けないといけない。