「弟たちに教育を」初防衛に挑むペッダムが闘い続ける理由
ONEフライ級キックボクシング世界王者のペッダム・ペッティンディーアカデミーには闘い続けなければいけない理由がある。両親、そして2人の弟たちだ。
8月16日に母国のタイで開かれる「ONE: DREAMS OF GOLD」 のメインカードで、イリアス・エナッシを相手に初防衛に挑むペッダムに、話を聞いた。
バンコクで毎日激しいトレーニングに励むペッダムは、実家にいる17歳のジェノンと11歳のルンギットにしっかり勉強するように言い渡している。
タイ有数の格闘技道場のペッティンディーアカデミーで修行するため、10代で生まれ育ったタイ北東部の村を離れ、たった1人で首都に移り住んだ。ペッダムは「バンコクに引っ越すまで、弟たちと離れるのがどんなに辛いことかわかっていなかった。しばらくの間は本当に恋しくてたまらなかった」と、振り返る。
「弟たちとは、魚釣りをしたり、手作りのパチンコで鳥やトカゲを獲ったり、いつも一緒だったんだ。典型的な農村の子ども時代で、楽しい思い出ばかりだ」
だが、ペッダムは、単なる弟たちの遊び相手ではない。両親とともに、彼らの成長を見守る役目も担っている。
「いつも弟たちの宿題を手伝ったり、学校まで送り迎えをしていた」というペッダム。仕事の合間にも、自分には恵まれなかった進学の機会を弟たちには授けようと、気に掛ける。
「3人でバイクに乗って学校に通った。小学校で弟たちを下ろしたあと、自分は高校に行った」
若くして格闘技界で成功を手に入れ、弟たちの憧れの存在であるペッダム。自身は格闘技で生きる道に当然満足しているが、辛いトレーニングや負傷のリスクなどを考えると、弟たちには同じ道を進んでほしくないという。
「弟たちには進学をしてもらい、いい生活を送ってもらいたいんだ」
「両親に余裕がなく、自分は進学する機会に恵まれなかった。でも、今は自分が戦っているから、弟たちの学費を払える。しっかり勉強に励んでほしい」
「ジェノンは昔ローカルの試合に出たけれども、格闘技はやってほしくない。怪我をしてほしくないし、格闘家としての人生は簡単じゃない。弟たちには辛い思いをさせたくないんだ」
「弟たちには大学に行ってもらい、いい仕事に就いてほしい。だから、弟たちがちゃんと勉強をしているか見守っているんだ」
激しいトレーニングの合間に、出来るだけ電話をして近況を確認する。年に数回は帰省も。その時は、弟たちの世話をするのが楽しくて仕方がない。
「ONE: DREAMS OF GOLD」で初のメーンマッチを闘うONEの世界王者は、身近な幸せを大切にしている。
(※インスタグラムに「家族のために初めて車を買えた」と投稿したペッダム)
「弟たちに電話をする時、両親の言うことを聞いて、期待に背かないように、そして勉強を頑張るように、と言い聞かせている」
「実家に帰る時は、いつも弟たちを甘やかすんだ。いいレストランや小旅行に連れて行ったり。家でのんびりして携帯電話で遊ぶこともある」
ONEで成功を築き、家族を支えることに喜びを感じるペッダム。世界の舞台で初防衛を達成すれば、家族の未来もより明るい。
何よりも弟たちの未来を気に掛けるタイのスーパースターは「弟たちには善い人間に育ってほしい。ドラッグやアルコールには手を出してほしくないし、将来はきちんとした仕事について、安定した収入を得てほしいんだ」と、話した。
バンコク | 8月16日 (金) | 19時半(日本時間) | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)