佐藤将光の人生のサウンドトラック
ONEチャンピオンシップで3連勝中のバンタム級アスリート、佐藤将光の日々のトレーニングの友は音楽だ。
佐藤は、代表を務めるジム「Fight Base」(東京都目黒区)で、試合準備をする時もクラスを教える時も、BGMは自ら選んでいる。
現在、ジムは新型コロナウイルスの影響で、5月6日(水)まで一時的に閉鎖している。だが営業が再開された暁にはまた佐藤がこだわりの音楽をかけてくれるに違いない。
この記事では、ほんの一部ではあるが、いわばジムの“専属DJ”である佐藤がこれまで人生でインスピレーションを受けてきた曲を紹介する。
青春時代の思い出の曲
移動中にラジオ番組を聞いて気に入った曲をスマートフォンのアプリでチェック、日本最大規模の野外音楽イベント「フジロックフェスティバル」に徹夜で参戦、など音楽好きエピソードには事欠かない佐藤。若い頃は、ヒップホップをよく聞いていたという。
「高校の時はヒップホップをよく聞いていた。日本のヒップホップも洋楽も。友達や兄貴の影響だと思う。エミネムの曲は全部聞いた。あとは50 Cent とか2Pac とか」
「(エミネム の自伝的要素が含まれた映画の)『8 Mile』を高校の時に映画館に見に行った。(感想は)単純にかっこいいなー、しかない。見る前から憧れていたし」
「学校で気になるシーンをしゃべりあって、真似をした。例えば、最初のシーン。舞台に出る前にトイレで鏡を見て、気合を入れていくところ」
だが、憧れのアイドルとは違って、佐藤は試合前にこうした“儀式”はしないという。
「僕は試合前は、できるだけスイッチが入らないようにしている。いつも通りを意識して。あまり(スイッチが)入ると、冷静に戦えなくなる。いかに相手より冷静でいられるかがポイント」
トレーニング中に聞く曲
佐藤の戦略は「相手より冷静でいること」。そのため、ONEのケージ「ザ・サークル」に入る前にはあえて音楽は聞かないそうだ。
「試合前は音楽を入れないようにしている。あがっちゃうから。試合前はできるだけフラットで入りたい」
一方で、トレーニングの際には音楽の力を大いに活用する。
「練習の時は(音楽を)かける。疲れてて動けない時とか、音楽を聞くと頑張ろうと思うから。気持ちのコントロールに使っている」
「練習中は、マドンナやケミカル・ブラザーズをかけることが多い。ウォームアップもスパーも一度かけたらいじらないけれども、たまに『これじゃねえな』となった時は変えたりする」
「マドンナは『Die Another Day』や『Hang up』など、初期から最近のまで聞く。マドンナにはアガる曲が多い。」
「ケミカル・ブラザーズの曲はなんんでもアガる。(よくかける曲は)いっぱいあるが『Star Guitar』やあとはあとは最近の『Go』とか。ケミカル・ブラザーズは高校の頃から知っていたが、当時ははまらなかった。大学の時もそんなにヘビロテでもなく。5年前くらいから(はまった)」
落ち込んだ時に聞く曲
佐藤はトレーニング中はアップテンポな曲を流すことが多いようだが、落ち込んだ時は、スローな曲を聞くという。
「(落ち込んだ時は)だいたい、ゆったりした曲を聞く」
「最近はアル・グリーンの曲や、この前亡くなったビル・ウィザースを聞いている。ビル・ウィザースの『Lean On Me』という曲は、友達の結婚式のスピーチをする時にBGMでも使った。歌詞が僕のそばにいてよ、という曲なので結婚式向けの曲だし。この前コロナで不安になった時も夜中に聞いて、元気をもらっていた」
「なぜかラブソングに救われることが多い。アル・グリーンの、いい時も悪い時も一緒にいようと言う曲『Let’s Stay Together』は、歌詞は関係なく曲が優しくて癒される。愛の捉え方が(恋人同士の愛という意味よりも)広いと思う」
ほっとする曲
ハードなトレーニングを終えて、ほっとしたい時に佐藤はどんな曲を聞くのだろうか。
「田我流(でんがりゅう)の『ゆれる』という曲。あとは七尾旅人もよく聞く。洋楽だと、アル・グリーンなどが多い」
「(七尾旅人の)『サーカスナイト』は、めちゃめちゃいい!七尾旅人 × やけのはらの『Rollin’ Rollin’』も。ああいうアコースティックがいい」
好きなアーティストについて語る時は、佐藤は一ファンとしての顔も覗かせる。
「この間七尾旅人のTwitterでいいね!をしたらフォローしてくれて、友達に自慢した」
こだわりの入場曲
佐藤は入場曲に葉加瀬太郎が演奏する「情熱大陸」を使っている。
バイオリンの旋律が特徴的なこの曲は、スポーツ、音楽、学術、農業など様々な分野で活躍する人々を取り上げる同名の密着ドキュメンタリー番組のテーマソングだ。
「編曲したバージョンを使っている。オリジナルも好きだけど、同僚にDJがいたので、お願いしてやってもらった。(番組の)『情熱大陸』は、一流の人ばかりが出てきているので、インスピレーションを受けている」
「(番組に)出れるなら出てみたい。総合格闘家はあまり出ていないと思う。(番組に取り上げてもらえるような実績を得るくらい)そこまで行かないと」
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