【2/28大会】リトゥ・フォガット、レスリング一家の支え
リトゥ・フォガット(インド)は母国で格闘技界でセンセーションを巻き起こしたが、全ての活躍は姉たちの存在あってこそと認める。
コモンウェルス・レスリング選手権の金メダリスト、25歳のフォガットは、日本でも公開されたインド映画「ダンガル きっと、つよくなる」のモデルとなったレスリング一家の一員で、家族から刺激を受けながら成功への道を歩んできた。
フォガットは2月28日(金)、シンガポールで開かれる「ONE:KING OF THE JUNGLE」で、ウー・チャオチェンと対戦する。総合格闘技の領域に足を踏み入れたフォガットは、もはやロールモデル以上の存在になった。
フォガットの家族は映画のモデルとして国内でも、そして海外でも有名だ。
リトゥの姉妹のギータ、バビータ、サンギータ、最年少の弟ドゥシュヤント、それに姉妹同然の従兄弟のプリヤンカーとヴィネッシュは、レスリングの選手でありオリンピックのコーチでもある父親のマハヴィル・シン・フォガットの指導を幼い頃から受けて育った。
だが真剣に、自発的にレスリングに取り組むようになる前には、特にフォガットは練習ではよくいたずらをしていたという。父親に厳しく指導された時にはよく、姉たちと楽しむ方法を見つけたものだった。
「7歳か8歳の時にトレーニングを始めた」
「父が姉たちに腹筋をやらせて、私は数える役目だった。父が何かでいなくなるといつも、姉たちはごまかすから、私が父に報告していた」
姉たちはもちろん怒られ、フォガットは姉たちに文句を言われることになるが、それでも姉妹の絆は強まっていった。それはお互いが真剣にトレーニングに取り組み、お互いに支え合ってきたからだ。
それぞれが上達し前に進むためには、時には厳しい愛のムチも必要だった。だがフォガットは、自分の上達に役立った全てのことに感謝している。
「私が何か間違ったことをした時は叱ってくれた。いい気分ではないが、私のためを思ってのことだと分かっていた」
「子どもの頃はほとんど、両親や家から離れて過ごした。姉たちとインド代表の合宿に行っていたから。私たちには強い絆がある」
イギリス連邦に属する国や地域が参加して4年ごとに開催される総合競技大会、コモンンウェルスゲームズで、ジータとバビータは金メダルを獲得し、国内でも国際的にも活躍した。さらに、社会的タブーや女性に対する昔ながらの偏見を乗り越えてインドにメダルをもたらしたため、彼女たちの業績はさらに特別なものになった。
刺激を受けたフォガットも一生懸命トレーニングに取り組み、国内タイトル、さらには国際大会でもメダルを獲得した。
「私の姉たちは、その功績により新聞でよく取り上げられていた」
「私は姉たちのようになりたかった。自分の名前が新聞やメディアで取り上げらたらいいなと思っていた。姉たちは私のロールモデルであり、私は姉たちのようになりたいと思っている」
同じようにフォガットの活躍は、弟や妹に大きな影響を与えた。中でも、総合格闘技でインド初の世界タイトルを獲るため、レスリングから総合格闘技に転向したことは大きかった。
フォガットは昨年、慣れ親しんだ土地からシンガポールに練習の拠点を移し、メガジム「Evolve MMA」に入門。トップクラスのグラップリング(組み技)に加え、打撃とサブミッションのスキルを磨いてきた。
フォガットの決意は初め、インドのスポーツファンからは疑いの目を向けられた。フォガットはこれまで素晴らしいパフォーマンスを見せてきたし、今年の東京五輪でのメダル獲得の可能性さえ期待されていたからだ。だが姉たちや家族はフォガットの意志を尊重し、おかげでフォガットも心置きなく総合格闘技に打ち込むことができた。
家族から遠く離れたシンガポールの地で、ホームシックになることがあるかもしれない。だが家族がいつも後ろで支えてくれているとわかっており、試合でも家族の存在が支えになった。
「家族全員がこの総合格闘技への転向を支えてくれた」
「私が総合格闘技に強い関心を持っていることに気づいていた。だから私の決めたことに口をはさむことはなく、心から賛成してくれた。ギータは最初は少し心配していたが、私が全力で取り組むだろうことは信じてくれた」
さらに、今ではフォガットの戦いを実際に目にしてきたので、家族も総合格闘技に注目しだした。
「最初の試合の後、姉たちも総合格闘技に興味津々になった」
「試合中の体の調子については心配している。大ケガでもしたらどうするのかって。でも試合を見ている時は『行けリトゥ!がんばれ!』って応援してくれるのは間違いない。レスリングの試合と同じようにね」
シンガポール|2月28日 (金) |ONE:KING OF THE JUNGLE|公式アプリで生中継(無料)|日本公式Twitter|日本公式Instagram