至高の格闘家は必ず立ち上がるーONE屈指ののリベンジ・マッチ3選
至高の格闘家は、敗れてもまた立ち上がる。
今でこそ人気を博し成功を収めているONEの世界王者でも、最初の挑戦で敗れ、後に夢をつかんだアスリートもいる。
彼らは惜しみない努力と強い意志をもって、二度目のチャンスで栄光を手にし、歴史にその名を刻んできた。
ONEチャンピオンシップ屈指のリベンジ・マッチを3つ、紹介しよう。
#1 マーティン・ニューイェン対マラト・ガフロフ
マーティン・ニューイェン(ベトナム/オーストラリア)は、マラト・ガフロフ(ロシア)と対峙したときまだタイトル戦に挑む準備ができていなかったと認めている。
ニューイェンは2015年9月、ONEフェザー級暫定タイトル戦に土壇場で挑戦権を手にした。しかし結果は、たった41秒、リアネイキッドチョークでのサブミッション負けという屈辱を喫した。失意のニューイェンだったが、それで終わったわけではなかった。
ニューイェンはこの敗北により奮起。ガフロフと再戦するために、フェザー級の主力選手をことごとく打ち負かした。
そして2年後、ニューイェンはリベンジに成功する。今度はガフロフのサブミッションをかわしただけでなく、見事なノックアウトでガフロフを倒し、フェザー級世界王者の座を手にした。
#2 ジョシュア・パシオ対内藤のび太
ジョシュア・パシオ(フィリピン)は、若手が経験豊富な相手に屈したもう一つの事例だ。パシオが2016年10月、ONEストロー級世界タイトル戦に初めて挑戦したとき、相手の力量ははるかに上だった。
内藤のび太(日本)が柔術のスキルを活かして仕掛けたリアネイキッドチョークは、パシオには全く見えていなかった。ギブアップするしかなかった。
敗れたパシオの失望は、誰の目にも明らかだった。だがパシオはフィリピン・バギオの格闘技ジム「チーム・ラカイ」に戻るとすぐに、総合格闘家としての完成形を目指し日々惜しみない努力を費やした。
そして2年後、内藤に再び挑戦したパシオは別人だった。総合格闘技のすべての領域で相手を凌駕していた。内藤はパシオの絶え間のない攻撃の前に反撃の糸口を見いだせず、パシオは判定勝ちで勝利を収めた。
#3 アウンラ・ンサン対ヴィタリー・ビッグダッシュ
ミャンマーにおける格闘技の国民的英雄アウンラ・ンサンは、ヴィタリー・ビッグダッシュ(ロシア)に負けたとき、涙を見せなかった。
判定を聞くアウンラ・ンサンの顔は、傷だらけだった。ビッグダッシュの猛攻に耐えるだけで5ラウンドは過ぎ去った。だが、ビッグダッシュがミドル級チャンピオンベルトを着けるのを見守る間、アウンラ・ンサンは既にリベンジを誓っていた。そしてその時はすぐ訪れた。
半年もたたないうちに再戦のチャンスを得て戻ってきたアウンラ・ンサンは、まるで別人だった。アウンラ・ンサンは激しく前に出て、強力なパンチで早々にビッグダッシュからダウンを奪った。ビッグダッシュも、前回見せたような攻撃で立ち向かったが、強く出るたびにアウンラ・ンサンに押し戻された。
25分後、ヤンゴンのファンの前でアウンラ・ンサンの判定勝ちでの勝利が宣言された。今回はアウンラ・ンサンの目に、喜びの涙があふれた。