人生を変えた2019年、エナッシ「強くなり続ける」

ONEフライ級キックボクシング世界王者イリアス・エナッシ（オランダ／モロッコ）は、2019年に突如としてONEに旋風を巻き起こしたアスリートの１人だ。

ストライカーのエナッシは、８月にバンコクで開催された「ONE: DREAMS OF GOLD」でのONEスーパーシリーズデビュー戦でペッダム・ペッティンディーアカデミー（タイ）に鮮烈な勝利を収め、待望の世界タイトルを手にした。

先月は北京での「ONE: AGE OF DRAGONS」で初のタイトル防衛戦に臨み、メインイベントで宿敵ワン・ウェンフェン（中国）をスプリット判定で破った。

ここ数ヶ月のONEスーパーシリーズでの活躍は、すでにエナッシの人生を変えた。どうやらライバル達にとっては状況は厳しくなる一方のようだ。

「疑う余地もなく、2019年は自分にとってとても大きな１年だった。考えられる最大のステージで実力を披露する機会を得られたんだ」と、エナッシは語る。

「今年の初めはあまり定期的に試合に出る機会がなかった。その頃のペースでは、格闘技だけで食べていくことはできなかった。あまりに不安定だったから」

「でもONEに参戦したおかげで格闘技だけに全力で専念することが可能になったし、世界最大のステージで自分の実力を発揮できるようになったんだ」

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ONEでの最初の１年を振り返って、エナッシにとって最も記憶に残る瞬間はあの爆発的なデビュー戦だという。

ONEへの華々しいデビューを飾っただけでなく、相手のホームであるバンコクのインパクト・アリーナでペッダムを破り、世界タイトルを奪取したのだから。

「自分にとっての一番のハイライトはデビュー戦だ。あの場で戦えたこと、そして、ベルトを勝ち取って腰に巻いた瞬間も」と、エナッシは認める。

「すべてが初めての体験だったから、少し緊張していた。いい意味でね。ONEでの試合にまだ慣れていなかったから。そういう精神状態ではあったけれど、結局はすべてうまくいった。それに、タイで試合をするのは大好きなんだ」

「すごく安定した状態だった。あの試合に向けて準備していた時ほど気分が良かったことはない。トレーニングキャンプも素晴らしくうまくいったし、すべてが完璧だった」

ハイライトにふさわしいセンセーショナルな試合に続き、エナッシはワンを相手にラバーマッチを繰り広げ、ファンをますます興奮させた。

２年前と同様、エナッシはワンのホームグラウンドで再度素晴らしい戦いを見せ、勝利した。今回の舞台は、中国・北京のキャディラック・アリーナだった。

試合には勝ったものの、エナッシにとってはペッダム戦のKO勝ちのような満足のいく戦いではなかった。

「ワン戦の時には、すでにONEの大会の巨大な規模に慣れてきていた。だから、試合の雰囲気もイメージできた」と、エナッシは言う。

「準備期間中も前回よりリラックスしていた。どんな大会で、どんなステージで戦うのかわかっていたし、ワンはすでに二度戦ったことがある相手だったからね。前回とは勝手が違っていた」

「準備はリラックスしていたけれど、リングでは実力をフルに発揮できなかった。タイトル防衛は果たしたから、十分だったとは思う。でも、もっと本当の実力を見せたいし、次の試合ではそうするつもりだ」

ONEで着実に成功を手にしてきたエナッシだが、栄光に甘んじるつもりはない。

多くの猛者たちがエナッシに戦いを挑み、ONEフライ級キックボクシング世界タイトルを奪おうと狙っていることもわかっている。

だからこそ、ゆったりとくつろいでONEスーパーシリーズでの人生を変えた一年を振り返っている場合ではないとエナッシは思う。そのかわり、鮮やかな戦いに磨きをかけ、2020年に出会う挑戦者たちからベルトを防衛する準備は万端だ。

「世界最大規模の格闘技団体に参戦したのは、今年最大の挑戦だった。この一年が終わろうとしている今、まだ自分にはできることがたくさんあると感じている」と、エナッシは打ち明ける。

「全力を尽くしてより良い戦いを見せることに集中している。ONEはより強い対戦相手を用意してくれるだろう。だから、もっと技を磨き、強くなり続ける必要があるんだ」

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