【2/28大会】デニス・ザンボアンガ、転機となった苦い黒星
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)は敗北の苦さを糧として、総合格闘家として無敗記録を築き上げてきた。
2月28日(金)にシンガポールで開かれる「ONE:KING OF THE JUNGLE」で、23歳のザンボアンガは山口芽生と対戦する。総合格闘技を始めてONEチャンピオンシップに参戦するようになる前、ザンボアンガはある試合で、挫折を味わっていた。
だが結果としてザンボアンガは、その試練により決意を新たにし、総合格闘技という新しい分野で成功するきっかけにすることができた。
ザンボアンガは17歳の時に、自己防衛の一環として極真空手の練習を始めた。だがやがて、試合に出ることに興味を持つようになる。
「同じようにトレーニングをしている他の人と戦うとどうなるか、興味があった」
初めはうまく行き、大会で優勝したこともあった。だが最後に参加した大会は、ほろ苦い経験となった。
参加者が十分に集まらなかったため、ザンボアンガは1つ上の緑帯のクラスに入れられた。ザンボアンガにとっては不利だが、心配はしていなかった。
3勝して決勝戦に駒を進め、相手と対峙した時、ザンボアンガは揺るぎない自信を持っていた。
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「自分の心の中では相手を圧倒するつもりだった」
「相手の方が(緑帯で)格上だから、決勝戦では一層気合いが入った」
だがその自信に見合うようなパフォーマンスを発揮できず、ザンボアンガは初めて負けた。しかも、ディフェンスに失敗して、相手の繰り出した最後の一撃により、フィニッシュされてしまったのだ。
「本当にノックアウトされた。光が消えて、試合は終わった」
「左のハイキックだった。速くてみえなかった。それに私のガードは下がっていた」
敗北からは多くのことを学ぶことができるが、ザンボアンガはあまりに打ちひしがれていた。
「負けたくなかったから泣いた。チャンピオンになるまであと1勝だったのに、目標を達成できなかったことに本当にがっかりした」
「その経験で最も辛かったのは、ノックアウト負けという事実。ジャッジによる判定ではなく、私が負けたのは火を見るより明らかだった」
ノックアウト負け直後のショックを乗り越えて、落ち着きを取り戻したときでさえ、ザンボアンガは失望を禁じえなかった。
トレーニングに費やした時間と、支えてくれた人たちの願いを思い、さらに失望は募ったのだ。
「厳しいトレーニングを通じて耐えてきた苦しみや犠牲が無駄になったように感じた。大会で優勝できなかったから」
「兄や家族も身に来てくれていたが、負けてがっかりさせたように感じた。もうあんな思いは嫌」
大きな挫折を味わったものの、ザンボアンガの心は折れていなかった。リベンジを果たすため、強い決意を胸に激しいトレーニングを続けた。
だがその使命は、果たされないまま終わることになる。空手以外の何かを試してみるべきだと、兄に勧められのだ。
「女性の総合格闘技の選手を探していた大会があって、出てみたらと言われた」
「考えたこともなかった。それが何なのか、漠然とはわかっていたが、実際にやってみるのは少し怖かった」
心配とは裏腹に、ザンボアンガはその挑戦から逃げようとはしなかった。一旦、試合の準備が整うと、戦歴の上ではより強い選手、より経験豊富な選手に立ち向かうことを恐れはしなかった。
ノックアウト負けはザンボアンガの考え方を一変させていたのだ。あの試合以降、念には念を入れて準備に取り組むようになった。努力と強い意志により、ザンボアンガは完璧な戦歴を築き、ONEデビュー戦でも勝利を挙げた。
シンガポール大会でも世界最高クラスの選手を相手に連勝を続け、チームや家族を喜ばせたいと願っている。
「(負けたことにより)以前にも増してトレーニングに意欲が出た」
「もう二度と、敗北の苦しみを味わいたくない。だから勝つために、この試合に向けて入念な準備を進めてきた」
シンガポール|2月28日 (金) |ONE:KING OF THE JUNGLE|公式アプリで生中継(無料)|日本公式Twitter|日本公式Instagram