【11/20大会】ジョセフ・ラシリ、出稼ぎ中も諦めなかったムエタイの夢

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WBCムエタイ世界チャンピオンのジョセフ・ラシリ(イタリア)は、ストロー級のトップスターへの道を切り拓きたいと思っている。

11月20日(金)の「ONE: INSIDE THE MATRIX IV」(シンガポール・インドア・スタジアムで事前収録)で、ラシリは同級2位コンテンダーのロッキー・オグデン (オーストラリア)とコーメインイベントで対戦する。

ラシリのキャッチウェイト59キログラムマッチが配信される前に、この記事ではどのようにしてラシリが鉄の意思を持つウォリアーになったかを紹介する。

ミラノで生まれ

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ラシリは、イタリア・ミラノで、4人兄弟の三男としてモロッコ人の家庭に生まれた。

「あまりいい場所じゃない」というミラノの北に位置する都市モンツァで育った。

時には辛いこともあったが、ラシリの両親は子供たちを育て上げるため、懸命に働いた。

「慎ましい家庭で、素晴らしいハートを持っていた」と、現在29歳のラシリは語る。

「若い頃、両親は働いていたが、イタリアの状況は厳しかった。いつも仕事を見つけるのに苦労していた」

ラシリは人気者だったが、教室では集中力にかけ、トラブルに巻き込まれることもあったという。

「学校は好きじゃなかった。残念だが、その時はあまり関心がなかった。今となっては後悔している」

「他の生徒と口争いをしていたし、何をするにも競争心が強かった」

勉強は得意ではなかったかもしれないが、若きラシリはスポーツに光を見出した。

サッカーから追放

多くのイタリア人と同様、ラシリはサッカーが大好きだった。サッカーを通じて、エネルギーを発散し、非行から遠ざかるチャンスを得た。

だが、背が低いことを理由に所属クラブから追い出されてしまった。

「いつもサッカーをしていた。子供の頃は、地元チームでプレイしていた」

「他の子供たちよりもだいぶん小さかったから、チームから追い出された。その後、格闘技を始めたんだ。サッカーから排除されたことを恨んでいた。だって、何もできないだろうって言われたんだ」

サッカーなしの生活となり、他の子供達とつるんでばかりいた。それが非行につながる可能性もあったが、ラシリは自分自身で何かを始めることを決意した。

サッカーから追放されて、何かに火がついたラシリは、コーチのディエゴ・カルツォラーリの下で、ムエタイに出会った。だが、それでも周囲からは疑問の声が上がった。

例えば父親は、ムエタイをするにはラシリは小さくて細すぎると思った。だが、ラシリは少なくとも排除されることはなかった。

トレーニングに励み、成功を重ねるにつれ、否定的な見方をされることは無くなっていった。



出稼ぎで得た教訓

イタリア経済が混乱した際、家族が苦境に陥り、ラシリはカルツォラーリの下でトレーニングを中断せざるを得なくなった。

両親は失業していたため、何か助ける方法を見つけようとラシリは国を離れることにした。

「一番大変だったのが、両親が失職して、自分がロンドンに行かねばならなかったこと」と、ラシリは振り返る。

「実家の家賃を仕送りするために仕事が必要だったから、引っ越した」

ラシリはイギリスに着いた時、英語が話せなかった。だが、確固とした決意と粘り強さで仕事を見つけた。言葉の壁には苦労したが、こうして家族を苦境から救ったのだ。

「この経験から学んだことは、人はどんな困難な状況でも情熱を失わずに適応することができる、ということだ」と、ラシリは語る。

「苦しいことがあっても、そのあとは楽しいことが待っている、という教訓を、苦しい経験は与えてくれる」

「規律と努力の大切さを学び、競技生活でも役に立った。そして常に目標に向かって戦い続けること。そうすればいつだって道は開けてくる」

タイトルの夢

イギリス時代は懸命に働いたが、ラシリはムエタイの技術を向上させるための時間を見つけた。

決してトレーニングをサボることはなかったし、そのおかげで身体もコンディションもきちんと保っていた。

「ムエタイを続けていたのは、毎回トレーニングの後、自分がどれだけ上達したかを実感したからだ」

「成功するたびに、ムエタイについて、そして自分の人生について自信が持てるようになった。すごく助けられた」

ラシリは国際大会のイタリア代表チームで5つの金メダル、2つのヨーロッパのムエタイタイトルを獲得するなど、大いに活躍した。

そして2017年2月、WBCムエタイ世界タイトルを獲得し、世界の頂点に。その後2018年に世界最大の格闘技団体、ONEと契約した。

以来、ONEでの成功を第一の目標としている。ラシリは2019年3月、東京・両国国技館で開かれた「ONE: A NEW ERA 新時代 」でONEのキャリア上最大の勝利を挙げた。それまで無敗だった日本のキックボクシングのスター、秋元皓貴(バンタム級キックボクシング3位)を倒したのだ。

加えて、この金曜日にオグデンを倒し、ストロー級に階級を定めれば、ONEストロー級ムエタイ世界チャンピオンのサムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)に挑戦するチャンスへ一歩近づく。

最終的にはストロー級であろうと、フライ級であろうと、ONE世界タイトル獲得はラシリのキャリアの最も輝かしい瞬間となるだろう。

「目標は、ONEチャンピオンシップで勝って、いいキャリアを築いて、幸せで平和な人生を歩むことだ」

Read more:【11/20大会】ワン・ジュングァン「完璧な勝利持ち帰る」

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