【9/3大会】ラソヒナ、スタンプ戦へ「サプライズを用意」
物議を醸した勝利の後、アリヨナ・ラソヒナ(ウクライナ)は待望のリマッチで、元2競技世界チャンピオンのスタンプ・フェアテックス(タイ)に、より決定的な形で勝ちたいと意欲を燃やしている。
9月3日(金)の「ONE: EMPOWER」で両者は、ONE女子アトム級世界グランプリの準々決勝で対戦する。ラソヒナは、自身の力を証明しなければならない。
今年の2月に行われた最初の対戦では、最終ラウンドの終盤にラソヒナがギロチン・チョークでスタンプを捉え、一本勝ちを決めたかように見えた。
しかし、スタンプはタップアウトをしていないと、試合がストップされた後猛烈に抗議。しかし、レフェリーのオリビエ・コステの判定は変わらず、ラソヒナはかつての2競技女王に総合格闘技公式戦で初の黒星をつけた。
そして今回、3位コンテンダーのラソヒナと4位のスタンプは、ONEチャンピオンシップ初のオール女子トーナメントの準々決勝で再び対決する。
ラソヒナが独占インタビューに応じ、スタンプとの初戦の感想、リマッチに向けてのトレーニング、影響を受けた女性などについて語った。
ONEチャンピオンシップ: ONE女子アトム級世界グランプリの開催が近づいてきた。どのような準備をしているか?
アリヨナ・ラソヒナ: 良い準備ができている。スウェーデンにも飛んで、レスリングとグラップリングのスキルを磨くために時間を費やし始めた。体調も万全だった。とても長い間にわたって好調を維持してきた。しかし、大会が延期になって、体をリラックスさせて回復させるため、トレーニングの量を減らした。
トーナメントの日程が再び決まった後は、トレーニングを再開し、今では最高の体調を取り戻した。今はとても強く、準備ができていると感じている。打撃、レスリング、グラップリングなど、すべてのスキルは万全だ。ゴングがなる前にこの試合を終わらせられると確信している。
ONE: 今回のトーナメントに参加することについてどう思うか?世界最高のアトム級ファイター8人に選ばれたが?
ラソヒナ: 率直に言って、このトーナメントに参加している女性たちを見ると、全員が素晴らしい。全員がいい戦いぶりをしている。自分がこのトーナメントに出ることになったのは、自分にも優れた点があるからだと思う。それが基準だと思う。
正直なところ、ウクライナを代表してこの大きな大会、大きな舞台に立つことはとても名誉なこと。とても楽しみだ。ファイターとして、アスリートとしての自分の道のりはとても厳しいものだった。必要なサポートも受けることができなかった。楽な試合はなかった。誰も自分を積極的に宣伝してくれなかった。でも、自分は常に自分の仕事に専念してきた。一生懸命やってきて、その結果として報われたのだから、とても嬉しい。
ONE: このトーナメントで優勝すると、次はベルトをかけて戦うことになるが?
ラソヒナ: もちろん、このトーナメントでの優勝は、これまで獲得したメダルの中でも最も大会レベルの功績を表すものになるだろう。壁にかけられたメダルは、自分のこの競技に対する献身を表している。これまでにしてきた努力は決して楽なものではなかった。自分は裕福な家出身でもなかったし、トレーニングや試合のたびに実力を証明しないといけなかった。過去にやってきたこと全てが、このトーナメントに繋がっていた。
ウクライナでは、MMAのスポンサーがいない。サポートもない。スポンサーがつくのは、五輪競技だけ。特に経済的な面で、いつも苦労や障害があった。誰がコーナーについてくれるかわからないような状況すらあった。多くの場合、1人で旅をして、1人で戦うこともあった。同じ夜に連続して試合をしなければならないこともあった。試合の合間に食事をしていた。ウクライナのファイターとして、何がなんでも戦い続けた。
ONE: ONEアトム級世界チャンピオンのアンジェラ・リーと戦う準備はできていると思うか?
ラソヒナ: アンジェラ・リーが産休から戻ってきたら、喜んでサークル(ONEのケージ)に一緒に立ちたい。正直なところ、あまり考えてたり気にしたりしていない。一番気にしているのは、もっとたくさん戦えるようになること。それが一番大切なことだ。でも、アンジェラが戻ってきて、以前よりもさらに強くなっているのは間違いない。女性ホルモンは男性ホルモンとは違う。出産後はホルモンの働き方が違ってくる。彼女はずっと強くなっているだろうし、そのための対策をしないといけない。
ONE: 前回のスタンプ・フェアテックスとの試合について。ギロチン・チョークをかけられたときに、スタンプはタップしなかったと主張しているが。
ラソヒナ: まず第一に、自分はレフェリーの力量を信頼している。次に、自分はギロチンを理解している。これは、自分が最も得意とする技の1つだ。首を絞めているときは、タップされた振動を感じることができる。彼女がタップしていることをレフェリーに見せるために、彼女を放したわけじゃない。ギロチンに入れるチャンスはいくらでもあった。そして、そのチャンスを与えていたのは、彼女だ。
試合後、リプレイを見てみると、彼女はタップしていた。自分が彼女を捉えていたのは明らかだった。けれど、彼女は負けたことを受け入れられなかった。まだ彼女は若いし、野心的だし、それは理解できる。でも、自分たちは全員、野心を持っている。
ONE: スタンプのファンが彼女はタップしていないと主張していることについては?
ラソヒナ: 正直に言うと、ファンの試合に対する認識は何の関係もない。実力があり、MMAを理解しているファンがいることを理解しなければならない。そして、一方で何もわからずに椅子やソファーに座って見ているだけのファンもいる。彼らはMMAについて何もわかっていない。自分にもフォロワーがたくさんいて、何をやっても、批評の対象になるだろう。でも、事実はあるのだからそれを受け入れないといけない。
ONE: 前回の試合で何かミスをしたと思う?リマッチでは何か違ったことをするか?
ラソヒナ: いくつか強調したいことがある。1つは、もっと攻撃したかったということ。でも、自分は考えるのが好きなファイターだ。考えなしに攻撃したりはしない。状況をコントロールして、ゆっくり行くように心がけている。2つ目は、コントロール。前の試合を見ると、コントロールの面を改善したいと思う。今回の試合では、全く違ったファイターを見ることができるだろう。彼女のために新しい何かを用意している。驚かせることができればと思うけど、まあお楽しみに。
自分の方がMMAの経験が豊富だ。彼女はこの競技の中ではファイターとして若手だと思う。彼女はそんなに競争力があるとは思わない。スタンプは試合ごとに違う。自分との試合では、強く、爆発力があり、距離をコントロールするのがとても上手だった。この2つが自分が見た彼女の強みだ。でも試合によって全然違う。正直にいうと、予想を立てるのは好きではないが、彼女は同じように戦い、距離をコントロールするのではないかと思っている。彼女は変わらないだろう。
ONE: 女性として力を発揮する、エンパワーするということはあなたにとってどういう意味があるか?
ラソヒナ: 現代的な生活を送っていることにとても満足している。女性ができることと男性ができることの間にそんなに大きな壁がないから。重要なのは、その人が持っている才能。ちゃんとした才能があれば、どんなスポーツでもうまくいく。男性にしかできない、女性にしかできないというような特定のスポーツがないのが嬉しい。この世界に生まれてとても幸運だ。
ONE: 影響を与えてくれた女性は誰?その理由は?
ラソヒナ: 自分に影響を一番与えてくれているのは、娘。彼女は自分のモチベーションを上げてくれて、背中を押してくれる。トレーニングに行くのが億劫なとき、娘が立ち上がるのを手伝ってくれる。自分が戦っているのは、彼女にチャンスを与えたいから。自分が持っていなかったものを彼女に与えたい。どんなスポーツでも、人生でやりたいことでも、彼女はできる。人生を探究してほしい。これが自分のモチベーションにつながっている。どこにいても何をしていても、世話するために全力だってことは娘にはわかってほしい。今はどこに行くにも娘を連れて行っている。
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