【10/13大会】ビビアーノ・フェルナンデスがマット掃除から学んだこと

Bibiano Fernandes DC 4151

ONEバンタム級世界王者、ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)の幼少時代は苦難の連続だった。しかし、その苦労1つ1つが、人として、格闘家としてのフェルナンデスの成長につながっている。

10月13日、東京・両国国技館で開かれる「ONE:CENTURY 世紀」の第2部、「ONE: CENTURY PART II」で、ケビン・ベリンゴン(フィリピン)と実に4度目のONEバンタム級世界タイトルマッチに臨むフェルナンデス。

これまでにマットの上のみならず、人生においても、あらゆる困難を克服してきた。始めたばかりのブラジリアン柔術をやめなければならないかもしれなかったこともあったのだ。

ブラジルの北部マナウス出身のフェルナンデスは、14歳の時に柔術を始めた。洗車のアルバイトでジム費を稼いではいたが、バイト代はわずかなものだったので、ほどなくジム費を払うことができなくなってしまう。

フェルナンデスは柔術が大好きだったので、諦めたくはなかった。幸い、フェルナンデスの熱意と才能を見抜いていた彼の最初のコーチが救いの手を差し伸べた。

「練習を始めた頃、自分はジムに払うお金がなかった。でも柔術は大好きだった。柔術をしていると、自分を律することができるようになり、毎日が違って見え始めるようになるんだ」とフェルナンデスは語っている。

「そこでコーチに打ち明けたんだ。『コーチ、もうジム費を払えなくなってしまった』。そうしたらコーチは、『いいから練習に来なさい。その代わり、ジムの掃除をすること。そしてみんなが帰った後、電気を消してカギをかけること』と言ってくれた」

「そうして自分は、大好きな柔術の練習を続けることができるようになったんだ」

ティーンエイジャーだった当時のフェルナンデスにとっては、こうした雑用は練習をするための手段にすぎなかった。練習費用に替えて、自分の時間を払っていたのだ。しかし、その後フェルナンデスは気がつくことになる。こうした雑用が、自分の格闘家としてのキャリアや、人生での成功に大きな影響があったことを。

「コーチは厳しかったから、練習はハードだったけれど、いい人だった。コーチが自分にチャンスをくれた」とフェルナンデスは振り返っている。

「自分は多くの人から支援を受けて、チャンスをもらってきた。チャンスは必ず来る。自分には成功できると信じることが肝心なんだ。自分を信じていないと、成功を収めることはない。だから自分を信じていたんだ」

コーチと練習を積んだフェルナンデスは、練習でも試合でも結果を出すようになっていった。しかし、どんなに昇級しても、金メダルを積み上げても、フェルナンデスが慢心することはなかった。というのも、その頃のフェルナンデスは、練習の後にはマットをモップ掛けする少年のままだったからである。

こうした経験のおかげで、フェルナンデスはしっかりと地に足をつけていることができ、さらにおそらく大きかったのは、大切な思春期に、ジムに通い続けることができたのである。

「おかげで謙虚さを学んだ。そして、欲しいものがあるなら、まずは働かなければならないという勤勉さも学べたと思う」

「それに、集中して取り組むこともできた。友だちがどこかに出かけて、いろいろなことをして遊んでいる時に、自分は毎晩ジムに残って、電気を消して、カギをかけなければならなかったからね」

「だからこそ、自分は集中力を切らせることがなかったし、ブラジリアン柔術の世界チャンピオンになれた」

すぐれた柔術スキルと熱意で、やがてフェルナンデスはジムでより重要な役割を果たすようになり、子供向けの柔術クラスで教えるようになった。そして最終的には掃除などの雑用が免除され、指導と練習に専念できるようになった。

そしてこのことが、フェルナンデスが大好きな柔術で成功するために、パイシャオンがフェルナンデスに与えたもう1つのチャンスだったのだ。

「自分は子供を教えるようになって、たくさんのチャンピオンを生み出した。それもコーチが自分を信頼してやらせてくれたからだ。彼はとてもいいコーチで、知識も豊富だから、自分はずいぶん助けてもらったんだよ」

もちろんフェルナンデスもたゆまぬ努力を重ねてきたのだが、コーチからチャンスを与えられなければ、フェルナンデスがONE史上、もっとも圧倒的な世界チャンピオンになることはなかったかもしれない。

総合格闘技の世界でこの10年間、トップの座を守りつけているフェルナンデスではあるが、彼は今でも、ティーンエイジャーの頃に受けた親切や励ましに対する感謝の気持ちを忘れてはいない。そうしたことがなければ、こんな人生はありえなかったかもしれないのだ。

「今はいい生活をさせてもらっている。もうジムマットの掃除もしなくていい。でも、そうした雑用から学んだおかげで、今の自分がある」

「自分は格闘技から、強くあること、不平を言わないことを学んだ。人はいろいろなことで不満を漏らすものだけれど、自分にはそうしたことがない。感謝しかないんだ。自分は今でも、あらゆる事柄に学ぶチャンスがあると思っているんだよ」

東京・両国国技館 | 10月13日 (日)  | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)

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「ONE: CENTURY 世紀」は、さまざまな格闘技から28人の世界チャンピオンが参戦する、史上最大の世界選手権格闘技イベントだ。フルスケールの世界選手権格闘技イベント2大会が同日開催されるのも、史上初めてのことである。
複数の世界タイトル戦、世界グランプリチャンピオンシップ決勝戦3試合、そして世界チャンピオン同士の対決をふんだんに取りそろえ、ONEチャンピオンシップが東京の両国国技館で新地平を切り拓く。

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