ジョシュア・パシオ、スピニング・バック・フィストの戦略解説
フィリピンの強豪「チームラカイ」所属のジョシュア・パシオ(フィリピン)はONEストロー級世界タイトルへの道を、ONEチャンピオンシップ史上で記憶に焼き付くハイライト級のノックアウトによって歩み始めた。
パシオは2017年11月の「ONE: LEGENDS OF THE WORLD」で、ロイ・ドリゲス(フィリピン)を、第2ラウンドの序盤に鮮やかなスピニング・バック・フィスト(体を回転させて打つ裏拳)でフィニッシュしたのだ。
だが、なぜパシオはそんな劇的なノックアウトを決めることができたのだろう?
パシオはこうした技を決めるには、自分の最良の持ち技の中を考慮しながら、過去の試合動画を分析し、対戦相手の弱点を知ることが大切だと語る。
その試合では、パシオはドリゲスのスタンスがこの技を使うのに丁度いいと気付いた。
「ロイ・ドリゲスがサウスポーということはみんな知っている。だから、右側からの打撃が弱点だった」
この点を考慮し、パシオは攻撃のアイデアを持って試合に臨んだ。
「第1ラウンドは最初に回し蹴りを何度かした。これはゲームプランの一部だった。回し蹴りをしたら相手の頭に当たった」
「3度放って、そいつが頭に当たったんだ」
先に放ったキックのおかげで、ノックアウトを前にパシオは試合中にいくつかの調整をする必要があった。
第1ラウンドの後は、ゲームプランを変更し、バック・キックやスピニング・バック・フィストも繰り出した。
「第2ラウンドは、相手が自分の回し蹴りを読んでくると思った」
「1回目は、当たらなかった。自分の拳が相手の頭よりも高い位置に行ってしまった。2回目は少し退いて、回し蹴り、バック・キックを放ったがまた外れた」
パシオはそこで、戦略をリセットをした。ドリゲスをよく見て、バック・フィストを当てるための距離を再計算したのだ。
そして、ついにパシオは試合を終わらせる一撃を放った。
「退いて、キックを放った。相手の重心がある足の外側に右キックを当てて、そして振り返った。そこでスピニング・バック・フィストで捉えた」
このノックアウト勝ちは、「ONEチャンピオンシップのスピニング打撃トップ10」と題されたビデオでも、見事ランキング第1位に選ばれた。
パシオはその後の2試合でもフィニッシュ勝利を挙げ、当時のタイトルホルダーだった内藤禎貴(のび太)を破って2018年9月に初めてONEストロー級世界王者になった。
全てはこの、スピニング・バック・フィストによるノックアウトから始まったのだ。