「格闘家として人として」タン・リーに父が教えてくれたこと
タン・リーには子どものころ、完璧なロールモデルがいた。
8月16日の「ONE: DREAMS OF GOLD」で 朴光哲と対戦するリーは、ベトナム系米国人。33歳になった。格闘技は、テコンドーの指導者である父親に教わった。
リーの父親はベトナムから米国に移住し、やがてルイジアナ州に教室を開いた。
リーが初めてマットの上に足を踏み入れたのは、その教室だ。父親の足の動きをまねながら、「家業」を学んだ。
「自分はまだ4歳か5歳だったから、よく覚えてはいない。でも写真を見るとその頃の思い出がよみがえるものだろ」
「父のテコンドー教室にその頃の写真が飾られているんだ。毎日通るもんだから頭に残るんだ。父がその教室で教えていた風景が」
「父が私の成功をおぜん立てしてくれたんだ。自分が気付かないうちにね。自分は楽しかったからやっただけ。テコンドーは家業だし、楽しかったから」
その頃リーは、将来、世界最大の格闘技団体で戦う選手になるなんて、夢にも思っていなった。しかし彼の将来設計に与えた父親の影響は否めない。父親がリーに、世界一流の格闘家になる基礎を授けたからだ。
父親は家族が経営するジムでまだテコンドーを教えており、リーは父親と親密な関係を保っている。
父親がリーのヘッドコーチでなくても、リーは父親から長年の経験に基づく貴重なアドバイスをもらえる。
「週に何度もジムに行ってトレーニングするよ。父はそこに座って意見を言ったり、質問したり、できるかぎりのことをしてくれる。でもやりすぎない程度にね」
「彼は父親として、コーチとしての自分の役割を理解している。自分の主な専門分野が何で、どう貢献できるかを理解している」
「教室でも自宅での夕食でも、父は父だった。彼のモラル、規律、ハードワークは一貫していた」
「子どもながらに、父が丸一日自分とトレーニングした後、夜は教えに出かけるんだとわかっていた。こういうことは本当に、自分に大きな影響を与えた。もちろん、どうやっていいキックを出すかならったが、そういうことは大したことじゃない」
「本当に重要なのは、自分が父のやり方をみて、息子に同じようにしようとしていること。そう。スキルを高めて才能を生かしてほしいと息子に願っている。でも重要なことは、よい人間になるためにどうしたらいいか、レベルの高いアスリートになるためにはどうしたらいいか、一貫してものをもっておくことだ」
「これらはほとんど共通している。ハードワーク、献身、敬意、名誉。こういうことが、父がとても大切にしていることなんだ」
(※リーのインスタグラムの投稿。「自分にとって一番大切なのはこの部屋にいる人々。自分の家族だ」)
彼の家族やほかの多くの人がリーに大きな影響を与えた。でもリーは中でも、自身の成功の原動力は父親にあったとみている。
父親なしでは、ONEで世界タイトルを目指して戦うところまでこれなかったと知っているし、自分の息子をどうやって育てていきたいかの青写真も持てなかっただろう。
全てのことについて、リーは感謝している。
「全ては父をはじめとする家族のおかげ。家族がいなければ、どんな格闘家になりたいのか、どういう人間になりたいのか、どういう父親になりたいのか、わからなかったろう」
バンコク | 8月16日 (金) | 19時半(日本時間) | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)