父親に成功を後押しされたONEアスリート達
人生を懸けて夢を追い求める際には、親のサポートがあるに越したことはない。
ONEチャンピオンシップのアスリートの中には、そんな幸運に恵まれたものもいる。
2020年の父の日を祝って、父親に成功を後押ししてもらったONEの格闘家5人を紹介する。
エディ・アルバレス
エディ・アルバレス(米国)は自信に満ち溢れたアスリートだが、この自分を信じる力を教えてくれたのは、父親のルーさんだ。
アルバレスは子供の頃、取り組んだ全てのスポーツで勝つことを父親に期待されていた。この期待に常に添うのは難しくもあったが、アルバレスはベストを尽くし、折れない精神力を身に付けた。
「父親の空想の世界の中で育った。だって負けることは不可能だったから。もし負けたら、なぜ負けたか上手な言い訳を考えてくれていたんだ」と、アルバレスは振り返る。
「今の自分があるのは、その育て方のおかげ。父親になるというのはどういうことか、いいスポーツマンになるにはどうしたらいいか、ということへの理解を深めることができた。父はこうして自分を後押ししてくれた。高い期待を持っていてくれたから、上手にやりたかったし、父に誇りに思ってほしかった。ほとんどの若い男の子がそう思うようにね」
こうした育て方のおかげで、アルバレスは、総合格闘技でライト級世界チャンピオンに4度なり、ONE公式アスリートランキングにも食い込もうとするなど、偉業を達成し続けている。
アミール・カーン
アミール・カーン(シンガポール)は、友達と面白い動画を作るなど悪ふざけをすることもあるが、思春期の頃はありのままの自分を受け入れることができなかった。
トゥレット症候群(チック症を伴う神経組織の病気)と診断され、学校ではその仕草をからかわれ、悩んでいた。
幸運にもカーンの父親は、息子のジレンマをうまく導きながら、ポジティブな態度を培うことを助けた。
「いつもからかわれていた。泣きながら学校から帰って(父に)『僕がどうしたっていうんだい?』と聞いた。だが、他の人と自分が違うってことを一度たりとも、父に思わされたことはない」
「父は、人生で苦労するのは普通のことなんだよ、と教えてくれた。こうした問題はみんな直面することで、この状況をうまく役立てるかどうかは自分にかかっているんだと教えてくれた」
カーンはその言葉に従った。ムエタイに興味を持ち、そのおかげで症状への対処法を見つけた。そして、総合格闘技に転向したのだ。
ジョルジオ・ペトロシアン
子供の頃からジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)は、偉大なキックボクサーになることが夢だった。誰もそれが可能だとは信じなかった。ただ、父親のアンドレイさんを除いては。
ペトロシアンの父は1999年、戦争で荒廃したアルメニアからイタリアに家族を連れて移住した。当初はホームレス状態だったが、チャリティ団体に住居をあてがわれ、現地の文化に馴染むように支援を受けた。
小さな町のシェルター住まいで、ジムもなかったが、ペトロシアンの父は、息子に自分でトレーニングをするように勧めた。幼いペトロシアンは、ジョギングや、バスケットボールのポールとクッションで作った偽物のサンドバッグを使ってパンチやキックの練習をした。
そしてついにちゃんとしたトレーニングができるジムを見つけると、ペトロシアンの父は息子の心得を培うように促し、信じることの力を教え込んできた。
「街をぶらついて、夜に酒を飲まないように釘を刺されていた。代わりにハードトレーニングをして、名を挙げろと。そのアドバイスに従い、一生懸命やった。そうしてここまできた」と、ペトロシアンは語る。
現在ONEフェザー級キックボクシング世界グランプリ・チャンピオンのペトロシアンは、史上最強のキックボクサーとされている。
アンディ・サワー
アンディ・サワー(オランダ)は、成功への道のりが約束されていたかのようで、父親は全力で息子の才能が花開くよう手助けした。
父親は厳しく、どんなスポーツでも取り組んだからには勝つように励ましていた。10代の頃のサワーは、友達と遊びたかったが、父親はジムに戻って技術を磨くように命じた。
「時々、トレーニングしたくない時があった。外で友達と遊びたかった。でも父は道端にいる自分を見つけて、ジムに送って行ったんだ」と、サワーは振り返る。
「これが何かを成し遂げるには一番いい方法だって教えてくれていた。その時は、気に入らなかったけれど、その後、今いる場所までたどり着いた」
父親のメンターシップのおかげで、サワーは自身の資質を開花させ、K-1 WORLD MAXチャンピオンに2度輝いた。
イヴァニルド・デルフィノ
イヴァニルド・デルフィノ(ブラジル)は、子供の頃から格闘技を学ぶことに興味を持っており、父親はその道のりを一歩一歩支えた。
デルフィノの父親は、他の兄弟と共にデルフィノを、マラジョアラというレスリング系の格闘技大会に参加させ、ブラジリアン柔術のトレーニングも勧め、2019年8月に急逝するまで、デルフィノが出場する総合格闘技の全試合の観戦に駆けつけた。
「父は自分が子供の頃からファイターになるんだって知っていたようだった。(父の死は)本当に自分を引き裂いた。家族は自分にとって一番の宝物だから。自分の一番のサポーターであり、戦う理由なんだ」
そうしてデルフィノは、ONEフライ級アスリートに。ONEのケージ「サークル」で活躍する姿を天国の父親に見せたいと意気込んでいる。