ONE世界タイトル戦ノックアウト集
総合格闘技の試合をノックアウトで勝つことは、常に強烈な印象を残す。だがそれが世界タイトル戦であれば、勝利はさらに格別のものになる。
総合格闘技で最大の栄誉が懸かっている時に、落ち着いて最後の一撃を解き放つためには、極度の集中力、研ぎ澄まされた反射、そして十分な忍耐力が必要だ。
ONEチャンピオンシップのトップに君臨するスーパースターたちの多くは、完璧な一撃を決めて最高の見せ場を作りだし、ベルトを獲得してきた。
各階級ごとの世界タイトル戦で、ONEチャンピオンシップ史上最高のノックアウト勝利を詳しく見てみよう。
ONEヘビー級世界タイトル戦ベストKO
ブランドン・ベラ(フィリピン)は2015年12月にフィリピン・マニラで開かれた「ONE:SPIRIT OF CHAMPIONS」で、ポール・チェンを破り、ONEヘビー級初代世界王者の座に就いた。
驚くのは、ベラがこの試合にかけた時間がたった26秒だったということだ。
試合開始早々、チェンが右クロスで前に突っ込んだ瞬間、ベラは後ろに下がり、短く鋭い左フックでダウンを奪う。
チェンが立ち上がるとすぐ、ベラはタイミングを計って左ハイキックを放ち、すねでアゴを捉える。チェンが再び倒れると、すかさず駆け寄ったベラはグラウンドパンチを浴びせ、試合はそこで止められたのだった。
ONEライトヘビー級世界タイトル戦ベストKO
自分より体格の大きな相手に対してすら、アウンラ・ンサン(ミャンマー)はノックアウトを決める力を持っている。
2018年2月に母国ミャンマー・ヤンゴンで開催された「ONE:QUEST FOR GOLD」で、地元のヒーロー、アウンラ・ンサンは空位となっていたONEライトヘビー級世界タイトルを賭けてアレクサンドル・マチャド(ブラジル)と対戦した。
アウンラ・ンサンはジャブで前で相手を下げると、試合を決定付ける右ハイキックを放った。
マチャドは左腕でブロックしようとしたが、その衝撃を受け止めることはできなかった。アウンラ・ンサンのすねが顔を捉えると、マチャドはキャンバスに崩れ落ちた。
すかさずパンチで追い討ちをかけると、レフェリーが試合開始わずか56秒で試合を止めたのだった。この勝利により、アウンラ・ンサンは2階級でONE世界王者となった。
ONEミドル級世界タイトル戦ベストKO
2018年6月に行われた「ONE:SPIRIT OF A WARRIOR」では、ONEミドル級世界タイトルを賭けて、アウンラ・ンサンと長谷川賢の5ラウンドに及ぶスリリングな戦いが繰り広げられた。
疲れを隠せない長谷川だが、最終第5ラウンドまで勇敢に戦い、前に出続けた。だが、地元のヒーローの力は衰えていなかった。
アウンラ・ンサンは足を踏み出し、疲れきった長谷川に鋭く短い右パンチを見舞う。そして近距離からのアッパーカット2発で長谷川を捉える。
長谷川は必死に倒れまいとするが、さらなるアッパーを食らうとキャンバスに突っ伏し、壮絶な戦いに幕が下りたのだった。
ONEウェルター級世界タイトル戦ベストKO
2018年11月にインドネシア・ジャカルタで開かれた「ONE:WARRIOR’S DREAM」。空位になっていた ONEウェルター級世界タイトル戦は、試合時間残り30秒で、 ゼバスチャン・カデスタム(スウェーデン)がタイラー・マグワイアを見事なノックアウトで倒した。
カデスタムが爆発的なムエタイの打撃で攻め立てると、マグワイアは逃げ回ることしかできなかった。だがカデスタムは前屈みになると、右オーバーハンドを炸裂させ、マグワイアをキャンバスに倒す。
すかさず飛びかかったカデスタムは、さらにヒザをアゴに打ち込む。レフェリーはすぐに試合を止め、カデスタムの勝利を宣言したのだった。
ONEライト級世界タイトル戦ベストKO
マーティン・ニューイェン(ベトナム/オーストラリア)は2017年11月に開催された「ONE:LEGENDS OF THE WORLD」で、階級を挙げてONEライト級世界王者のエドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)に挑戦した。
フィリピン・マニラでの運命の夜、ニューイェンは複数の階級でノックアウトを記録する力を示した。トレードマークの右オーバーハンドで地元のヒーロー、フォラヤンをフィニッシュし、ONE史上初の2階級制覇を果たした。
フォラヤンが優れたウーシューのスキルを使い、後ろ回し蹴りを放とうとした時、ニューイェンにはそれがしっかり見えていた。ターンするのを待ち構えると、強烈なパンチを繰り出し、即座にフォラヤンから意識を奪ったのだった。
ONEフェザー級世界タイトル戦ベストKO
ニューイェンはフェザー級に集中するために、ONEライト級世界タイトルを返上。2019年4月にマニラで開かれた「ONE:ROOTS OF HONOR」で、ナラントンガラグ・ジャダンバを第2ラウンドに見事なノックアウトで下し、その決断が正しかったことを証明した。
ニューイェンは試合開始直後から、強烈なローキックで繰り返し攻める。ジャダンバは徐々にダメージを蓄積し、第2ラウンドに最後のローキックが当たると、ジャダンバはよろめき後ろに下がる。
すかさず飛びかかったニューイェンはヒザでジャダンバのアゴを捉え、試合を終わらせたのだった。
ONEバンタム級世界タイトル戦ベストKO
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Posted by ONE Championship on Sunday, July 30, 2017
ブラジリアン柔術の世界チャンピオンに何度も輝いたビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)は通常、サブミッションで勝利への道を歩むことを好む。
だが2015年7月の「 ONE::KINGDOM OF WARRIORS」で、トニ・タウル(フィンランド)を相手にONEバンタム級世界タイトルの防衛戦に臨んだ時、フェルナンデスはパワフルなパンチで試合を決めたのだった。
フェルナンデスは第3ラウンドに勢いに乗って出てくると、強烈なヒザでタウルを削る。フィニッシュのチャンスを見てとったフェルナンデスは、パンチの嵐を浴びせる。
フェルナンデスの右のアッパーカットでタウルは頭を後ろにのけぞらせるが、続く左フックはなんとか避ける。だがその動きによりタウルは、フェルナンデスのパワフルな右パンチのコースに入ってしまう。それが最後の一撃になり、フェルナンデスはミャンマー・ヤンゴンでベルト防衛に成功したのだった。
ONEストロー級世界タイトル戦ベストKO
「ONE:ROOTS OF HONOR」でのONEストロー級世界タイトルを賭けたジョシュア・パシオ(フィリピン)と猿田洋祐とのリマッチは、再びジャッジの手に委ねられるかと思われた。
だが第4ラウンド、フィリピンの名門格闘技ジム「チームラカイ」のスター、パシオが強烈なヒザ蹴りを決めて、猿田をノックアウトしたのだ。
猿田はパワフルな右オーバーハンドを繰り出すが、その時既に、パシオの右ハイキックが放たれていた。
猿田が迫りくるキックに気づいた時には、パシオのヒザが猿田のこめかみに直撃し、猿田は顔からキャンバスに崩れ落ちた。パシオはリベンジに成功し、ストロー級のベルトを取り戻したのだった。
ONE女子ストロー級世界タイトル戦ベストKO
アンジェラ・リー(シンガポール)は2019年3月に開かれた「ONE:A NEW ERA 新時代」で、階級を上げてONE女子ストロー級世界王者ション・ジンナン(中国)に挑んだ。
東京で開かれたその試合、リーはあともう少しでベルトを掴むところまでションを追い詰めた。だが第4ラウンド終盤、アームバーでのフィニッシュを試みた際に、エネルギーを使い果たしてしまったのだった。
ションは最終第5ラウンド、疲れを隠せないリーのボディを攻める。右ストレートがリーの体を貫き、リーの残された体力を奪う。そしてパンチとボディキックの嵐を降り注ぎ、中国のスーパースター、ションが仕事を終えたのだった。
ONE女子アトム級世界タイトル戦ベストKO
リーのストロー級進出は、望んだ通りの結果にはならなかったが、アトム級では議論の余地のない女王であり続けている。
2017年3月の「ONE:WARRIOR KINGDOM」で迎えた、ONE女子アトム級世界タイトルの初の防衛戦で、リーはジェニー・ファン(台北)と対戦した。
リーの初めてのタイ・バンコクでの試合だっただけでなく、リーは初めてにして唯一のTKO勝ちを決めた。
リーは立ち技でファンを圧倒すると、フロントヘッドロックで相手をマットに引きずり倒す。手首の内側をコントロールして、相手にディフェンスさせないようにする。そしてパンチを浴びせ、衝撃的なKO勝ちを掴んだのだった。