ONEマレーシア選手の勝利ベスト5
マレーシアの格闘技のスーパースターたちは、ONEチャンピオンシップを舞台に優れたスキルを披露してきた。
総合格闘家やストライカーの若手を中心としたグループがけん引役となり、マレーシアの主要選手たちは絶えず、メジャー大会の舞台で進歩を遂げている。そして彼らの評判が高まるにつれ、マレーシアの格闘スポーツの次世代の選手たちにも大きな刺激を与えている。
この記事ではONEチャンピオンシップでの、マレーシアの選手たちによる勝利ベスト5を紹介する。
ターニ、伝説を撃破
アギラン・ターニは2019年6月、中国・上海で開かれた「ONE:LEGENDARY QUEST」で、3ラウンドに及ぶ激闘の末に、秋山成勲を破ってキャリア最大の勝利を収めた。
その試合はターニにとって、背中の手術をした後の復帰戦であり、しかもその時は2試合連続で負けていた状態だった。だがその困難な状況にもかかわらず、ターニは恐れることなく総合格闘技の伝説、秋山との戦いに挑んだ。
24歳のターニは、すぐに秋山を攻め立て、強烈なパンチを決める。ベテランの秋山は柔道のスキルを生かした見事なテイクダウンで攻撃を止めたが、ターニを抑えることはできなかった。
実際、試合が進むにつれて、ターニは自信を深めた。重いフックと右パンチ、さらに深いテイクダウンを何度も決めた。
秋山は粘り強さと経験で応戦したが、ターニはプレッシャーをかけて攻め続け、ユナニマス判定で画期的な勝利を収めたのだった。
ビン・マムードの衝撃デビュー
モハメド・ビン・マムードのONEデビュー戦は素晴らしかった。
2018年12月にクアラルンプールで開かれた「ONE:DESTINY OF CHAMPIONS」で、ビン・マムードはベテランのストライカー、ステルゴス・ミッキオス(ギリシャ)と対戦。第1ラウンドでのフィニッシュ勝ちを収め、地元の観衆を沸かせた。
地元のヒーロー、ビン・マムードは試合開始すぐ、パンチや回し蹴りをボディに足にと突き刺すように決め続ける。
ペースが落ちた後、ミッキオスは突如、強烈なパンチで前に突き進む。ビン・マムードは避けるとミッキオスをクリンチに引き込むと、右ヒジをこめかみに打ち込み、相手をマットに落とした。
ミッキオスはレフェリーのカウントに答えたが、ビン・マムードはすぐに攻撃を再開。右オーバーハンド、左のボディキック、そしてさらに右パンチを決め、再びミッキオスをキャンバスに倒したのだった。
ジヒン、元世界戦挑戦者を圧倒
進化を続けるジヒン・ラズワンの総合格闘技を試す機会になったのが、「ONE:DESTINY OF CHAMPIONS」。ONE女子アトム級世界タイトル戦に挑戦した経験のあるジェニー・ファンとの対戦だった。
当時3勝0敗のジヒンに期待は高まっていたが、一方でファンは、女子アトム級の上位に上がるためのカギになる選手と見られていた。
クアラルンプールで地元の大歓声に支えられて、ジヒンは何度も厳しい局面を乗り越え、ウーシューのスキルを駆使して柔道の黒帯、ファンにプレッシャーをかけた。ファンの巧みな寝技をかわす一方で、ジヒンはパンチ、キック、さらにヒザを決める。
第2ラウンド終盤、ジヒンはきつい三角絞めを食らい、限界まで追い込まれたが、驚異的な粘りを見せてなんとか耐え抜く。
ジヒンは第3ラウンドも集中して打撃を放ち、ユナニマス判定で勝利。アトム級のトップクラスの選手として、立ち位置を確立した。
スッバ、プー・トーの無敗記録に土
ケアヌ・スッバは2018年10月、大胆に相手のホームに乗り込んだ。
ミャンマー・ヤンゴンで開かれた「ONE:PURSUIT OF GREATNESS」で、スッバは地元のヒーロー、プー・トーに挑戦。無敗のホームのヒーローを相手にサブミッション勝ちという、他の人が成しえなかったことをやり遂げた。
ミャンマーの立ち技格闘技ラウェイの使い手プー・トーは、彼の名高い打撃を披露する時間も余裕もなかった。プー・トーがスッバの足を掴んで投げ捨てようとした時、スッバはプー・トーにくっつき、握りを調整したかと思うと、ダブルレッグテイクダウンでキャンバスに引きずり倒した。
プー・トーは改善に取り組んできた寝技のディフェンスを見せるが、スッバのグラップリングのレベルに対応することはできなかった。スッバはより有利なポジションを取ろうと進み続け、最終的にはサイドコントロールのポジションを取る。
プー・トーが逃れようとした時、首ががら空きの状態になり、気づいたスッバはすかさずギロチンチョークをかけて締め上げる。
ONEのケージ「サークル」の壁に背を向けて、プー・トーはキャリア初の敗北を受け入れるしかなかった。
アイマンがチェンを撃破
スッバの大勝利の1ヶ月前の2018年9月、中国・上海で開かれた「ONE:BEYOND THE HORIZON」で、モハメド・アイマンもこれまで無敗のホームのヒーロー、チェン・レイに挑戦。キャリアの最大の勝利を挙げて会場を後にした。
試合は第1ラウンド、チェンが容赦ないグラップリングの攻撃で優勢に立つ。続く第2試ラウンドではアイマンが盛り返し、チェンのテイクダウンの試みをかわしては、鋭いキックボクシングで攻め立てる。
ある時点で、チェンがキックを掴みアイマンを必死に追い詰めたが、アイマンも巧みなグラップリングを見せて相手の背後に回る。
アイマンはすぐに左腕でリアネイキッドチョークを決め、ギブアップを引き出した。チェンにとってはキャリア初の敗北となった試合だった。