ONEの一発ノックアウト10選
ONEチャンピオンシップが創設されて以降、数えきれないほどのノックアウトが披露されてきた。その中でも最高クラスのノックアウトのほとんどは、たった1発の完璧なショットから生まれている。
完璧なタイミングで精確に突き刺された拳が、たったその一発で試合を終わらせてしまうのだ。このようなKOは、見た目にも非常に美しい。
一撃必殺のノックアウト10選を見てみよう。
#10 ハン・ズーハオ対ライアン・ジャキリ
ONEスーパーシリーズが2018年に始まり、ムエタイの選手たちが小さなグローブで戦うことになった時、フィニッシュで決まる試合が増えるのは当然のことだった。特にハン・ズーハオ(中国)のような、力のあるパンチが持ち味の選手が参戦するなら、なおさらだ。
「ONE:PURSUIT OF GREATNESS」でハンが、ライアン・ジャキリ(フィリピン)を相手にやってのけた一撃必殺のKOは、見事なまでにきれいなものだった。
ハンのキックにジャキリが左フックでカウンターに出ようとした時、無防備にさらされたジャキリのアゴに強烈な右クロスが炸裂したのだった。
#9 シャノン・ ウィラチャイ対ラウル・ラジュ
シャノン・ ウィラチャイ(タイ)は「ONE:IRON WILL」で、ラウル・ラジュ(インド)と対戦。落ち着き、正確さ、そしてパワーを持って、美しいKOをもたらした。
前に突っ込んで行こうとするラジュに対し、ウィラチャイは右フックで応戦。何度かラジュを捉えるものの、ラジュは前に出続ける。だが試合開始わずか21秒後、決定的な打撃がクリーンヒットし、ラジュはキャンバスに倒れこんだままとなった。
#8 ジョルジオ・ペトロシアン対ジョー・ナタウット
「ONE:DREAMS OF GOLD」で開かれた、注目のONEフェザー級世界グランプリ準決勝。ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)が、医者の手術のように精確な技の真髄を見せつけた。
相手のジョー・ナタウット(タイ)はタフな相手だ。だが警戒しながら前に出るナタウットに対し、ペトロシアンは全力を込めた左ストレートを顔面に打ち込む。始めはナタウットは立ち上がるかに思われた。だがレフェリーがカウントを数える中、上体を起こすことさえできなかったのだ。
#7 アライン・ ンガラニ対 関根秀樹
10選の中でも最速のKOは、試合開始わずか10秒でもたらされた。「ONE:TOTAL VICTORY」での、アライン・ ンガラニ(香港)と関根秀樹の対戦だ。
ムエタイとキックボクシングの世界王者ンガラニは、ひたすら前に突っ込んでくる関根に対し、狙いすました強烈な右フックを放つ。関根はその一発でもう、立ち上がることができなかった。ONEヘビー級史上最速となったこの記録を破るには、かなり難しいだろう。
#6 ノンオー・ガイヤーンハーダオ対セーマペッチ・フェアテックス
「ONE:EDGE OF GREATNESS」でのノンオー・ガイヤーンハーダオとセーマペッチ・フェアテックスのタイ人選手対決。セーマペッチは第1、第2ラウンドにノンオーの重く激しいパンチを何度も食らうも、驚異的なタフさを見せてしのぎ切る。そして第3ラウンドには調子を取り戻したかに見えた。
だがノンオーは若き挑戦者セーマペッチをフィニッシュするために、チャンスを待っていただけだった。第4ラウンド、セーマペッチが一瞬の躊躇を見せた時、ONEバンタム級ムエタイ世界王者ノンオーの稲妻のようなクロスが炸裂。セーマペッチは仰向けに、キャンパスに倒れこんだのだった。
#5 ホノリオ・バナリオ対ヤロスラフ・ヤルティン
元ONEフェザー級世界王者ホノリオ・バナリオ(フィリピン)は、ライト級でも十分に通用するパワーを持っているところを証明した。「ONE:KINGS OF DESTINY」でのヤロスラフ・ヤルティンとの対戦のことだ。
ヤルティンはバナリオのボディブローに耐え、ボディキックのカウンター攻撃を放つことができたように見えた。だが次の瞬間、バナリオの左フックがアゴを捉えると、キャンバスに崩れ落ち、もう反応することはできなかった。
#4 ブランドン・ベラ対マウロ・チリリ
「ONE:CONQUEST OF CHAMPIONS」でマウロ・チリリ(イタリア)が、ブランドン・ベラ(フィリピン)の持つONEヘビー級世界タイトルに挑戦した時、チリリは攻撃なゲームプランにより、相手のパンチの危険性が増したのだった。
積極的に前に出て攻めるチリリ。その勢いは、ベラが左フックでチリリのアゴを捉えた瞬間の衝撃を倍増させ、母国フィリピンの観客が狂喜するKOとなったのだった。
#3 ジョシュア・パシオ対ロイ・ドリゲス
ジョシュア・パシオ(フィリピン)は、元プロボクサーのロイ・ドリゲス(フィリピン)を相手に打撃の応酬で勝つ可能性は低いと見ていた。そこでパシオは、オーソドックスとは言えないアプローチを試みた。
パシオはキックのフェイントを出し、ドリゲスが前に出るよう誘いだすと、そのままスピニングバックフィストをを放つ。これにより「ONE:LEGENDS OF THE WORLD」でのストロー級マッチは、思わぬ終幕を迎えたのだった。
#2 マーティン・ニューイェン対エドゥアルド・フォラヤン
パシオが衝撃的なKOを決めたその夜、さらに素晴らしいKOが生まれた。驚くべきことに、それをやってのけたのは、多くの人が予想したエドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)ではなかった。
ONEライト級世界王者のフォラヤンが、ONEフェザー級世界王者のマーティン・ニューイェン(ベトナム/オーストラリア)を相手に防衛戦に臨んだこの試合、フォラヤンはより体が大きく力も強いという優位性を持っていたはずだった。だがニューイェンもまた、強打が持ち味の選手であり、これ以上ないタイミングで、キャリア史上最高のパンチを決めたのだった。
フォラヤンが得意のバックキックを繰り出し体を回転させかけた時、ニューイェンが右オーバーハンドを炸裂させ、ONEの新たな歴史を作ったのだった。
#1 アウンラ・ンサン対 長谷川賢
ONE史上最も壮絶な世界タイトル戦から、KO10選の第1位に輝く素晴らしいKOが生まれた。アウンラ・ンサン(ミャンマー)と長谷川賢の対戦は、2018年のベストバウト、そして年間最優秀KOにも選ばれる激闘だった。
両者は息もつかせぬような攻防を4ラウンド以上に渡って繰り広げ、共に疲れを隠せないまま最終第5ラウンドを迎えていた。するとアウンラ・ンサンは最後のエネルギーを振り絞り、満身創痍の長谷川のアゴに、渾身の力で右アッパーを放ったのだった。
完璧なタイミングで完璧な場所に決まったアッパーだった。長谷川は前に崩れ落ち、もはや立ち上がることはできなかった。アウンラ・ンサンの母国ミャンマーの会場に詰めかけたファンを歓喜の渦に巻き込む、「ONE:SPIRIT OF A WARRIOR」でのハイライトだった。
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